「カラマツの育苗の成功が日本一の造林に」
信州の木というと、カラマツ。
4、5年前に「信州プレミアムカラマツ」の報道を目にしました。
「信州プレミアムカラマツ」は、ブランド化したカラマツで、樹齢80年以上、直径30cm以上の高品質な丸太を選定しています。
カラマツは、樹齢が増すとねじれにくくなり、赤みがかった独特の色合いと、木目の力強さに価値が見いだされるようです。
カラマツの生産地として北海道は全国一の生産量ですが、カラマツの母樹「天然落葉松(てんから)」は本州中央高地に集中していています。
そして、長野県のカラマツは樹齢80年を超す木が全国で最も多く、質の良さを誇っています。
年輪が樹齢をあらわし、長い年月の歴史がそこにあります。
現存する最古のカラマツ人工林は、小諸藩が江戸時代に浅間山麓南ヶ原に造林したものだそうです。
カラマツは、種子の豊凶周期が5~7年で、前年の気候の影響も受けやすい樹木です。
「佐久の先人」によると、明治初期に、大谷地村(現佐久市)で、松本谷吉、清水清吉のお二人が育苗技術を開発し、種の行商と技術指導をしたことで、植林は県内に拡がり、長野県は樹齢の長い木が多くなったようです。
それまでは、自生の山抜苗で増やす植林だったため、数に限りがありましたが、種子育苗が大きな転換点になりました。
しかし、明治15年の緊縮財政実施による「松方デフレ」で、不況になり、二人のカラマツの種苗業は挫折…。
後に、育苗技術を伝授された方々が各地で後を継ぎ、日本各地、世界へと拡大されたようです。
荒れた山林を整備するとき、カラマツは生長が早く、橋梁・坑木・建築など多様に使えるため、植林に好適な樹木です。
第二次世界大戦後は、河川の波床材や湾岸整備用に使われ、私の父の起業時の販売品目にもなっていました。
高齢樹は芯に腐りが入りやすい点や、育苗にも技術の向上が求められているようで、温暖化に伴う研究とともに地味な研究が進んでいます。
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