イ・チェロク:三浦宏規

シム・ドクチュル:川平慈英

ブンイ:岡まゆみ

ソングァン:狩野英孝

ソンサン:オレノグラフィテイ

ソンチョル:瀧澤翼

ヘジン:青山なぎさ/井上音生

ムン・ギョングク:館形比呂一

 

 

※  公演内容に触れています。未見の方はご注意ください ※

 

 

ドラマ化もされた同名Webコミックをソウル芸術団がミュージカル化。

上演台本・作詞は『伝説のリトルバスケットボール団』を手掛けたパク・ヘリム氏、作曲は『HOPE』のキム・ヒョウン氏が担当しています。

私はドラマもコミックも未見ですが、このソウル芸術団のミュージカルを配信で一度視聴しています。

今回は初の日本版上演ということで、とても楽しみにしていました。

 

 

良作であることはわかっていたため、予めチケットは2枚取ってあったのですが、初回観劇であまりにも感動して翌日の公演を即追いチケ。

ということで、合計3回観劇することができました。

本音を言えば、3回では全然足りなかった!あと10回観たかったです!

前半は追いチケも簡単でしたが、6月に入ると評判の良さが伝わりあっという間にチケットは完売。

こういう売れ方をする作品って、本当に観客に愛された作品だと思うんですよね。

誇らしいような嬉しいような、そんな気持ちです。(←誰目線って感じですがww)

 

 

今回の日本版。

何といっても特筆すべきは、日本語上演台本・日本語歌詞・演出の素晴らしさでしょう!

担当された桑原裕子さんは今まで存じ上げなかったのですが、絶対にお名前を覚えておかなくては!となりました。

韓国ミュージカルを日本版として翻訳上演する際、「何故そこ変えちゃったの?」とか「なんか歌詞が変」とか感じることが往々にしてあるのですが、今作では一切そういうことがありませんでした。

 

 

韓国版の詳細を覚えているわけではありませんが、マイナーチェンジは随所に見られていたように思います。

でも、それがすごく心にしっくり来るというか、心情が丁寧にとてもあたたかな目線で語られていると感じましたし、笑わせる箇所、泣かせる箇所、そのバランスや緩急に自然に身を任せることができました。

台詞も、心にすっと入り込み、その台詞だけでグッとくるようなものが多かったです。

「泣くなチビすけ」「俺を見て」「いいさ!」あたりは、思い出すだけでウルっときます・・。

 

 

訳詞も素晴らしかった!

音楽にピタっとはまっていて、そして言葉に美しさと深さと煌めきがあるんですよね。

言葉の選択が絶妙で、さまざまな言葉で紡がれていく歌詞が本当に素敵でした。

歌詞が素晴らしいと、楽曲の良さがより一層際立つように思います!

 

 

演出もとても好き!

照明の使い方もイイし、雨模様や星空などの情景も美しく幻想的でありながらも現実的。

音楽の入り方も好きだし、場面転換も好きだし、み~んな好き!

特に印象に残ったのは、ハイライトの公演シーンの演出です。

ラストに三浦チェロクがポスターと同じポーズで蝶のように舞い上がる跳躍をするのですが、その刹那にぱっと暗転。

あの一瞬の美しさ・尊さが脳裏にくっきりと焼きつけられました。

客席からも、思わず漏れたような感嘆の声があちこちから・・。

忘れられない名シーンになりました!

 

 

キャスティングも大勝利!!

三浦チェロクと川平ドクチュルがハマリ役なのは論を待たないとして、その他のキャストもバチっと物語にハマっていたと思います。

ブンイのおおらかさ・愛情深さ、ソンサンの生真面目さ、ソングァンの業界人らしい軽妙さ、ヘジンの明るさと優しさ・・。

シム一家ばんざい!と叫びたくなるほど愛おしい一家でした。

少し癖のあるバレエ団団長も、やさぐれ青春真っ只中のソンチョルも、みんなイイ!

適材適所すぎました!!

 

 

川平ドクチュルは、人生への真摯さ、懐の深さが本当に魅力的。

未来への不安と、それでも夢を諦めない強さと・・。

そのひたむきな想いがチェロクやソンチョルを変えていくんですよね・・。

役づくりもずいぶん研究されたのではないかと感じました。

独特の歩き方、パニックを起こした時の表情や仕草、病状が進行してからの無関心と揺れる記憶の残滓・・。

あまりにリアルで見ていて苦しくなることもありましたが、「人生」から目を背けずまっすぐに見据えた渾身の演技が素晴らしかったです。

 

 

そして、彼なくしては「日本版ナビレラ」は語れない三浦チェロク!!

素晴らしすぎました!!

素人にもはっきりとわかるバレエの技量の高さが、この作品のクオリティをとんでもなく高めていることは間違いないと思います。

そこに感情の乗った歌唱と魂を揺さぶるような熱い演技が加わるわけですから、もう「最高」としか言えません・・。

 

 

ドクチュルとその家族に次第に心を開いていく様子は、繊細かつ丹念に表現。

旧友ソンチョルとのやり取りは、若者らしい意地の張り合いと友情を溌剌と演じ・・。

そして、ドクチュルの記憶を取り戻そうと必死になる1幕ラストや、公演出場を団長に嘆願する2幕終盤など、感情をぶつけていくシーンはその吸引力が素晴らしかった!

ラストの再会シーンでの表情の演技も良かったし、公演全体を通してドクチュルのバレエを見守る時の眼差しの演技や、ポーズを直してあげる時の厳しさと優しさが同時に存在するような仕草も良かった!

つまり、ぜ~んぶ良かったです!

 

 

また、1幕ラストも2幕ラストも、バレエを踊るその身体表現から伝わってくるものがすごく大きくて、チェロクの想いがバシバシと伝わってきて、涙せずにはいられませんでした。

こうして思い返すだけでもウルっとくる危険なレベルww

いや、本っ当~に泣かされました。

客席の皆さまも同様なのか、すすり泣きがそこかしこから・・。

場内にすすり泣きが満ちるのは何度も経験していますが、幕間のトイレ列でも涙を拭う方が多発していた現場は初めてかもしれませんww

カーテンコールの熱量も高く、「いい作品を見せてくれてありがとう!」という気持ちが一体化したような会場の雰囲気がとても心地良かったです。

 

 

涙腺直撃ミュージカル「ナビレラ」!

素晴らしい作品を観劇することができて、とても幸せでした!!