日本 VS ベラルーシ 国際親善試合(AWAY) 0-1

■スタメン
川島
内田 吉田 今野 長友
遠藤 長谷部
岡崎 本田 香川
柿谷

すっかり1トップに収まった柿谷以外はレギュラーと呼ばれるメンバー。
変わらないメンバーの経験値と連携でアウェーの戦いに望む。


■前半
前半日本はセルビア戦とは変わってスムーズな連携を見せる。
きっと一番の原因は芝。

綺麗なピッチでそれなりにパスを繋げるのでスムーズ。
だけど、とにかくゴール前での迫力と攻めのバリエーションがない。

今 W杯予選のオマーン戦やヨルダン戦を見返すと
サイドに前田が引いてきて、そこで時間をつくり
長友が駆け上がったところに遠藤や本田からパスを通す。

そこから長友のクロスに対して逆サイドから岡崎が飛び込んだり
バリエーションがそれなりにあった。

今はサイドでもってもクロスやオーバーラップという
普通の攻撃はまったくなく、中央にドリブルで運びながら
無理やりなワンツーを試しては奪われる。


それでも光明は少しはあった。
内田が外を上がるだけでなく
中央へ切り込んで左足でのプレーも選択肢として持ったことは明るい。
これは変化をつけるのに有用と言える。

だが、本田、柿谷のプレー速度が致命的に遅く、
常に相手のプレスにさらされる。
それでもキープできる時もあり、本田の強さではあるのだが、
相手の守備陣も揃ってる状態となり、決定機を作れない。

そんな中、日本の左サイドを突破され、今野が詰めきれずにクロスを許すシーンが多発。
これは今野の詰めの甘さもあり、さらに一人がズレたところに、後ろが連動してくるという
信頼感がなく、カバーに下がるのか、ボールホルダーにチェックにいくのか
迷いながらディフェンスしているように見えた。

この一連のプレーからこぼれたところをミドルシュートを叩き込まれ1-0。

日本はまたしても先制されるとともに、南アW杯のときは守備に特徴をもっていたはずの
長友のサイドから2試合連続して崩されるという、点が取れないことや
センターバックの判断が甘いこと以上に由々しき問題を露呈したと言える。

■後半
後半、日本は攻めにでる、、がキープするところまでが限界。
下がったベラルーシのしっかりとしたプレスにかかり、シュートまで行けない。

岡崎も点が欲しいのか、ゴール前に飛び込むのが早すぎて
詰まった状態での競り合いとなり、もちろん分が悪い。

柿谷に至っては前線で体を張る、というシーンは皆無。
技術や上手さというのは、発揮できなければ無用の長物となる。


中盤から日本は森重を投入し3バック、3トップとする。
本田を頂点に香川、岡崎と並べた布陣。

一見攻撃的な交代にも見えるが、3バックはどうみても守備固め。
おかげで後ろはマークがはっきりし、連動したプレスがかかるようになる。

ただし本田が上がったおかげで起点が遠くなり、中盤で前に運べる選手がいなくなる。
守備は安定したものの、奪ったボールはやはりイチかバチかのなんとなくの攻め。

本田をトップ下にすれば起点はできるがカウンターするには遅すぎるし、
1トップが誰であれ、結局シュートまで持っていけない。

本田を一番前にすればシュートへの威力は上がるが
そこまでを組み立てれない。

遠藤、長谷部のミスの多さは見逃せず、
内田、長友(酒井が出てきても)らでは
中盤をするにはやや技術が足りず、組立には活路を見いだせない。

終盤ハーフナーを入れるもやはり劇的変化は見えず。

最後まで迷いながら戦った日本は4バックに戻して攻撃的に戦うも、
崩すシーンはないまま試合終了。


■ジレンマ
本田をどこで使うのか?

トップ下なら起点ができるが、一番前でシュートする人材がいない。
トップで起用するのが一番だろうが、その場合起点となるゲームメイクが出来ない。
(本来なら遠藤が万全なら遠藤や長谷部の運動量に期待できるはずだが・・・)

また一部で言われてるボランチでの起用も、スピードのなさが怖い。
遠藤を外すという選択になるが、今の長谷部の視野の狭さを考えると
安易に遠藤も外せない。
守備の強さを考えると長谷部も外せず、正直詰んでる。

また、攻めるための3バックと言いながら守備は安定するも攻撃に出れない3バック。

スタートのフォーメーションと言いながら前に重心がかかりすぎ
先制を取れれば押し切れるが、取られると一気に厳しくなる4バック。

今の日本は色々なジレンマを抱えすぎてる。
もう少し各選手が迷いなく動けるような起用、
あとは攻めるときの選手交代、フォーメーション
守るときの交代、フォーメーションをハッキリとして
選手の意識の統一をはかりたい。


■収穫と課題
課題は攻守ともに迷いがあること。

なにげに一番の課題は左サイドの守備。
長友一人で守れてたアジアレベルから少し上がると守りきれない。
香川、遠藤の守備の弱さをどうカバーするか。

もう一つは普通の攻撃が少なすぎること。
バルサちっくな無理やりな細かい地域でのワンツーなど
かっこいいプレーもいいが、シンプルにつなぐ、
シンプルにフリーな選手を使う、など
前への勢いのある攻撃ができなくなったこと。

前は出来ていたはずなので、きっと不安と恐怖から攻めきれなくなってるのだろう。

と 信じたい。

■選手評
川島 6.0 及第点ではある。失点もやむなし。とはいえフィードの悪さも目立つ。

内田 6.0 DFでは唯一の合格。カバーの正確さ、攻めでの起点となる動きに加え、内側に切り込む動きなども見せ、プレーの幅が広がった印象

吉田 5.0 3バックになってからは安定を見せる。高さは見せたが判断の遅さも目立つ。

今野 5.0 吉田同様3バックでの安定感は見せた。4バック時はポジションニングの悪さ、詰める距離の甘さが目立った。J2でやってるせいなのか・・・

長友 5.5 悪くはなかったが足を痛め途中交代。それでも失点に絡むなど守りに対して甘い印象。攻撃でもアイディアのなさから単調な動きに終始。

遠藤 5.0 試合終盤は積極的にゲームを動かそうとした。だが、序盤から判断の遅さ、効果的なビルドアップができず、単調な試合にした責任を負う。

長谷部 4.5 攻めにかかったシーンでのミス、守備での一歩の遅さなど、印象的な場面でのミスが目立つ。運動量もスピードも落ちてるようでボランチの役割を全うできず。

香川 5.5 どうにか試合を作ろうと上下に大きく動き、何かを見せようと動き続けた。
3トップになってからはボールが回ってこず消えた印象。それでも技術の高さは見せた。

本田 5.0 よくも悪くも、攻撃の基点となり続けた。それが単調な攻めになった一因とも言える。
彼自身が相手を上回らなければ崩せないようではチームとしての戦いにはならない。

岡崎 4.0 判断の悪さが目立った。点が取れてない焦りからか中に入る動きが早すぎた。

柿谷 3.0 1トップとして縦パスを引き出す動き、サイドで基点となる動き、スペースを作る動きがまったくない。指示なのかもしれないが、中央に位置取るのであれば決定的な働きをできなければ意味はない。

森重 6.0 途中出場ながらDFに安定感を与え、攻撃でも高さを見せた。
ビルドアップの息が合わないシーンもあったが全体的には好印象。

酒井 4.0 長友にかわって出場も技術不足から試合に入りきれず。

山口 5.5 ボランチで出場し、運動量や前への意識を見せた。かみ合わない場面も多かったが、今後も戦える選手だと示した。

ハーフナ - この試合でも有効に使われることはなかった。

ザック 3.0 
攻撃での変化と守備の安定を期待したが、どちらも果たせず。
くしくも3バックでの守備の安定は見られたが、斉藤や乾など現状をかえるドリブラーの起用はなく。
この試合を勝ちにいったのだとしたら、事後評価だが、采配は失敗だったといえる。

この試合では連携の確認や守備の確認、そして攻撃時にどう崩すか、一つずつ確認しながらプレーしていたようにも見える。
この試合の勝利を捨てて、各選手のチェックに使ったのだとすれば、
本当の答えは次の遠征時に出ると思うことにしよう。

いずれにせよ、攻めるとき、守るとき、がはっきりしない采配が多く
いつまでも「試す」印象から抜けきれず。

スタートメンバーがベストでどう代えてもチーム力が落ちるのが現状だが、
それならば今と毛色が違う選手を起用して空気を代えるなどの動きが見たい。
どちらにせよ采配とは代えたあとにピッチで起きた現象でしか判断できないのだから。


■今後に向けて・・・
本当にどうすべきか。という議論が日本各地でなされるだろう。
それこそが日本が強くなるための糧だと思う。

これだけ欧州の中堅以上の国と連戦したことはないと思う。
コンフェデから続く連敗も単純にチーム力が落ちたのかというと
それはまた違う話だろう。
正直、セルビアも強かった。
ベラルーシもしっかり戦ってくれた。

これを踏まえて、だからといって完全に守備にしろ!というわけではなく
原点に戻って、攻守にしっかりと走りきること。

そして本田をどこで使うか、1トップは動きの質で言えばもう一度前田なのか
大迫なのか、このまま柿谷に期待し続けるのか。

次の遠征で「ベスト」の組み合わせを見つけなければ
そろそろ時間がない。

W杯予選の最初のころのような躍動感のある試合が見たいな、、、と思う