テレビをつけたときは、すでに次の逢坂さんの質問に移っていた。辻元さんと安倍さんのやり取りは聴けなかった。

 

 だけど、安倍さんにはセンスがないなあ。「お褒めにあずかって光栄」と答えてほしかった。だって、何と言っても、あの鯛に喩えられたのだから。

 

 「鯛は頭から腐る」ってのは、あまり使われた例はしらない。佐高信の本のタイトルにあるくらいでしょ。ネットでちょこっと調べた範囲では、「魚は頭から腐る」というロシアやトルコで使われることわざはあるみたい。こっちのほうが分かりやすいよね。「鯛は頭から腐る」とすると、なぜ「鯛」なの?という疑問がつきまとう。

 

 きっと、「腐っても鯛」という日本でよく使われることわざがあるので、そこから「魚は頭から腐る」ではなく、「鯛は頭から腐る」と転用したんでしょうね。だけど、そうしたことによって、「罵詈雑言」というのではなく、安倍政権や自民党を褒める言葉になってしまったような印象がある。

 

 だって、なぜ「腐っても鯛」なのか。広辞苑では、「本来すぐれた価値を持つものは、おちぶれてもそれなりの値打ちがあることのたとえ」とある。大辞林には「本来上等なものは,たとえ腐ってもその品格を失わない」とある。

 

 鯛って、そういう価値のある魚なんだよね。だから、お祝いのときに振る舞われる。

 

 それに、鯛の平均寿命は40年とされ、鰯や鯵の5-6年、マグロの10-15年と比べ、格段に長いそうだ。これもネット情報で申し訳ないけれど。

 

 だから、辻元さんが使った「鯛は頭から腐る」というのが、どうしても安倍さんに対する批判に聞こえてこないのだ。安倍さんももっと冷静さを保って、「いや、腐っても鯛とも言いますから、わたしの政権や自民党の政権が長く続くことへのお祝いの言葉だと受け取っておきます」とでも答弁すれば良かったのにね。