舞台とはドラマ(能)を発生させる、気(エネルギー)に満ちた場です。
役者は舞台からエネルギーを吸い上げることによって、謡い、舞い、囃し、能という激烈な化学反応を起こし、その発生したエネルギーを舞台に還元して舞台を去ります。
シテ方で言えば、おそらく立ち役は白足袋を履いた足の裏から、地謡は扇子の先を接点としてエネルギーを吸い上げています。
というわけで、観世流では地謡は謡う前に必ず扇子の竹の部分を舞台に付け、謡い終わると扇子を置き、手を袴に入れてしまいます。
右は能の場合の扇子の構え方、左はそれ以外、素謡や仕舞、舞囃子の時の持ち方です。
要元を下にして立てるか、要を持って斜めに構えるかという違いがあります。
要元を立てる、能の場合の持ち方でも家によって違いがあり、僕は梅若六郎家なので写真のように扇子の親骨を横に向けて持ちますが、他の家では親骨を正面に、矢来さんだけはその中間で斜めに向けます。
他所のお家との混成地謡の場合、地頭もしくはシテの家の持ち方に合わせる打ち合わせをしてから舞台に出ます。