ネットでは、共産党の最近の常任幹部会の議事録が流出していて(いわゆる常幹メモ)、そこに私の名前は出ていないが、私のことを想定した話が盛られているようだ。以下のような内容である。

 

(三)規律違反で除名された元党員の党かく乱の新たな動きについて

 標記について報告をうけ、引き続き党規約にもとづき厳正に対応することを確認した。

 

 事実でないことを願うばかりだが、もし事実なら、私が来年1月の党大会に向けて除名問題の再審査を求めることを念頭に置いたものだろう。ここにはいくつかの重大な問題がある。

 

 何より、再審査というのは、「被除名者が処分に不服な場合は、中央委員会および党大会に再審査をもとめることができる」と党規約55条に明記されているように、除名された者の規約上の権利なのである。「処分に不服な場合」の権利なのだから、どこに不服があるのかを党員に訴えるのも当然だろう。ところが、現在の党指導部に言わせると、そういう規約上の権利を行使することは、「まさに党内に同調する分派をつくるという攻撃とかく乱の宣言」(土井洋彦「党攻撃とかく乱の宣言」赤旗23.2.8)なのだそうだ。

 

 この規約の定めは、古い58年の規約から存在していた。つまり、50年問題の深刻な教訓から生まれたものだ。あの時、党が分裂し、少数派だった宮本顕治までが「分派だから除名しろ」との大キャンペーンの対象になった。そういうことから、党中央の側も間違うことがあるのだということを前提に、再審査が定められたのである。先日このブログでも、宮本顕治が自分は分派ではないという訴えを書いたことを紹介したが、いまの指導部は、私にはそれすら許さないというのだろうか。すごい人たちだ。

 

 さらに、私(と思われる人物)の「動きについて」、「党規約にもとづき厳正に対応する」としたことだ。除名して一般市民になった人間に対して、「党規約にもとづき厳正に対応する」って、変じゃないか。

 

 だってこれまで共産党は、党規約は人権や民主主義を無視しているのではという疑問、批判に対して、「政党として、自主的・自律的にとっているルールであって、それを社会に押し付けることは決してない」と説明してきたではないか(土井洋彦「政党のあり方と社会のあり方の関係を考える」赤旗23.2.25)。除名したばかりの人間は、まだ党規約にしばられるのか? それとも社会に党のルールを押し付ける本音が漏れ出たとか。

 

 想像だけれど、共産党は8中総にもとづき、反革命勢力、反共勢力、支配勢力からの攻撃に対して、一大反撃を試みている最中である。反撃できているかどうかの試金石は、党員と「赤旗」が増えるかどうかだ。減らすと敗北ということになる。

 

 ところが、現場の党員にとっては現在、どんなに目を凝らしても、どんなに耳を澄ませても、どこからも「反革命勢力、反共勢力、支配勢力からの攻撃」が聞こえてこないし見えてこない。だって、本物の「反革命勢力、反共勢力、支配勢力」だって、それを「垂れ流している」というメディアだって、誰もそんな攻撃はしていないし、報道もしていないのだから。

 

 私が接しているメディア関係者から受け取る感触は、せっかく党首公選の議論が開始されるかと思って少し期待したが、この間の党の対応によって、わずかばかり残っていた期待もなくなったというものだ。だから、メディアにとって共産党は、すでに真剣な報道の対象になっていない。関心がなくなっている。

 

 そうなると、「反革命勢力、反共勢力、支配勢力からの攻撃」されているという、8中総の大方針が揺らいでしまう。だから、また私に攻撃の矛先を向けようというのかな。私と「反革命勢力、反共勢力、支配勢力」との結びつきなるものも発見できなかったようだから、こんどは私自身のことを「反革命勢力、反共勢力、支配勢力」の中心にいると言い出すのではなかろうか。がっかりだ。