昨年末、東京に出張した際、事前に購入したパルスオキシメーターを携え、一人で暮らしている母親の部屋に置いてきた。いま話題の血中酸素濃度測定器である。指に挟めばすぐに測定が完了する。4000円程度でリーズナブルだった。

 

 昨日だったか、お昼の情報番組をボヤッと眺めていたら、この測定器に詳しいお医者さんが出ていた。イギリスを日本を比べて、ベッド数は同じ程度だが、感染者はイギリスのほうが何十倍も多いのに、医療崩壊は同じ程度に止まっているのかということについて、入院をさせるかどうかの判断基準の違いだと解説していた。イギリスは、パルスオキシメーターで90を下回ったら入院させるし、上回っていたら本人が「苦しい」という程度では自宅で療養させるということだった。

 

 アメリカだってそうだが、日本はいまではここまで広がったとはいえ、なおアメリカやイギリスの水準とは違うのに、なぜここまで医療崩壊が来ているのか、説得力ある理由が示されてこなかったので、とりあえず納得した次第である。

 

 他にも理由があるのだろう。そうはいっても、日本の場合、「苦しい」という人に対して「自宅で」と冷静に言える医者は少ないのかもしれないし。

 

 ただ、PCRで陽性になった人に対してはパルスオキシメーターを渡し、90を越えたら入院させるというのは、厚生労働省がどうあれ、医者だったら誰もが知っている基準だということなので、「命のトリアージ」の負担を軽減することにもなるのではなかろうか。事ここにいたって、「政府は一年間何をやってきたのだ」と糾弾することも大事だが、医療を受けられない人に対して具体的で当面実現可能な対策を示すことも大事である。

 

 ま、素人の話なので、半分に聞いてください。ただ、個人的には、遠く離れた母にしてやれるのは、これを毎日測定してもらい、下がったら私が保健所に電話することぐらいだろう。その数値があれば、保健所も判断しやすいだろうし。

 

 今週末からの出張予定はキャンセルになり、いつ母のところに行けるかも分からないので、ここにいながらできることは、全部しなければならない。