はい。私が執筆した『北朝鮮問題のジレンマを「戦略的虚構」で乗り越える』(あおぞら書房)です。1600円+税=1728円ですね。

 

 トランプ大統領をノーベル平和賞候補にするのに安倍首相が推薦文を出したことが報じられています。この本の主題となっている北朝鮮の核・ミサイル問題での業績が理由だそうです。いろんな論点があります。

 

 まず、この事実をおおやけにしたトランプさんの演説で、同時に非常事態宣言が出されたことが絶妙のミスマッチですね。力で移民を阻止するため戦争に匹敵するような事態を宣言する大統領がノーベル平和賞にふさわしいというわけですから。

 

 トランプさんそのものが平和賞にふさわしくないという論評もありますが、それは今後を見ないと何も言えない。もしかして本当に北朝鮮の非核化をやり遂げたら、平和賞に値するという気もします。

 

 それに、シリアにせよアフガニスタンにせよ、米軍の撤退をめぐって新たな動きもあるようです。オバマさんとは逆のことをやりたいということで、戦略的に考えられているかは疑問ですが、それにしても軍事力であちこち介入するのは損だという思考方法はあるような感じです。

 

 メディアに掘り下げてほしいのは安倍さんの真意です。ノーベル平和賞に値するほど北朝鮮をめぐって平和な事態が訪れているという判断なのかどうか。

 

 そういう判断なのだったら、せっかく訪れた平和の果実をどう配当するのか、新しい政策を打ち出すことが求められるでしょう。来年度予算案が審議されますが、北東アジアが戦争から平和に転換したというなら、防衛費をこれほど計上する根拠が問われてきます。

 

 それとも、北朝鮮に対する見方は変わっていないのか。それならなぜノーベル平和賞なのか、十分な説明責任を果たすべきです。トランプさんの頼みを断れるような関係にないから、という以上に説明できるものがないから、口をつぐんでいるのではないでしょうかね。

 

 それよりも何よりも、安倍首相に求められるのは、自分で平和賞を取りに行くだけのガッツですよ。北朝鮮の非核化をやり遂げられるのは日本だというくらいの意気込みを持ってほしい。

 

 私の本はそこを詳しく提示しています。安倍さんに読んでほしいな。