朝の船の中で、島の老人会会長さんに声をかけられた。
この会長さんは、人気ゲーム「どうぶつのもり」のコトブキ村長さんを髣髴とさせる(笑)。
「南風子ちゃん、眼科まで乗せていってくれへん?」
この便で出ると、職場にギリギリに入る。
(遅刻するかも・・・。どうしよう。)
頭の中で駆け引き。
その時、吉野さんの笑顔と「プチハピ」の文字が浮かんだ。
(ええいっ!遅刻しても死にはしない!)
「いいですよ!」
笑顔で答えてみた。
ん?意外と「言葉を放つ」と腹が決まる。
車で走り始めた。
会長さんは、今の立派な高速船の前の鉄船の船長を28年間やり遂げた。
「物凄い南風(マゼ)で航行している時、あまりの責任感に、喉がからからになってバケツ一杯水を飲んだよ!」
「へええ!でもそうでしたね~。みんなが吐く為の洗面器も置いておりましたしね(笑)」
「それを思ったら、今の船は夢見たいやな~。早くて大きくて。」
「本当ですね~。」
そんな話をしながら、ドライブをしていた。
「実は船を下りたときな、南風子ちゃんのおかあちゃんが”28年間本当にご苦労様でした”って深深とお辞儀をしてくれたんやで。ご苦労様ってきちんと言ってくれたのは、何とあんたのおかあちゃんだけやった。嬉しかったなあ。」と目頭を抑えられた。
私の知らない母の姿に、私も涙がにじんだ。
「あたりまえの事をちゃんと言うって結構出来てないんかもな。」
本当にその通りかもしれないと思った。
そして急に思い出した。
「そうだ!会長さん。今年、私PTAの広報なんです。島の古今東西と言う記事、何にしようかと思ってたんですが”昔の交通”と言う事でお話を聞かせていただけませんか?今の子達はびっくりするでしょうし、親御さんは懐かしく思い出すのではないでしょうか?」と訪ねた。
「喜んで!」と満面の笑みで答えてくださった。
吉野さんの「プチハピ」侮れません!
本田健さんが「死ぬ時に後悔する事は愛を引っ込めた事」と言われていたことを思い出しました。
私は今まで、何度愛を引っ込めてきたのだろう?
何度勇気を引っ込めてきたのだろう?
こんな小さな「プチハピ」にも、大きな大きな得るものがある。
そして、誰かの為になる喜びを味わう事が出来る。
そして次から次へと、展開していく喜び。
本田健さんは当時の牧師さんの言葉を引いて、こうも言われています。
「上手く出来ない時でも、自分をゆるしてください。
そして次の機会には、もう少し勇気をもって愛を表現してください。」
・・・会長さんを送った後、急に我に帰った。
「げ~!あと1分!(笑)」