松浦勝人の酒史 1  からの続き


27歳位の時に小室さんと
よく飲みに行く機会があった。
TRFがまだtrfで、
デビューする位のあたりだったと思う。
現副社長の千葉と一緒の機会が多かった。
当時の僕達、エイベックスは
知識も経験もなにもない新参者で
小室さんに楽しんでもらうには
酔っぱらって馬鹿をすること位しか
出来なかったのである。
そのいい感じで酔っている僕らのことを
小室さんは面白がっていた。
そして僕は千葉の酔った時の豹変振りを見て
「あっこれだ!!!」と確信したものがあったのだ。
「すべては酒の勢いで」
その時そう確信してしまったのである。
要は酔ったふりして言いたい事を
言ってしまおうと思ったのである。
相手に甘えたたり、なにかをねだったり、
お願いしたり etc・・・
しかしながら元来が中途半端なことの
出来ない性格の僕は
適当に理性がきく程度に飲むということはできず、
酔うならば徹底的に理性を失うほどに
酔う以外は出来ないのであった。
だからいつも本当に酔っぱらってしまうのである。
千葉もそうだ。
だから作戦なんかではなくて
ホントに酔って相手が誰であろうと
いいたいことを言ってしまうのである。
これは当時かなり危険だったと思う。
相手によっては・・
当時、自分はまだしがないレコード会社の
専務でしかないわけだから
下手すると「失礼な奴だ」と
目上の方や相手を怒らせてしまう
可能性だってあったのだから。
しかしながら、この酔っ払い作戦・・
というかただの酔っぱらいの思いつきの行動と発言は
昼間の自分とのギャップも手伝ってか
なぜか割と成功?というか今につながるまでの
さまざまな仕事での人脈作りに
おおいに役に立ったのであるから不思議だ。
(でもこの作戦?は人にはあまりお奨めしません。
かなり危険ですから)
30歳ちょいの頃、
エイベックスの専務初期の話である。
世の中はtrfが全盛期で、
ヴェルファーレがオープンした頃の話である。

その後も酒の量はエスカレートし、
365日毎日酒を大量に飲み
(ウォッカ2本は飲んでました)
夜は必ず酔っぱらっていた。
そして、帰りはほぼ毎日5時を軽く回っていた。
それでも朝の10時には必ず会社にいた。
それは徹底していた。
特に苦でもなかったし、
考えてみれば町田にエイベックスを
作ったときから会社の鍵を開けるのも、
最後に閉めるのも自分だった。

1998年僕が34歳の誕生日10月1日に
エイベックスはJASDAC(当時、店頭公開)に上場した。
強い雨の降る日だった。
翌年1999年12月10日東証一部に上場した。

それからは上場企業の専務なんだから
○○○○はやめなさい!!みたいな事が増えていった。
自分は上場企業の役員になったのではなく、
役員をしていた会社が上場しただけだ。
だから自分は変わらないみたいな
自分勝手な考えを当時は持っていたと思う。
今思うと恥ずかしい話だが事実そう思っていた。


松浦勝人の酒史 3 につづく