愛犬の安楽死を決断する、これは飼い主さんにとって言葉では表現できない程の辛さ、苦しみ、悲しみ、これらの気持ち全が飼い主さんを襲う、とても最悪な決断だ。

 

安楽死反対派の人から見たら、ひどいことに思えるかもしれない。しかし、安楽死を選択するという決意は”愛犬をこれ以上苦しませたくない”という最大の愛なのかもしれないと私は思う。なぜなら誰だって1日でも長く愛犬に側にいて欲しいだろう。愛犬を失うという事は、最大最高の愛を失うという事だ。

 

仕事上、しばしばペット達が虹の橋を渡る直前まで飼い主さんのサポートをする事が多くなる。飼い主さん達が最終的に安楽死を選択するまでの苦しみ、悲しみ、とても

辛い戦いは何度も見てきている。その都度、私は胸が張り裂ける思いだ。

 

先日、又1匹、飼い主さんの愛犬が虹の橋を渡った。4ヶ月前に癌と診断された子だ。癌は脾臓と肝臓に見つかった。抗がん剤治療も進行中だったが、これという体調変化は見られなかったらしい、しかし先週末辺り、突然の飲食拒否から始まり、嘔吐下痢。。

夜中にERに連れて行き、無事に愛犬は帰宅出来たが、その後の容態は飼い主さんの希望に反した結果になってしまった。

 

飼い主さんは他州に住んでいるので、私とのやり取りは電話とビデオを通してだ。Vital signsをとってもらい、その時の健康状態をチェックしてもらった。残念にも食飲拒否は続き、チアノーゼが生じていた。私は病院へ即連絡することを勧めたが、これ以上、愛犬にストレスを与えたく無いという飼い主さんの思いで病院へ愛犬を連れ戻す事はなかった。

 

安楽死への選択に悩み苦しむ飼い主さん、とてもとても辛い選択だ。愛犬の癌は既に転移をしていて、他の臓器にもあっという間に転移をする可能性も高いだろう。ひょっとしたら既にしている可能性もある。今後の回復は難しいだろう。これ以上苦しんでいく愛犬の姿を見たく無い、愛犬に苦しんで欲しく無いという思いで、長年連れ添った最愛の愛犬を眠らすことを決断した飼い主さん。愛犬の事を愛するからこそ、決断できたんだと思う。

 

安楽死を決断する、とてもとても勇気のいる決断だ。私自身も経験した事があるが故に、毎回、胸がとても痛くなり、仕事を辞めたいと、心によぎる瞬間でもある。

 

犬達の寿命は短い分、病気の進行も早い、癌の進行度は人間の約5ー7倍くらい早い。愛犬が一日体調が悪いというのは、彼らにとったら一週間辛い思いをしているという事だ。癌は症状が出た時には進行をしている事が多い。恐ろしい病気だ。どんな小さなサインを見逃さないように、それが出来るのは飼い主さんだ。頑張って欲しい。