弁護士会照会~差押に効く~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 弁護士会照会とはどんな制度ですか。
  相手に拒否されたら終わりではないのですか。


誤解ありがち度 4(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

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A 依頼を受けた案件の「調査」のための制度です。
  弁護士会が「照会」し,相手が「回答」します。
  回答義務違反,への「罰則」はないです。
  しかし,差押の局面では後で「使える」こともあります。


【弁護士会照会】
弁護士会照会とはどんな制度ですか。

→依頼を受けた弁護士が,直接ではなく「弁護士会を通して」対象の会社(や個人)に情報開示を請求する手続きです。

当然ながら,弁護士が依頼を受けた案件では,一般的に「証拠集め」が重要です。
この点,警察や検察が捜査する場合と違って,弁護士は「調査」の部分で公的な資金を使えるわけでもなく,また,人員を無償で使うこともできません。
そこで,「弁護士会照会」という制度によって,一定の「照会」をすることが可能とされています。
このルールが規定されている条文は弁護士法23条の2です。
そこで,「弁護士法23条の2に基づく照会」というのが固い表記です。
略して「弁護士会照会」と呼ぶことも多いです。

この照会を受けた者(会社など)は,回答義務があると解釈されています。
このように「強い」制度なので,濫用を防ぐために,その必要性について弁護士会が判断することになっています。
審査をパスした「照会請求」は,あくまでも「弁護士会」として対象機関に送付されます。

[弁護士法]
(報告の請求)
第23条の2 弁護士は,受任している事件について,所属弁護士会に対し,公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において,当該弁護士会は,その申出が適当でないと認めるときは,これを拒絶することができる。
2 弁護士会は,前項の規定による申出に基き,公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

【弁護士会照会の回答拒否に対する罰則】
弁護士会照会を受けた機関が回答しなかったら罰則などがあるのでしょうか。

→具体的な罰則規定はありません。ただし,その後の手続きで考慮される可能性があります。

弁護士会照会を受けた機関は回答義務があると解釈されています。
従って,正当な照会に対し,合理的な理由もなく「拒否」することは「違法」です。
しかし,これに対する罰則は規定されていません。
そうは言っても,一定の影響は生じることがあります。
例えば,生命保険会社が保険解約内容の開示を求められて,回答を拒否した場合です。
その後の差押において,特定が不十分だとしても「差押が適法となる」という結果に結びつくことがあるのです(裁判例前掲)。

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