ステイゴールド4 | トランシルヴァニア カルパチア山脈 ドラキュラ城の黄昏

トランシルヴァニア カルパチア山脈 ドラキュラ城の黄昏

自分のペースで、淡々と、出来る時に更新します。ゆるーく行きます。

ステイお父さんとディープインパクトは父親が同じサンデーサイレンスだから、腹違いの兄弟にあたる。なのに何故、二人はあんなにキャラクターが違うのか?

それは母親が違うからとしか言いようがない。

サンデーおじいさんは言うまでもなく、気性難なのだが、ディープに気性難は遺伝しなかった。ディープの母親はウィンドインハーヘアという優しい馬であり、ディープの性格はこのお母さんに似たため、優しく、大人しく、人懐っこい馬に育ったのである。外見はいかにもサンデーサイレンス系だったが、先祖からの狂気の血は競馬で走るパワーだけに全振りされ、日常生活には影響しなかったのである。しかも、ディープにはディクタスの血は混じっていない。

一方ステイお父さんは、サンデーおじいさんからガッツリ気性難が遺伝した。しかも、母親のゴールデンサッシュも気性難であり、母父はディクタスという化け物だった。大人しい馬に生まれられる要素が皆無だったのである。

共有馬主を統括する社台サラブレッドクラブ代表の吉田晴哉は、「この馬のすごいところは、引退の話を出すスキを決して見せなかったところですね」と語り、毎回の出走予定をきっちりとこなし、勝てずとも賞金は必ず稼いでいたステイゴールドを「クラブで持つ馬としては理想的」、「ステイゴールドのような馬はいません。うちのクラブだけじゃなくて、競馬界全体を見てもほとんどいないんじゃないですかね。信じられない存在です」と評している。それだけステイお父さんは小柄だがタフな馬だったのである。

ステイお父さんのタフさは体の頑強さからのみ来るものではなく、やはり先祖ゆずりの非常に激しい気性からも来ていた。

池江泰寿は「肉をやったら食うんじゃないかと思ったほど凶暴だった」と言い、調教助手の池江敏行は、馬房の前を通るだけで突進してきたことから「猛獣」と評している。熊沢重文は「馬場へ出る前の運動でも、立つ、蹴る、噛むと悪さの連続。振り落とされるなんてのは特別珍しいことじゃないけど、乗るときに回し蹴りが飛んできたり、噛まれるのを心配したりなんて馬はやっぱりそんなに数多くいるものじゃないです」と述懐している。

調教では近付いてくる馬がいると立ち上がって威嚇するため他厩舎から避けられていた。白老ファーム場長の服巻滋之は、こうした激しさの由来をステイゴールドの母の父ディクタスに求めている。

日々の世話をしていた山元厩務員は「猛獣ではないよ。扱えないってほどの馬じゃない」と述べているが、それでも手を焼いたといい、「とにかく『自分が一番エライ』ということをいつもいつも主張している馬」、「自分のペース、自分のやり方に徹底してこだわり、やりたくないことは頑としてやらない強情さは、引退まで変わりませんでしたね」と述懐している。また、熊沢は乗り手の立場から「総合してみると、おだてる、という意識をもって乗ってないとだめだった。ダメ、それしちゃダメ、とか表現するのではなくて、そうそう、そうそう、それでいいんだよ、って感覚ですね。ソッポ向かれたらお手上げだったんで」と述べ、その性格については「僕らが要求したことに対して、それは譲れる、それは譲れないっていうのをちゃんと表現してくれるわけ。そういう意味では、基本的には扱いにくい馬なんだけど、わかってやれば、中途はんぱな馬よりは扱いやすい。何がしたい、どうしたらいいのか分かる馬だけに扱いやすい。だからみんな入れ込んでしまう」と語っている。話を聞くだに、物凄い馬だと感じる。そして、熊沢騎手の話が横山騎手の話とダブる。シップちゃんの現役時代とそっくりではないか。

要するに、ステイお父さんをもう少しマイルドにして、白くして可愛くしたらシップちゃんになるのではないかと私は思ったのだ。本当にお馬の親子、馬の遺伝子って凄い・・・。