小さい頃、まだ家が旅館をやっていた頃、常連のお客様にデザイン会社の社長さんがいらっしゃいました。
ご自身は胃の病気をずっと何十年も抱えていらっしゃいました。
しかし、釣りが大変お好きで
「磯の上で釣りざおをたらし、魚との駆け引きをするその時間だけは胃の痛みを忘れる。」
とおっしゃっていました。
とっても素敵でダンディで、そして大変ユーモアがあり、小学生の私からみた「素敵な大人」NO.1!でした。
私は小さい頃からピアノを習っていたのですが、社長さんは私のピアノの大ファンでいてくれました。
別にテクニックが凄いとか、皆よりも進んでるとか、そういうことは決してありませんでした。
しかし、私がピアノを弾くと
「南風子ちゃんのピアノは心が洗われる・・・ありがとう・・・」
と涙をハラハラと流して感動してくださったのを今でも覚えています。
社長さんは素晴らしい芸術家でもありました。
普通ならば「上手に弾けたね」で終わるような世界だと思います。
しかし、小学生と言えども、子供だと上から見下ろさず、尊厳をもって見つめてくださった。
そして、芸術家の心で、芸術として見つめてくださった。
そんな思い出が、私の大切な大切な宝石箱に入っています。
そんな社長さんのご家族は、皆さん素敵な笑顔で幸せそのものです。
会社には、どこで集めたのだろう?と思うような素敵な社員さんばかり。
現在は息子さんが会社を継がれ、更に事業を広げられています。
今は亡き社長さんを思いながら、今日は久しぶりにピアノを弾きました。
届いているでしょうか・・・?