国際オリンピック委員会(IOC)が17日の理事会で、2020年東京五輪・パラリンピックの追加競技、野球・ソフトボールの追加会場を福島県営あづま球場(福島市)とすることを承認した。五輪競技の開催は東日本大震災からの「復興五輪」の意義を世界にアピールすることになる。今後は開催にあたって前提となった球場改修費の役割分担が焦点となる。

 福島開催を進めてきた大会組織委員会の遠藤利明会長代行はラグビーの19年ワールドカップ(W杯)日本大会が岩手県釜石市で開催されることにも触れながら「ラグビーは釜石、五輪のサッカーは宮城、野球・ソフトは福島。これで被災地各県で開催できる」と歓迎。丸川珠代五輪担当相は東京電力福島第1原発事故の影響が残る福島での開催を「風評被害の払拭(ふっしょく)にも、大きな意味がある」と強調した。

 被災地復興をスポーツの力で後押しする「復興五輪」は招致段階でも多くのIOC委員の共感を呼んだ。バッハ会長も昨年10月、安倍晋三首相と会談して、野球・ソフトの1次リーグの日本戦の被災地での開催を提案するなど組織委の取り組みを後押しした。組織委は聖火リレーでも東北だけでなく、鳥取、熊本、大火のあった新潟県糸魚川市などの被災地を重点的に回る方針を示している。

 福島県も東京都と組織委、政府の3者と、6道県の自治体との費用負担を巡る協議に加わる。世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が要望した球場の改修費などに加えて、輸送や警備、テレビ放送のための光回線ケーブル敷設など開催経費がかかる。被災地に過重な負担を掛けるようならば、復興支援の動きに逆行しかねない。

 東京都の小池百合子知事は「東北が元気になる姿を世界に発信するお手伝いができればと考えている」と述べた。役割分担を巡る協議を早期に決着して、円滑に準備を進めることが求められる。【田原和宏、芳賀竜也】
(2017/3/17 毎日新聞)

<コメント>
★福島県営あづま球場に決定した理由

①県営球場であり費用負担問題への対応に県負担も含めた対応が柔軟にできる。
②唯一「ふくしま」の名前を冠した球場であり、かつ福島市に立地することから海外へ「福島開催」を印象付けしやすい。
③メディアセンターなど関連施設を受け入れるための公園内の既存施設が充実しておりいずれも県営施設である。
④雄大な吾妻山系の山並みと水質全国一位の荒川など豊かな自然環境を背後に控えたあづま総合運動公園は海外に対して、復興や安全性や魅力を印象付けるに適当。
⑤隣接のあづま総合体育館は震災時大規模避難所としてのべ11万人の避難者を受け入れており、避難所から五輪会場へと復興を印象付けるに象徴的。

 


(写真)横浜スタジアムとともに五輪会場に決定したあづま球場

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(関連リンク)
公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
https://tokyo2020.jp/jp/
公益財団法人福島県都市公園・緑化協会(あづま球場)
http://www.azumapark.or.jp/?park=%E3%81%82%E3%81%A5%E3%81%BE%E7%90%83%E5%A0%B4