平成29年度年金額が減額!そして国民年金保険料はアップ!一体何が起こったのか。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんばんは!
年金アドバイザーのhirokiです!



今日の厚生労働省発表の平成29年度年金額は0.1%下がり、老齢基礎年金満額は現在の780,100円(月額65,008円)から779,300円(月額64,941円)になります。


4月から年金額が変わるので実際の振込額への影響は6月15日支払いから出てきます。



厚生年金の夫婦のモデル年金(夫が40年厚生年金に加入して、賞与と給与を全部足しての平均42.8万円の平均標準報酬額で妻が40年専業主婦の場合)は221,504円から221,277円に下がります。


まあモデル年金は極端なんであんまし気にしないでいいかなと(^^;;

※モデル年金(参考)
428,000円×0.974(再評価率)÷1000×5.481×480ヶ月=1,096,740円(月額91,395円)
夫の老齢基礎年金779,300円(月額64,941円)
妻の老齢基礎年金779,300円(月額64,941円)
91,395円+64,941円+64,941円=221,277円。





さて、なんで0.1%下がったんでしょうか?


結論からいうと前年の物価変動率が0.1%(→0.999)下がったから。




賃金(正式には名目手取り賃金変動率)1.1%(→0.989)下がっていますが、なぜ現役世代の賃金よりも年金下げ幅が小さいかというと、物価と賃金が両者ともマイナスだった場合はマイナス幅が小さいほうに合わせるというルールがあるからです

※注意
平成33年度からは賃金の下げに合わせる。




だから、現役世代の年金受給者を支える力(賃金)がマイナス1.1%減よりも、物価変動率を用いる事で年金額の下げ幅は0.1%と小さくなりました。


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名目手取り賃金変動率というのは、見るだけでイヤになりそうな用語ですが…中身は物価変動率×実質賃金変動率×可処分所得割合変化率というもので構成されています。



実質賃金変動率というのはちょっと手計算でできるようなものではないので、まあそういうものがあるんだなと思ってもらえればいいです。


毎年1月末にこういうデータが厚生労働省HPに出るので確認する程度で構いませんニコニコ



というわけで、下がった老齢基礎年金(障害基礎年金や遺族基礎年金も)の金額で見てみましょう。
基礎年金はこれから年金もらう国民全員に関係してくる年金なので…




平成28年度までは年額780,100円が満額でした。




この780,100円という数字は、平成16年に決められた老齢基礎年金満額780,900円に改定率0.999をかけたものが780,100円になります。


780,900円(平成16年度額)×0.999=780,119円≒780,100円





で、今回は物価変動率が0.1%マイナスだから0.999に。
実質賃金変動率が0.8%マイナスだから0.992
可処分所得割合変化率は0.2%マイナスだから0.998に。



よって賃金(名目手取り賃金変動率)は、物価変動率0.999×実質賃金変動率0.992×可処分所得割合変化率0.992=0.989(→1.1%マイナス)




しかし、物価変動率が0.1%(→0.999)マイナスなので、マイナス幅が小さい物価変動率を計算に使う。
今はそういうルール。



よって、平成16年度に決めた老齢基礎年金満額780,900円×改定率0.998{→0.999(前年度改定率)×物価変動率0.999}=779,338円(平成29年度老齢基礎年金満額)




しかし、老齢基礎年金満額の端数処理は1円単位ではなく、50円以上切り上げて50円未満は切り捨てる為779,338円→779,300円(月額64,941円)となります。



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なお、年金額が上がるのを抑制するマクロ経済スライド(平成29年度はマイナス0.5%)というのがあり、普通は物価や賃金が上がった場合はマクロ経済スライドを使って下げますが、今回は物価も賃金もマイナスなので0.5%下げません。


あくまでマクロ経済スライドというのは、物価や賃金が上がった場合にその上げ幅より下げるものなので、物価も賃金もマイナスになったら下げません。


マクロ経済スライドというのは、被保険者の減少(年金世代を支える現役世代の力の減少)と、平均余命の伸び(年金受給者の増加による負担の増加)を年金額に反映させて年金の増額を抑制するもの。



※例題
物価が2%上がり、賃金が1%上がり、マクロ経済スライドが0.6%の場合。
年金額には賃金1%を用いますが、更にここからマクロ経済スライド0.6%を引くので年金額の上げ幅は0.4%になる。

つまり年金の実質価値を下げるのがマクロ経済スライド。年金額そのものを下げるものじゃない。



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で、もう一つなんですが平成29年度の国民年金保険料も変更になります

平成28年度は月額16,260円でしたが、平成29年度は月額16,490円に値上げ(230円アップ)。



ちなみに平成30年度は月額16,340円に下がる。




平成16年に国民年金保険料は平成29年度は16,900円を上限にするって決まったんですが、実は国民年金保険料も物価や賃金の変動に左右されるのでそれを加味するためにこの16,900円に保険料改定率というのを掛けます。




だから毎年、国民年金保険料が変動したりする。




保険料改定率というのは中身は、(前年度の保険料改定率×前年度の名目賃金変動率)




名目賃金変動率っていうのは、物価変動率×実質賃金変動率の事。



ここまで読んでて、きっと読者様はだんだん見るのがイヤになってきましたね(^^;;わかります(笑)





さて、なんで国民年金保険料を16,900円に上限と決めたのに、平成29年度が16,490円なのか。




平成27年度は物価変動率が0.8%上昇して実質賃金変動率が0.8%下がってるから、前年度である平成28年度の保険料改定率0.976×前年度である平成28年度の名目賃金変動率1.000{名目賃金変動率→物価変動率(平成27年)1.008×実質賃金変動率(平成24~26年度の平均)0.992}=0.976(保険料改定率)×16,900円=16,494.4≒16,490円(10円未満四捨五入)が平成29年4月から払う国民年金保険料です。




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また、平成30年度はなぜ16,340円に下がっているのか。





平成16年に決めた国民年金保険料の平成29年度以降の上限額16,900円×{前年度(つまり平成29年度)保険料改定率0.976×前年度(つまり平成29年度)の名目賃金変動率(→平成28年物価変動率0.999×実質賃金変動率0.992=0.991)}=16,900円×0.967=16,342円≒16,340円となります。


※平成29年度国民年金保険料前納額(厚生労働省)



国民年金保険料の内訳をわざわざ知る必要はないですが、一応こんなめんどくさい事やって保険料決めてるんです(^^;;



まあ、年金は物価や賃金に左右されるという事は覚えていてくださいウインク


これでも結構短く書いたつもりなんですが…とりあえずここまであせる



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