以前、「大宇宙」というタイトルの科学雑誌Newtonの別冊を買いました。内容は「空間編」と「時間編」に分かれていて、それぞれ「宇の章 137億光年の彼方へ」と「宙の章 137億年の全歴史」というサブタイトルがついていました。

 

 つまり「宇宙」という言葉を「宇」と「宙」の二つの語に分割して、それぞれの視座から宇宙を説明しようという構成になっているのです。


 『宇宙の「宇」という漢字には「空間的な広がり」という意味があるといいます。一方、「宙」には「時間的な広がり」という意味があるといいます。

 つまり「宇宙」という言葉は、地球や太陽が浮かぶ宇宙空間を指すだけでなく、宇宙誕生時から現在、未来までをつらぬく悠久の時間の流れをも含んでいるのです。』Newtonの冒頭はこのように始まります。


 アインシュタインは、ニュートンのように時間と空間を独立した絶対的なものとは考えず、時間と空間を合わせて表現する「時空」という概念から宇宙を考察しました。これは彼の偉大な業績である相対性理論の基礎となります。

 

 ところが、古代中国ではおよそ3000年以上前(殷の時代)に時間と空間の関係に気づき、それぞれの意味を持つ文字を組み合わせることで「宇宙」を定義しました。

 

 つまり20世紀になってやっと物理学が到達した考え方を、その遥か昔に、当たり前のように理解し、日常的に用いていたわけです。これは本当に凄いことだと思います。「易経」には聖人が漢字を作ったと記されていますが、もしかしたら瞑想を通して知りえたのかもしれません。