借地の相続~相続人の1名による契約書書き換え~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 父は,借地上に建物を所有していました。
  父が亡くなり,法定相続人である,母,私,兄,弟が相続しました。
  母が単独で,地主さんとの間で,新たに「借地の契約書」に調印しました。
  この「借地契約」は有効なのでしょうか。


誤解ありがち度 4(5段階)
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A 新たな契約は,有効/無効の両方の解釈が成り立つでしょう。

【借地権の相続と契約書の再調印】
≪共有不動産≫≪借地-名義書換料,譲渡承諾≫≪相続;遺産分割-遺産分割協議≫≪相続の基礎知識-名義変更≫
父は,借地上に建物を所有していました。
父が亡くなり,法定相続人である,母,私,兄,弟が相続しました。
母が単独で,地主さんとの間で,新たに「借地の契約書」に調印しました。
この「借地契約」は有効なのでしょうか。

→新たな契約は,有効/無効の両方の解釈が成り立つでしょう。

まずは杓子定規に法律を適用してみます。
お父様が亡くなった時点で,「借地人」(一般的には土地の賃貸借契約の賃借人)という地位が,相続により承継されます。
「賃借権」(借地権)を相続人全員で「準共有」している状態,となります(民法264条)。
ですから,本来「新たな借地契約書の調印」は,地主+(借地人の)相続人全員,という当事者が行うべきです。
そうではなく,相続人の一部だけで調印した場合は,「無効」(効果不帰属)となるのが原則です。
ただし,「新契約」の内容によっては,「有効」ということもあります。
「新契約」の内容やその他の事情によって違ってきます。

[民法]
(準共有)
第二百六十四条  この節の規定は、数人で所有権以外の財産権を有する場合について準用する。ただし、法令に特別の定めがあるときは、この限りでない。

【相続人の1人のみによる借地契約調印の有効性】
≪共有不動産≫≪借地-名義書換料,譲渡承諾≫≪相続;遺産分割-遺産分割協議≫≪相続の基礎知識-名義変更≫
相続人のうち1人である母だけが地主と新たな借地契約に調印しました。
新契約の内容が従前のものより地代が上がった,というような場合には,新契約は有効でしょうか。

→従前の借地契約よりも「不利な内容」なので「変更」行為として,共有者全員の同意が必要です。しかしそもそも,そのような場合は,新契約自体が無効となる可能性があります。

例えば,地代が高くなる,とか,契約期間が短くなる,など,不利益な方向への変更,という契約の場合,「共有物の変更」として,共有者全員の同意が必要となります(民法251条)。
従って,「共有者の全員の同意を欠く」場合は,契約は無効となるのが原則です。
この点,仮に他の共有者(相続人)が,事後的に追認した場合,「有効」となります(民法116条)。
ただし,その場合でも,「借地の契約が借地人に不利に変更された」という場合は,借地借家法の解釈上,無効とされる可能性があります(借地借家法9条等)。

[民法]
(無権代理行為の追認)
第百十六条  追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

(共有物の変更)
第二百五十一条  各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。

[借地借家法]
(強行規定)
第九条  この節の規定に反する特約で借地権者に不利なものは、無効とする。

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