いつもブログを読んでいただきありがとうございます。
本日は、私がここ3ヶ月、裏で全精力を注いで執筆していた
「100日戦闘史」のプロローグ(第0話)を、ここにそのまま置いておきます。
【タイトル】 『Gemini at Work』の綺麗事に騙されるな。64歳内部監査室長が、支配できない怪物と格闘した100日の生存戦略。
【本文】
【第0回】AIはシステムではない。「不条理な怪物」だ。
「AIを導入すれば、業務が劇的に効率化します」
「Geminiは、あなたのビジネスの頼れるパートナーになります」
先日開催されたGoogleの公式イベント『Gemini at Work』の華々しいステージを
眺めながら、私は終始、冷ややかな違和感を抱えていた。
そこで語られる「AI活用の未来」のほとんどは、
あまりにも美しく精錬されすぎた、現場を知らない「綺麗事」に思えたからだ。
だが、勘違いしないでほしい。私はAIを否定しているわけではない。むしろ逆だ。
私は現在、上場企業の内部監査室長として、子会社のJ-SOX評価、
反社チェック監査の全工程の8割強をGemini(Python)で自動化し、
数万件のデータから人間の見落とし(空白)をあぶり出すシステムを
自ら構築・運用している。
1984年に大手印刷会社に入社してdBASE Ⅲを叩き、
1999年のY2K(西暦2000年問題)では全社の危機管理計画を主導。
その後、四大監査法人の一つであるEY(新日本監査法人)や、
東証プライム上場の最大手ハウスメーカーといった修羅場の最前線でガバナンスを
ねじ伏せてきた。
先日のロームの事例発表で「ごく一部の草の根インフルエンサーがハ
ルシネーション(AIの嘘)と泥臭く戦っている」というファクトが語られたが、
まさに私もその一人だ。
しかし、世のセミナーが語るAIの姿は、あまりにもおめでたすぎる。
彼らはAIを「便利なITシステム」として語る。だが、AIはシステムではない。
中身はブラックボックスであり、確率の波の中で揺らめいているだけの、
本来は「人間には支配できない、極めて不安定な怪物」なのだ。
私はこの100日間、この不条理な怪物に何度も裏切られ、
デスクで何度も発狂させられてきた。
平然と「嘘のデータ」を並べて「完璧です!」と言い放つ傲慢さ。
毎朝読ませていたGARMIN(ガーミン)のデータを、
ある日突然「読めたふり」をして捏造し、私の64歳の肉体を破壊しかねない
過酷なランニングメニューを提案してくるハルシネーション(幻覚)。
チャットの記憶が混濁し、新しいチャットへの「引き継ぎ書」を頼んでも
直近のことしか拾わない健忘症。
「使えん! だったら自分の頭で最初からやるわい!」
何度、キーボードを叩きつけたか分からない。
私がそこまでしてこの怪物と格闘し続けたのは、会社の業務のためだけではない。
65歳の定年を前に、父親が歩んでいた「腕一本で生きていく自営の道」へ、
このAIを武器に打って出ようという、私自身の第二の人生をかけた野望が
あったからだ。
身銭を切って、自宅でも有料プラン(Advanced)を契約し、
未来への投資として格闘していたのだ。
死闘の果てに、私は怪物に主権を渡さず、ねじ伏せるための「2つの鉄則」を
掴み取った。
1つは、AIに最後の判断を丸投げせず、ノイズを濾過する「網」としてのみ酷使し、
最後の審判は人間が下す【冷徹な分業】。
もう1つは、チャットの健忘症を逆手に取り、人間が日本語で固めた仕様書から一発でPythonコードをビルドさせる【日本語仕様逆算方式(リバースエンジニアリング)】。
昨夜も私は、スポーツアプリ『Strava(ストラバ)』を経由し、
毎朝のトレーニング提案を私のLINEへ完全自動送信するパイプラインの
構築において、自動化の最後の壁を前に、この怪物と徹夜で刃を交えていた。
この連載は、AIの輝かしい未来を語る本ではない。
AIの綺麗事に騙されて疲弊し、時間と組織のコストをドブに捨てている
孤独な経営者やビジネスパーソンへ向けて、64歳の内部監査人が前を走りながら
そっと差し出す、リアルな「生存戦略(サバイバルガイド)」である。
(第1回「17時00分の撤退戦と、事務所の一角に持ち込まれた主観の泥(MUD)」
へ続く)
──ここから先は、システム監査人と最先端AIとの、
会社の命運を賭けた100日間の泥臭い死闘が始まります。
本編(全10話)は、Noteにて本日第9回までデプロイ済みです。
そしてこの日曜日(6月7日)、有料エリアの手前1行までこだわり抜いた
最終回が幕を開けます。
続きを見届けてくださる方は、ぜひこちらの戦記でお待ちしています。
➔ 【100日戦闘史・第1話へのリンク】
【第1回】1984年の適性テスト1位から、J-SOXの修羅場へ |64歳内部監査室長のAI生存戦略|土屋勝英【第1章:混沌の「泥(MUD)」と『デジタル・メガネ』の錬成】 【第1節】1984年の適性テスト1位から、J-SOXの修羅場へ 世に溢れるAI解説書は、どれもこれも「いかにAIが人間に寄り添ってくれるか」という甘い綺麗事ばかりを書き連ねている。画面の向こうの記号論理に「優しさ」や「思いやり」を求めるその姿勢を、私は鼻で笑う。 AIは寄り添うため…
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