通路の幅の拡張~囲繞地通行権の通路幅拡張と建物再築~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 私は土地を所有していますが,周囲がすべて他の方の私有地です。
  1箇所だけ,通行させてもらっている通路があります。
  ただ,幅が1メートル程度です。
  2メートルくらいないと自動車が通らなくて不便です。
  また,建築基準法の接道要件を満たさないので,家の建替えができないと思います。
  2メートルまで拡げてもらうことはできますか。


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A 既存の通路の拡張は認められない傾向にあります。

【通路の幅の拡張】
私は土地を所有していますが,周囲がすべて他の方の私有地です。
1箇所だけ,通行させてもらっている通路があります。
ただ,幅が1メートル程度です。
2メートルくらいないと自動車が通らなくて不便です。
また,建築基準法の接道要件を満たさないので,家の建替えができないと思います。
2メートルまで拡げてもらうことはできますか。

→既存の通路の拡張は認められない傾向にあります。

通路の土地所有者との協議ができれば,当然ですが,可能です。
協議がまとまらない場合を考えます。

まず,公道に通じない土地の周囲の土地を通行する権利は,囲繞地通行権として,民法上認められています(民法210条)。
しかし,条文上,通路の幅は明記されていません。
ごく一般的には,2メートル,というのが標準的です。
しかし,既存の通路が長期間存続していた,という場合は別です。
既成事実として,尊重されます。
確かに,建物の建替えの場合には,建築基準法の接道義務との関係で支障が生じるでしょう。
これについては,判例では,「既成事実」の方が優先される傾向にあります(後掲)。
つまり,「通路を広げる」ことは否定される可能性が高いということです。

[民法]
(公道に至るための他の土地の通行権)
第二百十条  他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は,公道に至るため,その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
2  池沼,河川,水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき,又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも,前項と同様とする。

第二百十一条  前条の場合には,通行の場所及び方法は,同条の規定による通行権を有する者のために必要であり,かつ,他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
2  前条の規定による通行権を有する者は,必要があるときは,通路を開設することができる。

第二百十二条  第二百十条の規定による通行権を有する者は,その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし,通路の開設のために生じた損害に対するものを除き,一年ごとにその償金を支払うことができる。

[最高裁判所第3小法廷平成8年(オ)第539号通行権確認等請求事件平成11年7月13日]
公道に一.四五メートル接する甲土地の上に建築基準法が施工されるよりも前から存在した建築物が老朽化したために取り壊されたが,その当時,甲土地に隣接し右公道に接する乙土地は同法の規定が適用される建築物の敷地とされていたなど判示の事実関係の下においては,甲土地の所有者のために,乙土地について,同法43条1項本文所定のいわゆる接道要件を満たすべき内容の囲繞地通行権は,認められない。

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