脳卒中のリハビリは、単なる運動訓練ではなく、患者の生活の質(QOL)を向上させるための戦略的なアプローチが必要です。
本記事では、脳卒中後の治療戦略と具体的な運動療法について詳しく解説します。
脳卒中の治療戦略
脳卒中の治療には、発症直後の急性期治療だけでなく、慢性期に向けた包括的な戦略が求められます。
2までが主に病院の入院中に対応していくことになり、訪問マッサージでは3以降が主な対応時期になります。
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急性期(発症~1か月)
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血栓を溶かす治療(t-PA療法)や血栓回収療法の実施。
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早期離床を促し、廃用症候群(長期間動かないことによる筋力低下)を防ぐ。
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回復期(1か月~6か月)
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リハビリテーション病院での本格的な機能回復訓練。
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神経可塑性(脳が新しい回路を作り直す能力)を活かしたリハビリを実施。
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維持・慢性期(6か月以降)
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自宅や通院リハビリで機能維持・向上を目指す。
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生活環境の調整やセルフケアの強化。
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脳卒中後の運動療法
運動療法は、麻痺や筋力低下を改善し、日常生活をより快適にするために重要です。
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関節可動域(ROM)運動
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硬くなった関節をゆっくりと動かし、可動域を広げる。
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他動運動(セラピストや家族が補助)から自動運動へ移行。
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筋力強化トレーニング
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自体重や軽いダンベルを使った筋トレを行い、筋力回復を促す。
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上肢と下肢のバランスを考慮しながら鍛える。
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バランス訓練
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片足立ち、バランスボードを活用し、体幹の安定性を向上。
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転倒防止のため、立ち上がり・座る動作の訓練を反復。
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歩行訓練
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平行棒や杖を使った歩行練習を行い、歩行パターンを調整。
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補助具を活用しながら、日常動作を意識した歩行を練習。
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協調運動訓練
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上肢の巧緻運動(手の細かい動き)を回復させる練習。
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指のグーパー運動やペンを持つ訓練などを実施。
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リハビリの進め方とポイント
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早期介入:発症後すぐに適切な運動療法を開始することが回復の鍵。
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個別対応:患者の症状に合わせたカスタマイズされたプログラムを実施。
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継続的なリハビリ:回復期を過ぎても、機能維持のための運動を続ける。
セルフケアと家庭でのリハビリ
家庭での運動療法も重要です。日常生活の中で簡単にできるトレーニングを取り入れましょう。
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朝のストレッチ:寝起きに軽いストレッチを行い、関節を動かす。
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家事をリハビリに活用:洗濯物をたたむ、食器を片付けるなどの動作を積極的に行う。
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毎日の歩行習慣:近所を散歩することで、足腰の筋力維持を図る。
まとめ
脳卒中の運動療法は、単なる筋力回復だけでなく、日常生活の質を向上させるために不可欠です。急性期・回復期・慢性期の各フェーズで適切な運動を取り入れ、無理のない範囲で継続することが大切です。リハビリは継続が鍵となるため、家族の協力や専門家の指導を受けながら、根気よく取り組みましょう。