小説 夢見桜~ゆめみざくら~暴れると気絶させるぞ、ここで抱かれたいのか?一馬様が殿様だったなんて | FLOWERS~ めぐみの夢恋語り~・ブログで小説やってます☆

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小説 夢見桜~ゆめみざくら~

 尼僧志願の少女、お吟がある日、寺の桜の木の下で出会った若き武士は一馬と名乗った。

次第に接近してゆく二人であったが、お吟が剃髪して尼となる日は近付く。
そんなある日、お吟はその国を治める殿様から側妾になるように命じられた。
―顔も知らない殿様が何故?
夜陰に紛れて寺を逃げ出したお吟の前に何故か一馬が現れ―。

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 少女お吟は貧しい農家に生まれ育った。さる飢饉の年、女衒に売られ遊女屋に売り飛ばされるはずだったところ、村の尼寺の住職光円(こうえん)に弟子入りし、尼寺で将来は尼僧になるための修行をしながら暮らすことになった。

 寺の片隅にある夢見桜には、不思議な言い伝えがあった。
 それは、その桜の下で見た夢は、その夢を見た者の未来を暗示するというものだった。

 ある日、吟は夢見桜の下でうたた寝をする最中、不思議な夢を見る。それは得体の知れぬ大きな魔物に追いかけられ、飲み込まれようとする夢であった。
 その夢からめざめた直後、彼女は一馬(かずま)という一人の若い武士とめぐり逢うが。。。

 それ以来、寺をしばしば訪ねてくるようになった一馬に吟は実の兄に対するような信頼と慕わしさを抱くようになり―。

 果たして、謎の男一馬の正体は?
 そして、夢見桜は吟に一体、何を告げようとしていたのか。
 

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「一馬さま、これは、どういうことにございますか?」
 幾分声に咎めるような響きがこもったのは、この場合致し方なかった。一馬は確かに吟を京へ至る西の道まで送り届けけると言ったはず。なのに、この峠道はその反対側の東の道であり、京の方角とは正反対だ。
「一馬さま?」
 声高く呼んだ時、ふと一馬が吟を見た。見上げる一馬の貌を月明かりが蒼白く浮かび上がらせている。ふいに、吟は一馬が全く見知らぬ別人のように思えた。酷薄とも思える冷たい眼差しで吟を見下ろすその様に、吟は恐怖を感じた。
 いつしか吟のか細い身体に一馬の腕が回っていた。
「降ろして、降ろして下さい」
 吟は懸命に一馬の腕から逃れようとする。だが、一馬は圧倒的な力で吟を押さえ込んでいた。
「暴れるな」
 それでも、吟は渾身の力で抗い、馬を下りようとする。一馬が薄く笑った。
「あまり暴れると、気絶させるぞ。それとも、このまま、ここで抱かれたいのか?」
「―?」
 吟は咄嗟には一馬の言葉の意味を理解できなかった。
―なに、一馬さまが何故、どうして? 
 愕きが吟を混乱させた。
「このまま城まで走るぞ」
 一馬が冷たい笑いを浮かべ、吟を見た。物凄い早さで走り出した馬に振り落とされまいと、吟は本能的な恐怖で思わず一馬にしがみつく。一馬は酷薄な笑いを刻むと、馬の横腹を蹴り、いっそう速度を上げた。
 吟が連れてゆかれたのは、何と立派な城であった。玄武藩の藩主京極家の居城である。馬から下りた一馬は吟を軽々と抱え、歩いた。磨き抜かれた廊下を幾度も折れ曲がり、辿り着いた部屋の中にドサリと音を立てて投げだされた。
「お吟、手荒なことはしたくないのだ。俺の言うことを大人しくきくのだ、良いな?」
 念を押すように言われ、吟は激しく首を振った。
「一馬さまがお殿さまだったのですね?」
 吟の眼に涙が溢れていた。自分は最初からこの男に騙されていたのだ。いつも温かな眼差しで見つめ、優しげな言葉をくれた男性だった。逃亡のことも信じているから、一馬だけには話したし、今夜だって、彼を信じていたからこそ本当に送ってくれるのだと馬に乗った。なのに―。
 自分は端(はな)からこの男に良いように騙されていた。やすやすと騙された自分の浅はかさを、吟は情けなく思った。
「信じていたのに」
 言葉にしたら、途端に涙が頬をすべり落ちた。
「何故、そのように俺を嫌う? 佐中一馬としてそなたと話していた時、そなたは俺に好意を持っていたのではなかったのか?」
 一馬が訊ねるのに、吟は泣きながら首を振った。
「私は一馬さまのことを兄のようにお慕いしておりました」
 刹那、一馬の表情が泣き笑いの貌に歪む。
 しばらく唇を噛みしめ、一馬が振り絞るように言った。
「そなたは始めから俺を兄のようにしか見てはいなかったというのか」
 重い沈黙が二人の間に横たわった。
「俺は、そなたの兄ではないッ!」
 突然、一馬が怒鳴り、吟はあまりの見幕に怯えた。
「お吟、お吟は俺を嫌いか?」
 吟の怯えた様子に、一馬が心もち優しげに問う。だが、いかにも作りものめいた笑いは、かえって不気味にさえ思え、吟は余計に身を竦ませた。
「私は―」
 吟は知らず知らず一馬から後ずさった。
 怖かった。今夜の一馬は、あの優しい一馬とは全くの吟の見知らぬ男であった。
「お吟、たとえ、何があっても俺はそなたを離さぬ。尼になどさせるものか。そなたは俺のものになるのだ」
 一馬が迫ってくる度に、吟は後ろへじりじりと追いつめられた。まるで心ない狩人に追われている野ウサギのようである。
 ふいに一馬が吟の腕を掴んだ。
「―!」
 吟が小さな悲鳴を上げる。続いて一馬の手が吟の帯にかかった。
「いや―、一馬さまっ、止めて。こんなこと、止めて下さい」
 吟の眼から涙がしたたり落ち、畳を濡らす。
 帯、腰紐を解いた一馬は、腰紐で吟の両手を上に持ち上げて縛った。
「いやっ」
 吟は何もかもが信じられなかった。あの一馬が自分を縛りつけ、狂ったように裸にしてゆく。そのあまりの変わり様に、吟はひたすら怯えた。
 ひんやりとした夜気が剥きだしになった裸の肩や胸にまとわりついた。溢れる涙を抑えることも拭うこともできず、吟は涙を流し続けた。
「その唇―」
 一馬が恍惚とした表情で呟いた。一瞬、吟は何のことか判らず、大きな眼を見開いた。
「吟、そちは自分で気づいているのか? そなたの唇は淫乱だ。ひとめ見ただけでは虫も殺さぬような純情な娘だが、そなたの唇は毒々しいほどに紅い」
 一馬の言葉は、ひどく吟の心を傷つけた。自分では全く自覚どころか考えたこともないことを指摘されても、どうしたら良いのか判らない。
「そんな酷(ひど)い―」
 吟がまた泣きそうになった時、一馬が熱い吐息混じりに囁いた。
「それは男を誘い、惑わす魔性の唇だ」
 刹那、一馬が吟の唇を荒々しく塞いだ。
 息苦しさにもがき、くぐもった声を上げれば、それすら一馬にとっては悦びらしく、余計に熱い唇を押しつけてくる。吟の悲鳴は一馬の唇にことごとく吸い取られ、洩れるのは荒すぎる吐息ばかりであった。
「そなたは男を虜にする魔性の女だ―」
 一馬が熱に浮かされたように呟く。
 熱い感触が唇からうなじ、胸のふくらみへと徐々に降りてゆく。吟はそれでも逃れようと暴れた。だが、両手はまとめて縛り上げられ、自由は半ば奪われていては、抵抗らしい抵抗もできない。
 一馬は自分を拒否し続ける吟にかなり苛立っているように見えた。まるで何ものかに憑かれたように、吟を荒々しく組み敷いている。
 ふいに胸をきつく吸われ、吟は悲鳴を上げた。一馬は泣いて嫌がる吟には頓着せず、痛いほどに胸を吸う。その跡が痣となり、赤いしるしがまるで花びらのように吟の白い肌に散る。吟は次第に朦朧としてゆく意識の底で、いっそのこと死んでしまいたいと考えていた。
 兄のように慕っていた一馬。一馬の言うように男に対しての思慕ではなかったけれど、吟は一馬を確かに好きだった。そんな一馬に騙され城に連れ去られ、こうして陵辱されている。
 吟が大人しくなったのを諦めたと思ったのだう、一馬が顔を覗き込んだ。
「可愛い奴だ」
 また口づけを降るように落としながら、一馬は乱暴に吟の脚を開いた。
「え、何―?」
 吟は最初、彼が何をしようとしているのかさえ理解できなかった。ほどなく激痛が彼女を襲った。

 

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