年金制度失敗? | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは!
年金アドバイザーのhirokiです。
 
 
なんか、最近読者様からのメッセージで「金融庁がついに年金制度が失敗だった事を認めましたね」とか「金融庁がヤバい発表しましたが」と来たのでどういう事だろうと思ってその発表の内容を見てみました。
 
 
見たところ、金融庁が発表してたのは「将来の年金水準を維持する事が難しい」という事ですよね。
 
だからより一層自助を求めるという話。
 
 
あのー、公的年金は生活資金のすべてを賄うものだという誤解も多いですが、公的年金ができた昭和20年前後の頃から生活のすべてを賄う事を目指して作られていない。
 
 
公的年金はあくまで生活資金の有力な足しにはなるが、足りない分は自分で資金を用意する事が望ましいというものでした。
その考えはずっと変わっていない。
 
だから、大半の企業には退職金や企業年金があったし、今も企業年金や退職金制度がありますよね。
 
 
昔は終身雇用や年功序列で長期勤務を奨励するために退職金制度が普及していきましたが、今現代は退職金制度は徐々に縮小し非正規雇用が増えて個人の企業年金(確定拠出年金とかの積立)が普及しています。
 
 
また、年金が下がる方向になるというと年金崩壊に向かってると早合点してしまう人がいますが、年金が上がったり下がったりするのはもう50年くらい前にそういう仕組みになった事です。
これは経済の伸びに取り残されないためです。
 
物価変動や賃金変動という経済変動に合わせるっていうのが年金制度であり、もちろんそういうのが下がれば年金は下がる。
そんなの決まり切ってた事なんですよ。
 
 
しかし、平成10年までは物価はとりあえず上がり続けたから年金は下がらないものであるという誤解が浸透している。
ちょっとでも下がろうもんなら、もう年金は崩壊に向かってるとかわけのわからん話題になる。
 
 
まあ、平成11年から13年までは物価が3年間で合わせて1.7%下がったにもかかわらずに、年金受給者からの反発で選挙に影響する事を恐れて下げずに翌年の年金額を据え置いたという悪しき事例はありますけどね。
 
 
平成14年、平成15年も合わせて物価が1.2%下がりましたがさすがに耐えきれずに年金の下落に初めて踏み切った。
 
 
本来はそういうふうに物価変動や賃金変動という経済変動の影響を受けて上がったり下がったりするのが年金なんですよ。
 
 
 
年金は現役男子の平均賃金の約60%台を目指すという考えに昭和48年に変わって物価スライドと賃金スライド(物価や賃金に合わせる)も導入されました。
 
 
つまり、60%台の年金を確保する為に必要な現役世代の保険料徴収を求めるという考え方ですね。
 
 
まず年金受給者の給付ありきで、そのために現役世代から負担してもらう保険料を考えるというやり方でした。
 
 
 
しかし、少子高齢化の進行が予想を超える速さで進む事により、支えられる側の年金受給者は増えて支える側の現役世代は減るという方向に傾き始めました。
 
 
 
こうなると現役世代の負担は際限がないですよね。
経済成長が右肩上がりだった昭和だったらそれで良かったんですが、経済が停滞した平成ではそれは難しくなりました。
 
それこそ年金制度が維持できなくなります。
まさに破綻やむなし!の状況になる。
 
 
そこで年金受給者の現役男子の60%の年金を目指すという方向から、まず現役世代が負担できる限度を決めて、その中で年金給付を行うというやり方に変更されたんです。
 
 
これは平成16年改正で導入されました。
 
 
家計でいえば毎月入ってくる給料の中で支出をやりくりするという事です。
 
 
現役世代の負担限度(毎月入ってくる収入)の天井を決めたんだから、今までの60%の高い年金給付をそのまま維持するというのは無理ですよね。
 
でも、少なくとも夫婦の年金が現役時代の50%以上にはなるようにという目標で、今の厚生年金保険料18.3%が上限(平成29年9月から)になりました。
 
 
とはいえ、年金は冒頭でも言ったように経済変動に左右されるから、毎年上がったり下がったりを繰り返します。
経済が上向けば年金は上がり、経済が低迷すれば年金も下がるなんてのはそりゃあそうですよ。
 
 
年金は基本的には物価に左右されるものですが、令和3年度からはより現役世代の力に合わせて維持するために、賃金が下がった時は賃金に合わせるという事が平成28年に決まりました。
 
 
 
例えば今のやり方だと良くない点があるんです。
 
 
物価が上がり、賃金が下がれば前年度の年金額を維持する。
 
物価も賃金も下がったけど賃金の下げが大きいのに、物価の下落に合わせて年金額の下げを小さくするという状態です。
 
 
こういう事が続くと年金受給者の力が現役世代の力を上回ってしまって年金制度を圧迫してしまうんです。
 
 
だから、こういう部分をより賃金の変動に合わせるという事に令和3年度から変わるので、賃金が下がれば年金も下がって今の年金水準も現役世代の力が下がってしまうと年金も下がるという事です。
 
 
だからより一層、年金+自助を求めるという事ですね。
 
 
これは年金制度は失敗だったとか言う問題ではなく、経済が成長するか現役世代の賃金が上がっていくかどうかの問題です。
年金受給者を支える現役世代の力である賃金が下がれば、年金は下がって今の水準より低くなる。
賃金が上がれば年金は今の水準より高くなる。
 
そういう事。
 
 
年金制度がどんなに完璧な作りになろうと、経済成長しない、少子高齢化は止まらないのであれば根本的に解決しない。
 
 
もちろん年金に問題が無かったわけではないけども、この70年以上幾度となく改正を行って修正に修正を重ねてきました。
 
 
年金不安が強くなると、もう自分で積み立てて将来に備える!年金なんて廃止しろ!という声が必ず出ますが、そうなれば皆さんのおじいちゃんおばあちゃん、高齢化した両親の資金は子や孫が自らの給料ですべての面倒を見る事になります。
 
 
まず年金を廃止して、自分で積立が始まったとします。
国は関与しない。
 
しかし、高齢世代は今まで年金を頼りに生活してきたので、年金世代が居なくなるまでは現役世代からの援助が必要になります。
 
 
つまり自分の将来の積み立て分以外に、高齢世代に仕送りをする事になります。
これを二重保険料負担問題といいます。
 
そんな事ができる人が一体どの程度いるでしょうか。
 
 
そもそももう自分でキチンと積み立てて将来に備える!っていう事を真面目にやる人がどの程度いるかというのも怪しいですよね。
 
もう年金廃止しろ!とかいう人ほど、真面目に資金準備せずに、将来は結果的に「国の責任はどうなってるんだ!ちゃんと助けろよ!」とゴネそうな予感しかしないですね。
 
 
次に昔と違って親子三代で家庭を支えるという構造は少なくなりましたし、「自分たち家族は自分たちの好きなように他の土地で暮しますから、親は親で生活してね。同居なんて絶対イヤです」なんて事は出来なくなるでしょう。
 
 
そんな自由な生き方ができるのは年金が高齢世代に支払われてるからこそです。
 
 
年金という公的な負担が無くなれば自己負担が増えるだけであり、今現代みたいな給料がなかなか上がらない時代ではそれこそ家庭崩壊が待ち受ける事になるでしょう。
 
確かに年金水準が下がる事は困るけれども、生活資金の一部としての年金が支払われるから、家族の自己負担が軽減されているわけです。
 
 
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ここだけのオリジナルの濃い内容です。

本日6月5日20時の第88号は「男女問わずこの年金期間が15年以上あると支給開始年齢と年金額がとんでもない違いになる」

船員や坑内員の期間がある人は厚生年金の期間のかさ上げがあって有利な年金額となるのですが、
かさ上げされる前の実際の期間が15年以上あると、年金支給開始と金額が何もかも変わってしまいます。


昭和29年4月1日以前生まれの人だと60歳前から貰えたりしていました。
もしかしたら「60歳前から貰えたよ?」っていう人はそういう期間があったのかもしれないですね^^

本来の現制度の年金との違いと、どれほど有利なものとなるのかの違いを学習していただくと共に、どうしてこの職業だった人は有利に設定されてるのかの歴史的理由。

そして、これらの人には今から年金貰える人には特例が無い限り発生しない年金「定額部分」も必ず発生しますが、
そこから65歳になって国民年金からの老齢基礎年金に移り変わる時にどうして年金額に差額が発生するかの意味も知ってほしいと思います。


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