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私の職場は、以前の、というか朝まで住んでいた、あの家から近かった。


30分の距離の引っ越し。
そして30分かけて住み慣れた場所へ戻り仕事をする。


一条は布団とカーテンしか無いあの部屋で、何もする事など無い。


ただ、窓から顔を出して見送って見たかっただけ。もしくは優しい人だと思われる為の行動だろう。


おそらく一条も30分かけてこの街へ戻って来ているはずだった。


私の暮らしていた家、私の職場、一条の自宅、一条の会社は本当に狭い範囲内に集結していた。


職場であるパチンコ店に着きホールへ出る。
早番と遅番の交代だ。


馴染みの客と挨拶をしながら店の様子を眺めていると、パチンコをしながらこちらを見て、微笑む男がいた……一条だった。


一条は時間にもお金にも余裕がある為、いつでもパチ屋に来る事も、パチンコをする事も出来てしまう……。


私は目を逸らした。


一条を見た瞬間の私の感情は怒りだったと思う。


私が喜ぶとでも思っているのだろうか。
色ボケが。


ちなみに、元旦那はパチンコ依存ですが、私の勤めるパチ屋さんには決して来ませんでした。
まぁ…来れませんよね。


私は完全に一条を無視し、仕事を続けました。
話しかけられそうになっても逃げていました。


一条のやる事なす事が気に入らなかった。
私は若い男性客と片っ端から長話をした。
楽しそうに。


一条のにやけた顔が嫌いだったので、嫌がる事をして笑えなくしてやりたかった。


店内ではひたすら一条を撒いた。
率先して事務作業をして、一条が店から出て行く様子をモニター越しに見ていた。


私の心境は、
「やっと帰った…ムカつく…」でした。


朝からずーーーっと、ムカついていました。


私の勤めるパチンコ店は閉店が夜11時。
そこから店内清掃、台の清掃、メダルの洗浄、箱の清掃………閉店したからといって直ぐには帰れません。


店を出るのは大体いつも深夜1時前後だった。
30分かけて新居に戻れば結構な時間になる。


店から一条の自宅は近いので、もしかして自分の自宅に帰っただろうか……


そう願って新居に帰った私だったが、部屋を見上げてがっかりする…


窓から灯りが漏れていた。