【第26話】芝の赤穂藩邸跡
現在浜松町の世界貿易センタービルの正面に当たる場所が森家の江戸藩邸跡であった。
この写真の場所がまさに江戸藩邸の敷地であり、現在工事をしている、トラック用の車両口がその御門に当たるのであろう。
その正面にある貿易センタービルから津山行きのバスが出ており、14日を要した参勤交代がたった10時間で実現できるという話は過去にも述べた。
写真の左に見えるのは東京タワーであり、この通りは増上寺の山門に通じる、江戸時代の超一等地といえる。
この場所、元禄時代までは森家の津山藩中屋敷であったが、津山藩が改易され、18万石とどうじに丸ノ内にあった上屋敷も失った。そのためこの中屋敷が以後赤穂藩森家の上屋敷となったのである。
またこの場所を割譲し、森家の親類である新見藩関家が上屋敷を造成した。当時ここは海岸であり、海側に埋め立てる形で屋敷地を造成したのだが、その折に巨大な骨が発掘されたという。おそらく鯨か何かの類であろうが、関家ではこれを「鳳凰の骨」であると、その吉兆を喜び、それまで使用していた揚羽蝶の家紋を森家の鶴の丸と鳳凰を組み合わせた「鳳凰之丸」の家紋を考案し、主家の森家に許可を求めた。
かくして森家と関家の屋敷が隣り合わせで並んだことから、「鳳凰と鶴の尻くらべ」と狂歌にうたわれたとか。