本当の意味での「財務」省になっていない財務省~改革の視点~松田学の論考~ | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。


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 いま、世間に対しあまりに話題を提供し過ぎなのが天下の財務省です。佐川前国税庁長官に続き、福田前事務次官。セクハラ疑惑については私もインタビューや生番組への出演などで民放テレビの画面に何度も登場しました。

パネラーとして出演依頼を受けたチャンネル桜の経済討論番組のテーマも「財務省主導の経済でいいのか?日本」(414日放映)

そこでも全体のトーンは「ウソつき財務省」、財政の実態をわざと悪く見せて、世論や政治を消費増税へと誘導しているとして、いつものように積極財政の立場に立つ論者たちが財務省を厳しく糾弾する場になりました。その場で大蔵省の一年先輩である高橋洋一さんから、これもいつものように、もっと財務省批判をしろと私はお叱りを受けましたが、果たしてこれ以上財務省を悪者にしたところで生産的な議論になるのか疑問です。

●問題の本質は財務省が真の財務省ではないことにあり。

 この経済討論のパネリストたちは、後記のとおり、私以外はいずれも積極財政論者として著名な論者たちでした。

<安藤裕(衆議院議員)、高橋洋一(嘉悦大学教授・「政策工房」会長)、田村秀男(産経新聞特別記者・編集委員兼論説委員)、藤井聡(京都大学大学院教授・内閣官房参与)、松田学(東京大学大学院客員教授、元衆議院議員)、三橋貴明(「経世論研究所」所長)、渡邉哲也(経済評論家)、司会:水島総(日本文化チャンネル桜代表)

 この経済討論の動画は、この記事の最後に掲載しています。

驚いたのは、自民党の安藤衆議院議員の次の言葉、「今は自民党も全体が緊縮財政派になり、消費増税の必要性を説いたほうが選挙民の受けが良いと考えている。積極財政派は首相官邸だけになり、孤立している。」…選挙では消費増税はタブーだと聞かされていた私の政治家としての経験からは信じられないことです。

本当だとすれば、そこまで財務省の工作が奏功している証左かもしれません。実際のところ、財務省の体質は体育会系です。省内での議論は活発ですが、いったん、これで行くと決まると、そこで思考停止、各界根回しに組織を挙げて一斉に動きます。頭がいい人たちなので、彼らの説明は説得力があり、各界要路の方々は誰もが得心してしまいます。

しかし、この財務省の人々の説明が実は「ウソつき財務省」…森友文書問題とも相まって、この討論ではそのようなレッテル貼りで盛り上がっていました。以下、この番組ではかき消されがちだった私の真摯な主張も交えながら、財務省問題の本質を冷静に考えてみたいと思います。

そもそも日本はもはや財務省が主導する経済ではありませんし、現在の財務省の問題はそんなことではなく、むしろ、2001年に伝統ある大蔵省の名称が変更されたあとも、未だに真の「財務」省へと脱皮していないことにあります。実態は財務というよりも「経理省」。

どの会社でも経理部は収入と支出の均衡を主張する立場ですし、そういう部局はどの組織にも必要です。大事なのは、その上に立って社長が決断を下すことです。もし、財務省の政策に問題があったなら、問われるべきはむしろ、政治の側の力量不足のほうではないでしょうか。安倍総理は消費増税の延期で社長としての役割を果たしたように見えますが、そのためには衆議院を解散するしかなかったところに、未だに日本の政治の力が弱いことが示されています。

もし財務省を本気で変えたいなら、役所の設計を「経理」から、バランスシートに基づいて資産負債戦略を遂行する「財務」のプロへと再設計すべきでしょう。今の財務省には、とにかく借金はいけないと主張する立場しか与えられていません。

●財務省は「ウソつき」なのか?~財務省の信念

積極財政論者たちが指摘するように、財務官僚は真理が分かっているのにウソをついている人々なのでしょうか。藤井聡氏が番組で指摘したように、自らの行動が公益に反することを分かっているのに、組織人としての行動を優先しているのは犯罪的だということなのでしょうか。そうではなく、私が番組で指摘したように、実際には、ほとんどの財務省職員は真剣に「経理省」の立場で国を憂いています。


ここで積極財政論者の主張と財務官僚たちの信念を比較整理してみたのが上図です。

積極財政論者は、名目GDPが財政収支を決めるのであり、2014年の消費増税がデフレ脱却を遅らせたことは財政状態の改善も送られたと主張します。これに対し財務官僚の信念は、国民の将来不安が消費を低迷させているのであり、消費増税による財源確保で社会保障を安定させて将来不安を解消することが大事だとの中長期的な効果を重視しています。

政府が財政健全化の目標としているプライマリーバランスについては、積極財政論者は、これを意味がないとし、大事なのは、公債残高の対GDPを低下させることであって、これは既に低下に向かっていると主張します。これに対し財務官僚は、公債残高の対GDP比の低下は現在の異次元の金融緩和による異常な低金利がもたらしているのであって、いずれ、金利が正常化して、将来、公債残高の対GDP比は上昇に転じると考えています。

景気が良くなれば税収が増えるにも関わらず、財務省は税収弾性値を意図的に低くしていると積極財政論者たちは主張しています。税収弾性値とは、名目GDPの成長率が1%アップすると、税収が何%増えるかを示す数値のことで、財務省は概ね1程度としていますが、積極財政論者の中には3ぐらいあるという方もいます。

ただ、たとえ税収弾性値が3だったとしても、名目GDP成長率が1%アップすれば金利も1%上昇すると考えるのが妥当ですから、約900兆円の国債残高に1%を乗じれば、国債利払い費、つまり歳出は9兆円増える計算になります。税収が約60兆円とすれば、税収は3%、つまり1.8兆円しか増えませんから、財政はかえって悪化してしまうのですが…。

積極財政派は、1997年の消費増税(3%から5%へのアップ)や緊縮財政がデフレの原因だと主張しますが、財務官僚はデフレの原因はバブル崩壊後の不良債権問題を原因とするマネーの収縮や、構造問題にあると考えています。

積極財政論者は、政府の需給ギャップの計算方法はおかしい、日本経済の供給力を示す潜在GDPはもっと大きいはずだと主張しますが、潜在GDPはそもそも計測不可能であり、過去の実際のGDPの平均から推計するしかないというのが政府の立場です。

積極財政論者は、日本には国土強靭化、科学技術、国防、人材など、やるべき投資がたくさんある、投資のための財源なら、建設国債の考え方で国債をどんどん発行すればよいと主張します。これに対し、多くの財務官僚は、例えば公共事業をみても、人手不足などでおカネを積んでも予算が消化できない、大事なことは経済構造の改革で投資のフロンティアを拡大することだと考えています。

●答は「財務」省の設計にあり

しかし、現在の「経理省」である財務省に対してこのような議論を積極財政論者がぶつけてみても、埒が明かないでしょう。では、財務省が真の「財務」省になればどうなるでしょうか。財務省にとっては収支の均衡よりも財務戦略が重要になります、財務官僚は財務のプロになります。

財務とはバランスシートであり、資産の裏付けのない赤字国債と資産の裏付けのある建設国債とは明確に区分した財政運営がなされることになります。今は「ミソもクソも一緒」?に60年償還ルールを両者に適用して、とにかく借金はダメ、という経理の発想です。

バランスシートであれば、現在の単式簿記、現金主義ではなく、企業会計と同様、複式会計と発生主義が採られることになります。英国では下図のように、こうした財政運営がなされており、資本的支出と経常的支出が明確に区別されています。


財務の発想であれば、資産価値や資産の性格に応じて債務が組み立てられます。資産と債務のバランスこそが重要であり、真の債務とは負債から資産を差し引いた「純債務」であって、資産の裏付けのある債務(国債)ならば問題なしとして、投資的な支出がより積極的になされることになるでしょう。

私は「財務」の発想のもとに、国の一般会計を投資勘定と経常勘定と社会保障勘定の3つに分け、投資勘定では積極財政を、経常勘定ではムダの削減を、社会保障勘定では世代間の公平の度合いを国民に「見える化」する運営をすることによって、メリハリのある財政運営を実現すべきだと主張してきました。

財務の発想は、政府と日銀を連結させた「統合政府」の考え方につながるものであり、下図のように、そのもとで、1,200兆円とされる政府の債務も100兆円あまりの純債務へと縮小し、異次元金融緩和でもたらされたこの状態を恒久化させるための永久国債活用策、すなわち「松田プラン」も視野に入ってきます。


大事なことは「財務省」の設計です。財務官僚たちの信念がそのまま国益になるような仕組みを組み立てる改革にこそ答があります。人間は一つの仕組みのもとで、それに適合した行動を合理的に選択する存在です。

国民もメディアも単に批判するだけなら、それこそ、「お上」への甘え、官僚依存でしょう。財務省を国家機能としての「公器」へと蘇生させられるような有為な政治家が選挙で選ばれるなら、それは立派な国民主権の行使になると思います。

 

〇松田学のビデオレター、第84回は「経理から財務へ~積極財政論者の見方vs財務省の信念」チャンネル桜417日放映。

 こちら↓をご覧ください。

 

〇経済討論「財務省主導の経済でいいのか?日本」(チャンネル桜「日本よ、今…闘論!倒論!討論!20182018414日放映)

全体は1時間ずつの3部構成で3時間番組。松田学は皆さんとのやり取りの中で色々と発言していますが、上記の記事にも書かれた内容を少しまとまった形で発言した部分は後記の2か所ですので、そこだけでもご覧いただければと思います。番組開始からの経過時間(時間、分、秒)で示しています。

松田学の発言のうち、特にご覧いただきたい部分…

・0:1227~0:1547 

・2:5754~2:5929

 

 

 

 

 

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