長年、肉は嫌いだった。
夫の苦手な鶏肉をはじめ、加工品を含めて、
肉料理を避けていた。
薬剤師の弟のアドバイスもあったが、大正生まれの母の影響もあった。
たまに良質の牛肉ですき焼きをしたり、定評のある焼肉屋や、ホテルなどのレストランのステーキを頂くことはあっても、ハムやソーセージを買うことは皆無だった。
頂き物の肉製品は、高級品が多いので、渋々食べていたが…。
弟の死を境に、肉を解禁して、どんな肉でも食べることにした。
ただし、夫の嫌いな鶏肉だけはオフのままだ。
内緒だが、私は焼き鳥や手羽先が好き。時々1人で食べに行くことも。
なので、肉料理のレパートリーが少ない。
鍋物やステーキ以外ではハンバーグ、餃子、焼き豚、肉じゃが、牛すじどて煮、牛すじカレーなど。
気が付いたら、変わった部位が好みだった。
牛のタンやすじ、テール、ホルモン…。
その流れでスペアリブ。
映画友だちのお宅でよばれたこの料理は絶品だった。
同年代の彼女は大の肉好き。
流石の味付けだ。
作っても家族は喜ぶかな?
なかなか入手できない部位なので、諦めていた。
先日、生協で突然見かけたので注文した。
冷凍素材なので、2度に分けて作る。
頂き物のプルコギのタレを揉み込み、一晩冷蔵。
圧力鍋に入れて水、醤油、はちみつ、ニンニク、ショウガを加えて、シュッシュッを5分。
冷めたら強火でタレを煮詰め、すぐに食べた。
いい加減な味付けなのに、なかなかいける。
夫も気に入ったようだ。
他の副菜には手を付けず、ひたすら頂く。
骨を噛まないように、気をつけながら齧る。
夫はうまく食べられないようだが、私は犬よりきれいに食べ尽くした。
魚料理は夫婦とも上手に食べられるのに。
かくしてスペアリブは、私のレパートリーになった。
2度目もうまくいったようだ。
もう、朝から齧りたくなるのを抑えられない。
春の朝ふとスペアリブ食む欲望
スペアリブ気長に齧る春の昼