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雪月花時最憶君

 

雪や月は花が美しい時は

ことさらに君が思い出されてならない


白楽天(772~846 中国唐の時代の詩人)が54歳の時に部下である殷協律に贈った詩を書道の桃子先生が教えてくださいました。

 

その一節にあるのが、上の言葉です。



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愛しいもの、大切な人と過ごすかけがえのないひととき、美しさや愛情も、時の流れてと共にうつろいでいく。不変でないことは、不安や苦しみになったりします。


失われることを恐れたり苦しむのではなく、今、目の前にあることだけを心から楽しむことを、雪や月や花が教えてくれます。


目の前から大切なものが消えたとしても、それは永久に消えたのではなく、冬の雪や月や春の花のように、時の流れの中で巡り合える自然の生命力のようなものだといいなと思います。

 



長年連れ添った旦那様を亡くされた方が、どうしようもない寂しさから生きる気力を失っていた時、人知れず、近所の桜の木に旦那様の名前をつけて、散歩をするたびに話しかけているうちに次第に元気になっていかれたのだそうです。




大切な人がかつて私に話してくれたことが、時を経て、ストンと私の中に入ってくることがあります。


祖父の言葉

父や母の言葉

お茶の先生の言葉


もう亡くなっていたり、会えない人でも、時間と空間を超えて自分の中にふわっと訪れる「時憶君」はいろいろな景色にあります。




 

昨日の3月3日は、いつもお稽古をご一緒している先生方と、お仲間のお茶事にお呼ばれしてきました。


その日はご亭主の70才のお誕生日で、桃の節句でもあり、お客様はみな女性。


寄付のお部屋には美しい立雛が飾られていて、素敵なお節句の一日となりました。


誰もが、大事な家族を亡くしていたり、身体の痛みと共にあったり、心配事や古傷を抱えていたりするものです。


それでも、天国の家族や遠くにいる大切な人や過去の自分に、「今日はこんなに楽しい一日だったよ。」と話したくなる一日を共に過ごせたことがかけがえのない喜びです。


きっと、ご一緒した方たちも私も、これから毎年3月3日になると昨日の景色のいろいろを思い出すのだと思うのです。


タクシーの運転手さんに「お雛様たちがたくさんいるね。」と言われて大笑いしたこと、外腰掛でふわっと時々香ってきた狼狽、床の間の桃の花、韓国青磁の花器・・・


ご亭主が、その先生から譲り受けたお道具も拝見しました。


誰もが、こうして心を受け継ぎながら、生きているんだなと愛おしくなりました。

 


 

お茶をしていると、「雪月花時」はいつも側にあります。


大切な人と、遠くにいても、天国にいても、話ができるのがお茶の世界です。


それは、利休さんがそうだったように、もしかしたら、私が死んだあとにも、誰かの心に私が残って季節が巡るようにいつまでも、雪月花と共にこの世界に生き続けるということなのではないかと思ったりするのです。

 


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表千家茶道教室
3月5日・12日・26日(月)
3月17日(土)


懐石秘密箱〜丁寧な食事の作法〜
3月19日(月)
①14時30分〜
②18時00分〜
日本橋コレド室町3 橋楽亭
参加費  13000円


いのち目覚めるくらし・ごはん教室




 


 





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