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清冽な川のせせらぎが耳に心地よい

橋を渡りながら、

野外博物館として整備された散策路を

歩いている途中、

出迎えられたのが

カラフルな昆虫たちです。

東京の庭ではまずお目にかかれない

姿色形の虫ばかりで、

スタイリッシュなモデル系から、

まんまるい癒し系、

痛そうな不快系、

ビビらせるキモ系と

選り取り見取りが

いろんな方向から歓迎してくれます。

 

山際に沿った散策路を歩き続けてると、

川を挟んだ対岸の方を指す案内板が。

ここは、およそ5000万年前にできた

川の地層「幾春別層」が露出している場所で、

「幾春別炭鉱」はこの地層から

採炭していたとのこと。

たしかに

ところどころ黒っぽく見える部分が

石炭に見えなくもない。

開坑したのは明治19年、

昭和32年に廃坑するまで、

官営から民営に引き継がれつつ

産業として大きく発展を遂げたそうな。

そんな活況を呈していた

当時の様子が伝わる写真が

案内板に掲示されていました。

深い山あいに樹木が生い茂る、

ただの崖にしか見えない

現在の景色からは、

想像できない賑わいっぷりに

ただただビックリする一行。

 

続いて向かったのは、

その幾春別炭鉱の中枢施設、

「錦(にしき)立坑櫓」。

今まで見てきたやぐらに比べて低く、

ずんぐりむっくりの愛らしさが

感じられるけれど、

大正9年につくられたこの立坑は、

地下215mの深さにまで

達しているんだとか。

 

そのやぐらの隣に建つ

古めかしい赤レンガの建物は、

立坑の巻上動力装置が入っていた「捲揚室」。

建物内は、一部の機械が残ってるだけで

ほぼがらんどうの空間、

モルタル仕上げの白壁が剥がれ落ち、

黒ずんでる様子が歴史の趣を感じる。

それに対し、

原型をとどめている鉄は最強で、

まさに「鉄は国家なり」の言葉を実感。

壁の一角には、

なにやら不規則に並ぶフックが。

電線やらコードやらを

巻き付けたりするもの?

かも知れないけれど、

主婦的には

炭鉱マンが家から持ってきた

愛妻弁当をぶらさげておくヤツ

に見えて、思わずにんまり。

捲揚室の奥には、

赤レンガの外壁の一面が

黒くすすけた変電所が

ぽつんと建っていました。

四方八方から延びる植物に覆われ、

天井部分には

「まっくろくろすけ」っぽい影が

いっぱい。ジブリワールド全開です。

 

で、このエリアを説明する案内板には

当時の様子を伝える写真が。

やぐらの周辺は、かつて

こんな風に建物が

ズラ―っと並んでいたのね。

 

「黒ダイヤ」と

もてはやされてきた石炭を、

掘って掘って掘りまくってきた

歴史を存分に偲ぶことができるのは、

こうした

写真が添えられた説明板があるからこそ。

あと、

ヒグマ出没注意看板がみあたらないこと。

この2点に尽きるのでした。

 

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