華やかなトップモデルの光と影ー事故死した前夫が忘れられないの 小説 求愛～伝説の名作選～感想

求愛　ハーレクイン・ロマンス～伝説の名作選～ 著者 : ヘレン・ビアンチン ハーレクイン 発売日 : 2020-01-23 ブクログでレビューを見る»

うーん、何とも感想が書きにくいです。

お話の内容としては、不幸にして新婚の夢覚めやらぬ時期に夫を失ったヒロインの心の軌跡を描いたもの。
元夫はカーレーサーで、事故死でした。
ヒロインは有名なトップモデル。彼女が大富豪にして、やり手の実業家だけでなく、新進気鋭の画家という顔をも持つドミニクと出逢い、彼の猛烈アタックを受け始めたところから、ヒロインの葛藤が始まります。
ーもう、愛する大切な人を失うのは二度といや。
そんな想いがドミニクに急速に傾いてゆくヒロインの心に歯止めをかけようとします。
ドミニクは彼女の激しい葛藤と戸惑いを正しく見抜き、辛抱強く優しくフランチェスカが自身の周囲に何重にも巡らせた防御壁を崩し、真の彼女に触れようとしました。

とても懐の大きな、誠実な男性だと思います。
彼がフランチェスカに接近したのは、何も彼女の外見の美しさのみに惹かれたかれではなく、彼女自身を丸ごと必要としていて、愛したからなのだと判ります。
あそこまで大切にされたら、女性なら誰でも、哀しい過去を乗り越えてもう一度幸せになりたい、と願わずにはいられないでしょう。

結局、ドミニクのおおらかな愛がフランチェスカの深く傷ついた心と過去を癒やし、二人は心身共に結ばれゴールインしました。
夫の不幸な事故死により深く傷ついたヒロインが再び新しい愛を見つけ、過去を乗り越えるプロセスが丁寧に描かれていて、良い作品だとは思うのですが、、、
何故か今ひとつ物語りにも人物にも感情移入できませんでした。
実はこの前に日本の作家の描いた恋愛ものを読みました。
女性の方に聴覚障がいがある、若い男女の恋愛を描いた作品でした。
主人公カップルの年代としては、こちらの「求愛」とほぼ同じかと思いますが、私としてはごくごく普通のサラリーマンとOLの身近な、そして障がいゆえに時にぶつかり合う二人の真摯な恋愛を読んだばかりのせいか、イケメン大富豪とトップモデルの華やかな恋愛はあまりにもゴージャスすぎました。
内容は良いのですが、やはり特権階級というか富裕階級、セレブの世界のお話で今ひとつピンと来ない。
仮に前に日本のごく普通の若者の恋愛ものを読まなければ、いつものようにハーレの華やかな世界にもう少し入り込めたのかもしれません。