ETCレーンでの追突;ゲート手前で停車~ETCレーンでの追突事故~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 高速道路の出入口のETC専用レーンの2~30メートル手前で先行車が停車しました。
  そんなところで先行車が止まっているとは思わなかったので,後ろを走る私の自動車は急ブレーキをかけることになりました。
  その結果,追突してしまいました。
  先行車のドライバーがETCカードの挿入を怠っていたことが原因のようです。
  先行車側のミスなのだから,過失があるのではないですか。


誤解ありがち度 4(5段階)
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A 先行車の過失による過失相殺は否定される傾向にあります。

【ETCレーンでの追突;ゲート手前で停車】
高速道路の出入口のETC専用レーンの2~30メートル手前で先行車が停車しました。
そんなところで先行車が止まっているとは思わなかったので,後ろを走る私の自動車は急ブレーキをかけることになりました。
その結果,追突してしまいました。
先行車のドライバーがETCカードの挿入を怠っていたことが原因のようです。
先行車側のミスなのだから,過失があるのではないですか。

→先行車の過失による過失相殺は否定される傾向にあります。

先行車が,ETCカード挿入を忘れていることに気付いた→とりあえず停車→車内でカードを探して挿入,という動作に出ることがあるでしょう。
その場合,カード挿入忘れの警報音が鳴り,ゲートの少し前で気付く,ということになりがちです。
後続車のドライバーとしては,「想定外の場所に停車している」と感じることでしょう。
直前まで「停車している」ように思えず,結果的に急ブレーキになってしまい,間に合わずに追突した,というケースも生じています。
この場合,後続車としては「どうせ停車するならゲート直前であればブレーキが間に合った」とも思えましょう。
一方,前方注視義務,車間距離保持義務が不十分だった,という考えもあります。
このようなケースについての裁判例は数少ないですが,「先行車の過失割合=ゼロ」という傾向があります(裁判例後掲)。
ETCレーン一帯について,「前方注視義務」「車間距離保持義務」は,一般的なケースよりも重視されているということです。
ETCシステム利用規程においては,「徐行」や「車間保持義務」の対象は「ETC車線」とされています。
文言上も,やや広いエリアを対象としている,と読めます。

[ETCシステム利用規程]
(通行上の注意事項)
第8条 ETCシステムを利用する者は、ETC車線(スマートIC(地方公共団体が主体となって発意し、当該地方公共団体が高速自動車国道法(昭和32年法律第79号)第11条の2第1項の規定に基づき連結許可を受けた同法第11条第一号の施設で、道路整備特別措置法施行規則(昭和31年建設省令第18号)第13条第2項第三号本文に規定するETC専用施設のみが設置され、同号イに規定するETC通行車のみが通行可能なインターチェンジをいいます。以下同じです。)の車線及び一旦停止を要するETC車線(ETCシステム利用規程実施細則第5条その他の事項に定める料金所にあります。以下同じです。)を除きます。)を通行する場合は、次の各号に掲げる事項を遵守しなければいけません。
一 車線表示板(料金所の車線上に設置されたETCシステムの利用の可否を示す案内板をいいます。以下同じです。)に「ETC」若しくは「ETC専用」(これらの表示がある車線では、ETCシステムを利用する自動車しか通行できません。)又は「ETC/一般」(この表示がある車線では、ETCシステムを利用する自動車及びいったん停車して係員に対して通行料金を支払う車両(道路運送車両法第2条第1項に規定する道路運送車両のうち、軽車両を除くものをいいます。以下同じです。)が通行できます。)と表示されるので、これらの表示によりETC車線が利用可能であることを確認し、20キロメートル毎時以下に減速して進入すること。
二 ETC車線内は徐行して通行すること。
三 前車が停車することがあるので、必要な車間距離を保持すること。特に「ETC/一般」と表示のある車線では、前車がETCシステムを利用しない場合は、いったん停車するので注意すること。
 四~七(略)
2~5(略)

[平成21年 9月 4日 名古屋地裁 平20(ワ)5522号]
ア 原告X2は,X車両を運転して,本件事故現場付近の高速道路のETCゲートに進入しようとしたところ,ETCカードを挿入していないことに気付いたことから,ETCカードを挿入していない一般車両でも通過できるレーンに移動すべく,ETCゲート手前のETC車線のアイランドの少し手前でX車両を停止させた。原告X2は,料金所が近づいたところでX車両の速度を落とし,時速10ないし15キロメートルほどで走行していたので,急ブレーキをかけることなく,上記の地点にX車両を停止させた。
 X車両のすぐ後には,a車両が,X車両に追突することなく停止した。
 原告X2は,停車後,同地点で停車を続けることで渋滞になるなどしてはいけないと,早く移動しなければならないと思ったが,X車両の左右のレーンはいずれも車両の通行が激しく,流れが収まることがなかったので,移動することができないでいた。
 そして,X車両が停車してから30秒くらいは経ってから,Y1車両に追突されたあおりで停止していたa車両がX車両に追突するという本件事故が発生した(以上につき,甲15,原告X2本人)。
(略)
  (2) 以上によれば,本件事故は,X車両が停車した後30秒くらいという相当の時間が経過した後に,被告Y1が,X車両の後に停車したa車両に追突することによって生じた事故である。そして,被告Y1には,先行する車両に衝突しないような速度及び車間距離を保って走行すべき義務があるのにこれを怠ったためにa車両に追突することになったと推認されるから,被告Y1には,本件事故につき,上記義務を怠った過失がある。他方,原告X2は,上記認定のように,急停車をしたものではない(仮に,急停車したとしても,X車両の停車から本件事故の発生までに30秒くらいもの時間の経過があることからして,急停車が本件事故の原因とは認められない。)から,本件事故につき過失があるとはいえない。
 したがって,本件事故は,被告Y1の一方的な過失による事故であるというべきであり,被告らの過失相殺の主張は採用できない。

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