仮想通貨の課題と暗号通貨をめぐる米中覇権争い<その1>~松田学の新著より【その6】~ | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。


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このところ世界情勢は、貿易戦争や株価下落など不安定性を示しています。貿易戦争の背景には米中間での技術覇権をめぐる争いがあり、104日にはペンス副大統領が演説で、米中関係の全面的なリセットを宣言。この中で、中国はこのところ、日本にすり寄る姿勢を濃厚化させているようですが、米中両大国間の狭間で日本はどうするのか。

この問題には、世界大競争の軸ともなっている情報技術において、日本がどのようなポジションを取れるのかということが密接に関係しています。

その切り口の一つとして、今回は「仮想通貨」(暗号通貨)について論じてみたいと思います。技術覇権は通貨覇権とも大きく関係しているからです。

●仮想通貨ではなく、暗号通貨。

これまで本ブログでは、私が今年の夏に上梓した「サイバーセキュリティと仮想通貨が日本を救う」(創藝社)の内容について順を追って解説してまいりました。サイバーセキュリティにつきましては一通り述べましたので、今回の【その6】からは、仮想通貨の話に入りたいと思います。

仮想通貨(バーチャル・カレンシー:virtual currency)と言われますが、バーチャルと言うと何か実態のないニセのいかがわしい存在のように聞こえます(ただし、virtualには「事実上の」という意味もあることには注意が必要です)。世界の大勢は「暗号通貨」(クリプト・カレンシー:crypto currency)という言い方ですし、定義上もこちらのほうが正しいので、私も、暗号通貨という表現を用いて論じています。

もっとも、現時点で暗号通貨は「通貨」としての要件を満たしていないので、日本の金融庁も含め、世界の当局者間では「暗号資産」(クリプト・アセット: crypto asset)という言い方になっています。通貨金融当局からみれば、金融政策ではコントロールできない暗号通貨は存在自体が許せないのでしょう。G20のような場では、規制で潰してしまえ、という声が多数のようです。

ただ、日本は暗号通貨について世界で最初に、登録性などの規制インフラを2017年に導入した国です。そのような意味でも、世界共通の規制の構築は、これから日本が主導して進められる可能性が大きいようです。日本の金融庁には当初、フィンテックの分野で日本が遅れをとってはならないという意識があったようですが、これがビットコインの投機を助長するという意外な結果を招き、その後のコインチェック事件などを経て、今は国内でも規制一色にみえますが、根底には、できることなら健全な通貨か金融商品に育ってもらいたいという願望があるのではないかと思われます。

仮想通貨はまだ、通貨としてあまりに不完全です。私の本の表題の一部に「仮想通貨が日本を救う」とありますが、今のビットコインなどの仮想通貨が日本を救うとは私は考えていません。現在、暗号通貨はさまざまなイノベーションによって進化を遂げている過程にあります。それを経て真に通貨にふさわしいものへと脱皮するのは、そう遠い将来ではありません。日本を救うのは、そのときの暗号通貨です。その開発、実装に日本がイニシアチブをとって未来社会を拓くことができるかどうかが問われていると考えます。

●そもそも仮想通貨(暗号通貨)とは何なのか

 暗号通貨とは何なのか、その問題点や課題は何かについて、詳しくは拙著をお読みいただければと思います。ここでは、以下、パワーポイントを順次、掲載しますので、それらに目を通していただくこととして、解説は最低限にとどめます。

[図1]…「仮想通貨」とは簡単に言えば、法定通貨以外のインターネットで送付可能な電子的支払い手段であり、ネットでおカネを送ると生じる二重使用、三重使用…の問題を解決するものとして、皆が取引を確認することで取引を真正なものと確定させる技術としてブロックチェーンが開発されることで、ビットコインが誕生しました。

現在は世界で2,000種類も存在すると言われる「仮想通貨」ですが、「仮想」には法定通貨ではないという意味があること、既に世界各国では法定通貨として暗号通貨を発行しようとする動きがあることからも、「暗号通貨」という呼び名が正しいです。


[図2]…そもそも通貨とは、①決済手段、②価値の保蔵手段、③価値尺度の3つの要件を全てそろえていなければ通貨とは言えないとされてきました。現在のように投機で大きく価格が変動する「仮想通貨」は、少なくとも③の価値尺度という条件は満たしておらず、①の決済手段としても実用的ではないなど、通貨の要件は満たしていません。

通貨にはそもそも、紙や硬貨のような「貨幣」という実物の形をとるものと、台帳方式によるものの2種類があり、現在、私たちが使用している通貨のほとんどを占める預金通貨は台帳方式です。ブロックチェーンも台帳方式ですが、同じ台帳方式でも、預金通貨が銀行という中央集権組織が管理することで信用を担保しているのに対し、ブロックチェーンの場合は「分散型」と言って、皆で監視し合う仕組みのもとに、中央集権的管理者が不在なのが大きな違いです。

これまであらゆる社会システムは中央集権型で管理運営されてきたのに対し、ブロックチェーンは人と人との間に管理者が介在しない、まさにP2Pで運営されることから、これがおカネに限らず、広く社会に実装されることで、分散型の民主的なシステムへと社会全体の変革が進むとされています。


〔図3〕…ブロックチェーンで仮想通貨が発行されるというのはどのような仕組みなのか。ブロックを作ることをマイニングと言います。マイニングの競争が世界中のコンピュータを回して行われており、10分に1つ、ブロックが作られ、この中に取引が記帳されていきます。競争の勝者は仮想通貨を報酬として受け取ります。ブロックが鎖のようにつながっていくので、「ブロックチェーン」と呼ばれています。


〔図4〕…ブロックチェーンをイメージ化すると、このようになります。


〔図5]…ブロックチェーンの仕組みによって生み出され、取り引きされているビットコインとは何なのかをまとめてみました。マイニング作業という「プルーフ・オブ・ワーク」(作業の証明)が生み出すのがビットコイン。ハッシュ値という複雑な計算をする作業です。世界中のコンピュータが、この値を計算する競争への参加で動いていますので、アルゼンチン一カ国分とも言われる電気代がかかっています。ビットコインは発行量に技術的な限界があります。22世紀(2141)に新たな「マネーサプライ」はゼロになるようです。


〔図6〕…ブロックチェーンは前述のように、これまでの社会の多くの仕組みとは根本的に異なる、分散型の仕組みです。


 こうした仮想通貨のメリット、デメリット、暗号通貨の今後の課題やイノベーション、さらには、最近の中国や米国の動きなどについては、次号「仮想通貨の課題と暗号通貨をめぐる米中覇権争い<その2>~松田学の新著より【その6】~」で論じます。

 

松田学のビデオレター、第97回は「新しいお金、新しい基軸通貨は?~法定暗号通貨の時代」

チャンネル桜1016日放映。

 

 

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