ラグビーワールドカップ日本大会    歯科医師夫婦のつれづれ手帖 Vol.63 | まつうら歯科クリニックのブログ

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 この秋、ラグビーワールドカップの試合が日本各地で行われ、大変な盛り上がりをみせた(この原稿を書いている時点で三位決定戦と決勝戦を残すのみである)。強豪国を打ち破り、決勝トーナメントに進出した日本代表の姿に、心震わせ応援した方も多いことだろう。

 

 私が小学校高学年から高校の頃、新日鉄釜石ラグビー部は全盛を誇り、日本選手権で7連覇を達成した。森重隆や松尾雄治といった大学出のスタープレーヤーもいたが、ほとんどは地元出身の実直な選手達だったと記憶している。一丸となった赤いジャージの軍団が、大漁旗の声援を背に激しい戦いを繰り広げる場面は、今も鮮明に記憶している。ラグビーは15人で行われるが、個々に役割があり、全員が一つになり一つのボールを繋いでトライを目指す。「One for all, All for one ~一人はみんなのために、みんなはひとつの目的のために~」という言葉も、その頃覚えた。その後、釜石がなかなか勝てなくなったこともあり、積極的にラグビーを観戦することが無くなっていたが、今回、様々な場面でラグビーの話題に触れ、改めてその精神の尊さを実感した。

 

 残念だったのは、釜石市で行われる筈だった「カナダ対ナミビア」の試合が、台風19号の影響により中止になったことである。当日は天候が回復したこともあり、私は「開始時間を遅らせるなり、無観客試合にするなりして、なんとかして出来なかったものか?」と考えていた。しかし、翌日偶然に読んだスポーツ新聞の記事に考えを改めさせられた。

 

 それは、中止になった試合で「マッチボールデリバリーキッズ」の役をする筈だった少女の記事である。ラグビー少年団で自らもプレーし、両国の国歌も覚え、半年以上も前から楽しみにしていたとのこと。父親は大泣きされることを覚悟で本人に中止を伝えた。あまりに冷静な反応で、真意を聞いたところ、「台風が来ることは1週間も前からわかっていたし、人命が第一であり、災害時にイベントをやるわけがないと思っていた。」と答えたそうだ。その子が東日本大震災を経験したのは1歳だが、その後災害について徹底的に学習してきたという。われわれ大人より子供達の方が、はるかに純粋に、冷静に状況判断出来ていたのだ。
 その後、選手達がボランティアをした等のニュースも耳にし、釜石市で試合が組まれたことの意義を、改めて実感した次第である。 

(文: 松浦 政彦)