老朽化と賃貸建物明渡~原因はオーナーの管理不足~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 賃貸建物のオーナーです。
  建物が非常に老朽化しています。
  ただ,長期間,管理が不十分だったことも老朽化の原因だと思います。
  この場合でも,入居者に明渡請求はできるのでしょうか。


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A 解約申入,更新拒絶による明渡請求は否定される傾向にあります。

【管理不足が原因の老朽化→正当事由否定】
賃貸建物のオーナーです。
建物が非常に老朽化しています。
ただ,長期間,管理が不十分だったことも老朽化の原因だと思います。
この場合でも,入居者に明渡請求はできるのでしょうか。

→解約申入,更新拒絶による明渡請求は否定される傾向にあります。

「建物老朽化」は,本来,賃貸借契約終了を肯定する重要な要素の1つです。
具体的には,解約申入や更新拒絶における正当事由(借地借家法28条)の判断で重視されるのです。
しかし,「老朽化」自体が,賃貸人の懈怠により生じた,という場合は,不合理です。
賃貸人の懈怠が原因となって,結果的に,建物での居住を奪われる,という賃借人の不利益が生じるからです。
このような考えから,建物賃貸借契約の更新拒絶を否定した裁判例があります(後掲)。
この裁判例では,次のような指摘がされています。

<更新拒絶の正当事由を否定したポイント>
・賃貸人が建物老朽化を自ら招いた
・賃貸人は経済的効率が悪化することを想定できた
・賃貸人の義務不履行から更新拒絶をするのは本末転倒

[東京地方裁判所平成3年(ワ)第10359号建物明渡請求事件平成4年9月25日]
全体建物は、昭和四四年五月に建築され〈書証番号略〉、建築後二〇年以上経過し、それなりに老朽化の傾向にある(鑑定人藤谷孝の鑑定、以下「藤谷鑑定」という。)。しかし、全体建物がもともと賃貸することを目的として建てられた建物である以上(弁論の全趣旨)、賃貸人としては老朽化に至るまでに恒常的に修繕を施し、賃貸目的に則した管理を行っておくべきであり、そのような管理を行っておれば、木造建物であっても建築後三〇年を超えても賃貸建物としての機能を失うものでない(顕著な事実)。賃貸人がこのような管理を行わないことにより、建築後二〇数年で建物を老朽化に至らせ、その結果、建て替えを理由に賃借人に契約の更新を拒絶することは本末転倒として許されるべきことではない。
 それに、全体建物は老朽化のために直ちに建て替えを必要としているものではなく、更に数年の使用には耐えられる(藤谷鑑定)ところからみても、原告の主張する正当事由は認められないものである。
  2 また、全体建物のほかの賃借人について、明け渡し交渉が進行し、遠からず被告のみが賃借人となって、全体建物及びその敷地を所有する原告としては、経済的に効率の良くない状態におかれることは容易に推測できることであるが、そのような事態も原告にとっては、その前提条件である老朽化による建て替えの必要性を自ら招いたものとして充分に予測できたことであるから、その責任を被告に求めるような本件契約の更新拒絶は、正当事由として相当性があるものとは認められない。

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