キリコの形而上絵画は、アンドレ・ブルトンらのシュルレアリスムのグループに気に入られ、一時は行動を共にしたようですが、肌が合わずに決別したようです・・・ダッシュムキー

 

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写真1(↓):「南の歌」(1930年ごろ)

 

 

印象派のルノワールのような筆遣いがみられます・・・目

 

写真2(↓):「風景の中で水浴する女たちと赤い布」(1945年)

 

 

女性のポーズは新古典主義のドミニク・アングルの「グランド・オダリスク」にそっくりです・・・ラブ

 

このようにデ・キリコは1920年代から、ルネサンス、バロック、印象派などの手法を取り入れた絵を描き始め、形而上的でもシュールでもなくなっていったので、シュルレアリスト達から批判されるようになったようです。

 

 デ・キリコの形而上絵画とシュルレアリスム絵画との共通点といえば、デペイズマン(本来あるべき場所から物やイメージを移し、別の場所に配置することで生じる驚異)がありますが、デ・キリコはそこに独自の詩情を表現しようとしますが、シュルレアリストはそこにフロイトの無意識の働きを見ようとするため、違和が生じたようです。

 

デ・キリコは、フロイトの無意識に閉じ込められるのが窮屈だったのではないでしょうか・・・

 

写真3(↓):「オデュッセウスの帰還」(1968年)

 

 

デ・キリコはオデュッセウスのように、長い放浪の旅の末、帰還を果たします・・・船

 

写真4(↓):壁にかけられた「バラ色の塔のあるイタリア広場」

 

 

これは1913年、初めて買い手のついた記念すべき絵であり、形而上絵画の出発点とも言えるものです。

 

原点に戻ったデ・キリコは、ここから生涯を閉じる1978年までの10年間、新形而上絵画の時代を迎えます。

 

次回、それらの中から、印象に残った作品を見ていきたいと思います・・・走る人

 

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