つまり、あなたが部下に何かを聞きたい、部下から意見をしっかり引き出したいと考えたときには、上司であるあなたが部下を自分のデスクに呼び出すべきではありません。あなたが部下のデスクまで行くべきです。そして、そばにある椅子を引っ張ってきて座って、部下と同じ態勢、高さ、で目線を合わせて、部下に話しかけるのです。

 

このことによって、部下は自分のホームにいるわけですから、安心安全の場を確保ができているので、組織への所属意識や貢献感にもとづき、自分の本音を話すことができるようになるし、じっくり考えて創造力を発揮することができるようになります。

 

次のような感じです。

「山田君、ちょっといいかな? ここに座っていい?」

と言って、部下のそばに座ります(部下から見てどれくらいの距離、方向に座ればいいかは次項で詳細に考えます)。そこで部下の話しをしっかり聞けばいいのです。

 

このことをある大手企業の管理職研修で話した時にあるマネージャーは

「上司である自分が部下のところへ行くなんて負けです」

と言いました。しかし、「負け」とは何でしょうか? 上司と部下は勝ち負けの勝負しているのでしょうか? あなたは部下に「勝ちたい」のですか? それとも、よりよいチームを創って成果を上げたいのではないですか?

 

「現場主義」という言葉を聞いたことがあると思います。優秀な経営者は現場を重視します。松下幸之助さんや本田宗一郎さんは松下電機や本田が大企業になったあとでも、しょっちゅう工場や販売店など行き、現場の人に話しかけていたと言われています。社長室に部下を呼び出しているだけではほんとうのことはわからないと知っていたのです。

 

英語でもManagement By Walking Around(MBWA)という言葉があります。「歩き回ることによるマネジメント」ということです。欧米でもすぐれた経営者・管理職はとにかく現場へ行きます。