呼ぶ声
今日も外から私を呼ぶ声が聞こえた。いつもの女性の声だ。もう家を出ないで半年もたったのに、誰が私を呼ぶ用事なぞあるのだろう。一緒に暮らす母親ではないし(もっと若い)近所の悪ガキでもなさそうだ(もっと落ち着いている声だ)。
私はそとに出る気にも窓の外をを見る気にもなれずに毎日ぼーっと過ごしてしまう。でもいつも夕方五時頃になると、その声が聞こえる。
その声はしっかりと、私の耳に届く位の大きさで、くっきり発音されているので、ポルターガイストとかそっちの方面を考えていた私にも、それは違う、と否定することが出来た。
「誰」
とつぶやく。相手には聞こえないと思ったのに、いつもより去ってゆく足音が遅く感じた。気のせい、気のせい。聞こえたわけがない。私の声なんて。
本当は、小学校にいなければならない時間帯にのそのそ起きる。パソコンをつけ、ぼーっといろいろ見る。私は学校に行きたくなくなったので行っていない。
理由は、思い出したくないのでおもいだせない。
ぱたぱたキーボードを叩いてブログを更新する。ネットの世界では、私は14歳という事になっていて、中学校でいじめに遭っていて学校に行っていないことになっている。こんな日記、誰も見ていないけれど、とりあえず私には想像の限りけちょんけちょんに出来る自分ではない自分が必要だったし、その理由も明らかにあった。
結局私は自分が嫌いなだけだ。ただ自分を嫌いになれる勇気がないだけで、そんな架空の人物を作っては自殺に追い込む。本名のアナグラムだから、解る人は解るかもしれないけれど、そんなのそれがアナグラムであることが解る人しかいない。
そんなこと解ってる、解ってる、解ってるけどでも、知らない振りをしていたい。
「ピンポン。」
母親も働いているので、玄関に出る人物がいない。いつもは出ないけど、なんとなく今日は出てみようと思った。
「はぁい。」
不機嫌な口調でドアを開けると、そこには女性がいた。
「あの、たかはしかなさん?」
「あ、はい、そうですが。」
「ちょっと、お話があるのだけど。」
「あ、じゃあはい、どうぞ、あがってください。」
「あ、お邪魔します。」
私はすぐに、その人が五時の女の人であることが解ったが、それも話のうちにあるだろうと思ってとりあえず彼女を家に上げた。
「番茶で良いですか。」
「あ、お構いなく。」
「お構いなくってもつくっちゃったんでどうぞ。」
引きこもっていると無駄に家に詳しくなる。
「それで、お話って何ですか。」
「あのね、ブログを見たの。」
彼女の言葉は一瞬、意味を持たずに、私に降りかかってきた。私はそれを払いのけるのに精一杯で、彼女に対する防衛策がとれなくなった。
「びっくりしたわ。程度はある程度ちがっても、私の日常について書かれているみたいなんだもの。」
「…はぁ。」
「しかも私の名前そのままだわ。」
「え?」
「あ、そう。私高梨花。」
私が使っていたハンドルネームだったので、どうしていいか解らなくなった。
「あの、ごめんなさい。」
「いいのよ、別に。無意識でしょう。」
「はい。ホントにいるなんて、考えなかったので」
「でしょうね。」
彼女はお茶をすすった。それにしたって、何故ここが。
「何故ここが解ったのか、不思議に思うでしょうね。」
「はい。」
「私ね、実はもう…。」
ぱ、とそこで目が覚めた。
実はもう?実はもう?
続きは何だろう。
死んでいる、のか?
だから夢枕に立ったのか?
空想上の人物が夢枕に立つなんて、可笑しい。
私はおそるおそる食卓に降りてゆくと、まだお茶碗が二つ向かい合っていた。夢じゃない、夢じゃない、夢じゃない。私は怖くなった。急いでパソコンをつけてみると、ブログが勝手に更新されていた。
高梨花の遺書が載っていた。
______________________________
久々の更新。
ちょいちょい書いていたら一週間ぐらいたっていました。
最近忙しいので、
時間感覚がおかしいのです。
私はそとに出る気にも窓の外をを見る気にもなれずに毎日ぼーっと過ごしてしまう。でもいつも夕方五時頃になると、その声が聞こえる。
その声はしっかりと、私の耳に届く位の大きさで、くっきり発音されているので、ポルターガイストとかそっちの方面を考えていた私にも、それは違う、と否定することが出来た。
「誰」
とつぶやく。相手には聞こえないと思ったのに、いつもより去ってゆく足音が遅く感じた。気のせい、気のせい。聞こえたわけがない。私の声なんて。
本当は、小学校にいなければならない時間帯にのそのそ起きる。パソコンをつけ、ぼーっといろいろ見る。私は学校に行きたくなくなったので行っていない。
理由は、思い出したくないのでおもいだせない。
ぱたぱたキーボードを叩いてブログを更新する。ネットの世界では、私は14歳という事になっていて、中学校でいじめに遭っていて学校に行っていないことになっている。こんな日記、誰も見ていないけれど、とりあえず私には想像の限りけちょんけちょんに出来る自分ではない自分が必要だったし、その理由も明らかにあった。
結局私は自分が嫌いなだけだ。ただ自分を嫌いになれる勇気がないだけで、そんな架空の人物を作っては自殺に追い込む。本名のアナグラムだから、解る人は解るかもしれないけれど、そんなのそれがアナグラムであることが解る人しかいない。
そんなこと解ってる、解ってる、解ってるけどでも、知らない振りをしていたい。
「ピンポン。」
母親も働いているので、玄関に出る人物がいない。いつもは出ないけど、なんとなく今日は出てみようと思った。
「はぁい。」
不機嫌な口調でドアを開けると、そこには女性がいた。
「あの、たかはしかなさん?」
「あ、はい、そうですが。」
「ちょっと、お話があるのだけど。」
「あ、じゃあはい、どうぞ、あがってください。」
「あ、お邪魔します。」
私はすぐに、その人が五時の女の人であることが解ったが、それも話のうちにあるだろうと思ってとりあえず彼女を家に上げた。
「番茶で良いですか。」
「あ、お構いなく。」
「お構いなくってもつくっちゃったんでどうぞ。」
引きこもっていると無駄に家に詳しくなる。
「それで、お話って何ですか。」
「あのね、ブログを見たの。」
彼女の言葉は一瞬、意味を持たずに、私に降りかかってきた。私はそれを払いのけるのに精一杯で、彼女に対する防衛策がとれなくなった。
「びっくりしたわ。程度はある程度ちがっても、私の日常について書かれているみたいなんだもの。」
「…はぁ。」
「しかも私の名前そのままだわ。」
「え?」
「あ、そう。私高梨花。」
私が使っていたハンドルネームだったので、どうしていいか解らなくなった。
「あの、ごめんなさい。」
「いいのよ、別に。無意識でしょう。」
「はい。ホントにいるなんて、考えなかったので」
「でしょうね。」
彼女はお茶をすすった。それにしたって、何故ここが。
「何故ここが解ったのか、不思議に思うでしょうね。」
「はい。」
「私ね、実はもう…。」
ぱ、とそこで目が覚めた。
実はもう?実はもう?
続きは何だろう。
死んでいる、のか?
だから夢枕に立ったのか?
空想上の人物が夢枕に立つなんて、可笑しい。
私はおそるおそる食卓に降りてゆくと、まだお茶碗が二つ向かい合っていた。夢じゃない、夢じゃない、夢じゃない。私は怖くなった。急いでパソコンをつけてみると、ブログが勝手に更新されていた。
高梨花の遺書が載っていた。
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久々の更新。
ちょいちょい書いていたら一週間ぐらいたっていました。
最近忙しいので、
時間感覚がおかしいのです。