どうもうちのネコどもは風呂場が好きなようで俺が入浴中もドア越しにシルエットで主張する様を見ると、甘いと思いながら開放せずには居られない気持ちもわかってもらいたい。
風呂場が好き・・・と書いたがブルーの盥に縁の水滴、冷たさと温かさが同居したホーローの感触、そんな情景に囲まれながらの蛇口から滴る蠱惑的な誘惑にきっと耐えられないのだろうな・・・なんてほくそ笑みながら眺めるは同居人にのみ許された特権。
今朝だってそうさ。
風呂場に面した洗面で出社前、歯を磨く俺の顔を覗き込み「まーお(お風呂入れてくれよン)」と媚売る愛くるしい表情に負けて、「5分だけだかンな」開放するや飛び込むメイ(♀)さん。
俺は身支度整え火の元、戸締り確認し出社したわけだが。
・・・。
どうもメイがバスルームに入ったままなのにも関わらず扉を閉めて会社に向かってしまったらしい・・・ってのを気が付いたのが先程、つまり同業の社長といつもの店で心地よく呑んで帰宅した午前0時。
帰宅するといつもは2匹が「まままーお(ダブってる声)」と愛しさ爆裂で玄関待ち伏せしてるはずなのに今日に限ってはクロ(♂)だけ。
「まーお」の独唱が不安を煽る。
メイの不在に酔いはぶっとび、彼女の名を呼びまくる俺はバスルームの前で足を止め、暑くもないのに嫌な汗が額から滲む。
「ごめんよぉ」
と言いながらドアを開くと「まーおおおおお」と怯えるように飛び出してくるメイ、が出た後のバスルームはきっつい獣匂とおしっこの匂いが充満してて先ほどまで泣きながら掃除してました。
メイちゃん。
「ごめんよぉ」