安倍政権、残る3年の課題としての「新しい国づくり」と戦後システムの組み替え~松田学の論点~ | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。


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「新しい国づくり」。このたび総裁3選を果たした安倍総理がよく口にしてきた言葉です。私も衆議院議員の頃は、国会の様々な質疑の場で何度も安倍総理と政策論のやり取りをいたしましたが、そのたびに「新しい国づくり」の具体的な中身を問うておりました。

例えば、マイナンバー法案では、個人番号制の普及で日本の社会は具体的にどうなるのか国民にビジョンを示してほしい、いま話題の国家戦略特区では、この法案が日本らしい経済の強さをどう引き出すことにつながるのか…等々。もちろん、国会答弁というものは無難な模範答案の域を出ないものです。

●長期政権それ自体が国益

現在の日本は、安倍総理に対する国内での評価がどうあれ、少なくとも国際社会における日本の立ち位置という観点からみれば、長期安定政権として安倍政権が継続すること自体が国益といえる状況にあるというのは多くの人々が認めるところでしょう。

トランプ政権のもとで世界秩序の運営には背を向けるようになった米国に代わり、いまやその役割は日本の宰相に期待されています。日本の最高指導者が世界の国々、少なくとも価値観を共有する先進主要国の首脳たちをリードするという、この日本の歴史始まって以来の快挙は、安倍政権の長期化の成果といえます。

来年11月に通算在職日数が憲政史上最長となります。ますます不安定化する国際社会の中で、自由や民主主義、市場経済や法の支配といった「普遍的価値」において信頼度の高い国として、政権がさらに3年、安定政権として持続していくこと自体が大きな国益でしょう。

●積み残されてきた課題解決が残り3年の課題

しかし、3年の時間を得たからこそ、これまでややもすれば、政権の安定を確固とするために優先されてきた時々の政局判断を離れ、長期安定政権にしかできない、積み残されてきた日本の真の課題解決に答を出してほしいものです。

言われている憲法改正は、政治的には政権を失速しかねない難題ですが、両院で3分の2以上を占める現在のチャンスを活かせないままでは、保守政治家として歴史に汚名を残しかねないでしょう。極論すれば、内容はどうあれ、初めての改憲を国民投票で決めること自体が、少なくとも形の上では「自主憲法」の体をなすことになります。かつて安倍氏が掲げた「戦後レジームからの脱却」の第一歩になると思います。

先延ばしを重ねた消費増税の三度目の正直での実行は、日本財政の持続可能性を取り戻す上で不可避とされますが、単なる増税では能がありません。この際、新しい財政運営と通貨システムの構築によって、財政健全化と経済成長の両立を国家戦略の次元で実行できる仕組みを整えてほしいものです。

一部に、求心力が低下し始めた安倍政権のもとでの予定通りの消費税率引上げでは、参院選は厳しいとの声が早速出ていますが、その懸念を払拭するためにも、こうした財政運営のレガシー構築との抱き合わせが必要だと思います。

ちなみに、私の友人で安倍総理の外交ブレーンである谷口智彦さんが、拙著「サイバーセキュリティと仮想通貨が日本を救う」を読んで、ここに書かれた「松田プラン」などが総理の耳に入るようにしてほしいと伝えてきました。

●新しい国づくりの基本は「戦後システム」の再設計

その他、社会保障改革などさまざまな改革を残り3年間の課題として安倍総理は掲げていますが、やはり、私の国会質疑でも答えが不十分だった「新しい国づくり」の中身を具体的な設計として組み立てることが最大の課題だと思います。

ただ、それは必ずしも、どちらかといえば政治的な意味合いの強い「戦後レジーム」という言葉ではなく、むしろ「戦後システム」のほうに焦点を当てて論じるほうが良いと思います。問われているのは、戦後日本の経済社会に「世界で最も成功した社会主義」として広く深く根付いてきた社会システムや諸制度の基本設計を抜本的に組み替える作業なのではないでしょうか。

とにかく、いまの日本は何事も硬直的です。どの分野でも、有為な人材はまず海外に活躍の場を求めている。霞が関よりもさらに官僚的で動きの鈍い大企業が支配する「組織本位制」の「一億総無責任社会」…。

戦後の日本社会は、図のように、各省庁がそれぞれ事務次官を王様とする王国をつくり、例えば建設省王国、農林省王国、運輸省王国…といった具合に国家が分断され、それぞれのもとに業界団体、大企業-中小零細企業のヒエラルキーが形成された、業界縦割り構造を特徴とするものです。右肩上がりの成長パラダイムのもとでは、それぞれの省庁-業界が自らの部分最適を追求することが全体最適につながりました。


その上に立って全体戦略を追求すべきはずの政治は、この分割されたシステムによって生み出される富を分配し、利害を調整する存在でした。このような国全体の司令塔なき仕組みは、「中央集権」というよりも、「中央分権」とも言われます。ここに横串横断をかける仕組みが不十分な、ガチガチの組織体制といえるでしょう。

しかし、時代の流れが、富の分配という軸から、富の創出という軸へとシフトし、そのための「選択と集中」に向けて強力なリーダーシップと全体戦略を必要とする局面へと移行するに至り、こうしたシステムは行き詰まりを示すようになりました。

●本当に「取り戻す」べき日本とは

ただ、こうした戦後日本の姿は、歴史的にみれば、決して日本古来の「国のかたち」ではありません。「1940年体制」という言葉もあるように、戦争に向けて急激に集権化が進められた結果として形成された戦前の戦時体制がそのまま、目的を経済成長に変えることで出来上がった社会システムとされます。この80年間ほど、日本人は日本の長い歴史からみて自国の特殊な姿を経験してきたともいえます。

  それがいまや足枷となって、日本を中国にも伍していけないほどの競争劣位に陥らせている事例は、枚挙にいとまなしです。


詳しくは別の機会に論じますが、かつて、自由で流動性が高く、独立自尊の精神に満ちた「明治大正経済システム」が花開いていた時代が日本にはあり、それは江戸時代以前から連綿と育まれてきた日本社会の特性を反映したものでした。

「日本を取り戻す」は、自民党がよく使うキャッチですが、「日本を取り戻す」で取り戻す日本は決してバブル以前の日本ではなく、「戦後レジームからの脱却」は決して戦前への回帰でもなく、むしろ「戦前」以前の日本を再発見することだと捉え直したほうが良いと思います。

これを急速な進歩を遂げる科学技術を基盤とした高度情報社会やバーチャルとリアルが一体化する「Society5.0」といった未来に向けた時代的文脈のもとに再構築する。

さらにいえば、「戦前」の経験に懲りて、国民の間で「国家権力」が異常なほどのアレルギーが蔓延してきたのも、「戦後システム」の特徴です。安全保障環境の変化だけでなく、これだけ自然災害が激甚化、多発化し、サイバーセキュリティなども大きな課題となっている現在、戦前トラウマから脱却し、危機管理ということを国家の次元で組み立て直すことも大きな課題となっています。国家にしかできない機能を再構築する。

ただ、「新しい国づくり」は、もしかすると、これから動き出すかもしれない「ポスト安倍政治」の課題になるものなのかもしれません。

 

松田学のビデオレター、第96回は「早急な具体化が求められる、安倍総理の『新しい国づくり』」

チャンネル桜102日放映。

 

 

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