今朝、寝坊した上、ごみ収集日ということを忘れていて慌てて回収している俺の目の前で見せつけるように吐瀉物吐いては「片づけておきたまえ」なんてこちらを一瞥して立ち去る黒い生物に「俺はこの家のヒエラルキー最下層かよ」と短い溜息すらも時間の無駄、無駄、無駄、ああもうホント無駄を処理して車に乗り込む。

遅刻覚悟の車内、FMから流れるは夏を惜しむようなソレっぽいJポップ。

いつまでも夏してろ、お花畑の皆様。

なんて、何もなかった夏とお前らリア充に毒吐きながらのシフトチェンジは悪戯に嫌な汗の量と血圧を上げるだけ。
右手親指の爪を噛んだってそんなイライラ仕草なんて誰もみちゃくれない。

・・・また夏が終わる、もうさよならだね・・・

FMからは、ああ、これは、懐かしいな。
ミスチルのデビュー曲、「君がいた夏」だっけか。
と、同時に、27、8年前の情景が蘇る。

「ちょっと、これ、この曲!このバンド!これから売れるよ!」

俺の部屋にノックのせずに細長くうすぺらい板、CDシングルを片手に宝物を発見したかのようなキラキラした笑顔で奴は飛びこんできた。

「バンド名が気に食わない。却下」

俺は聴きもせずにそんな言葉を放り投げた。
憮然とする彼女。
ところがその後のそのバンドの快進撃は周知のとおり。
「私が育てた」と言わんばかりの誇らしげな笑顔は今でも忘れられない。

松本。
彼女の苗字は松本。
名前ももちろん覚えてる。
なれなれしく名前に「ちゃん」や呼び捨てする俺が、苗字で「松本」と呼んでいた珍しい存在だった。
学生アパート、俺が2階で奴が1階に住んでいた。
お互い気が合いすぎて、当時付き合ってたお互いの異性が離れていったほど俺らは日々が近すぎた。

一緒に居るのが至極自然なほど。

学校から帰れば、どっちかの部屋にどっちかが「めしー」といって当然のように上がりこみ、くだらないことをだらしないかっこで何時間もだべったり、本棚漁っては沈黙が心地いいほどお互いがそこにいるのが当然な空間がそこにあった。
異性として俺を意識してなかった松本は、異性関係を平気で俺に相談してきたが、結局長続きしなかったのが俺らの距離の近さだなんて気づいたのは果たしていつだったろうな。
俺にしても何か困ったことがあるごとに、「松本に相談しようか・・・でもたぶん冷やかされるだろから、やめとこ」なんて、どっかで聴いたことあるフレーズよろしく、親友以上のスタンスで接していた。

果たしてこんな俺らがベターハーフだったのかどうかの答えなんて、彼女が俺の苗字になって、子を産み、そして「分かり合えない」なんてこと分かり合い別の道を歩んでいった経緯から、なるほど、なんて頷く俺は人生の面白さ、可笑しさ、難しさに苦笑しながら。

会社を遅刻した。

(´・ω・`)

 

 

<Tips>

FMで流れる曲に耳を傾けながら「そういえば数年前に書いたブログで同じような憧憬を抱いたこと書いたよな」なんて思い出してまたも引っ張り出し間違え探し程度の修正施し表現してみたわけだけど、やはり今回もどうみてもズルしてるだけで横着な所業です、本当にありがとうございました。

べ、別に遅刻含め嘘ついてないし別にええやろ(←またも逆切レ)

ちなみに「彼女はいつもミルクティー」も「授業の内容は~つかえません」もB'zの「恋心」の歌詞です。