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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。


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 安倍政権の新内閣が発足しましたが、国際社会の中で日本に問われる課題は山積しています。これ以上、Post-truth politicsをやっている暇はありません。新体制のもと、政府は経済を、自民党は改憲を、との役割分担のもと、見事な人事だったと言われます。

 ただ、私はアベノミクス経済再生の次の政治のテーマは、危機管理だと思います。目下直面する北朝鮮のICBMや国家安全保障だけではありません。国民に身近なテーマとしては防災もあります。先ごろは、私が東大大学院の客員教授として携わっているサイバーセキュリティに関して米国に出張してきましたが、陸→海→空と広がってきた安全保障の領域概念も変化し、いまや電脳空間へと広がっています。この問題は機会を改めて論じます。

 

●ミサイル防衛と敵基地攻撃論と専守防衛

 最近、北朝鮮からのミサイル攻撃の脅威に対抗すべく、「敵基地攻撃」能力の議論が出ています。自民党の安全保障調査会が3月に政府に提言し、安倍総理は8月3日、小野寺・新防衛大臣に防衛大綱の見直しの検討を指示しました。

 いずれ北朝鮮が、米国本土を攻撃できる核爆弾搭載のICBM(大陸間弾道ミサイル)を実戦配備するに至れば、とりわけアメリカ・ファーストのトランプ大統領のもとで、米国は北朝鮮と軍事面で協定を結んでしまうことを懸念する声もあります。そうでなくても、日本にとっては、米国による「核の傘」が消滅する事態が想定できないわけではなく、日本自らが北朝鮮に対する抑止力を高めることを迫られるでしょう。

 日本のミサイル防衛網としては、ミサイルが宇宙空間を飛ぶミッドコースフェイズではイージス艦からのSM-3(宇宙)が、ミサイルが地上に落下していくターミナルフェイズではPAC-3(地上パトリオット)が迎撃することになっています。しかし、これで100%防げるかについては様々な見方があり、最も確実に抑止できるのは、発射段階(ブーストフェイズ)でミサイル基地を叩くことだと言われます。

 そのため、日本もトマホークなど2000キロ飛ぶ巡航ミサイルなどを配備すべきだ、少なくとも、攻撃を受ければ武力による報復措置を講じることが事前的な抑止力にもなるという議論が盛り上がっています。ただ、たとえ「敵地」でなく「敵基地」であっても、日本の国是である「専守防衛」との関係が大きな問題になります。

 そもそも専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を必要最小限の範囲で行使することを意味します。このような受動的な防衛戦略は,日本の政治状況から生み出された独特の防衛構想で,軍事的な合理性よりも,憲法問題など内政上の要請をより強く反映したものとされています。

 ただ、では本当に敵基地攻撃論が現行憲法のもとでは許されないのかと言えば、必ずしもそうではないという政府の公式見解があります。1956年の鳩山一郎総理の衆議院内閣委員会での「座して死を待つべし」というのは憲法の趣旨ではないとの答弁(船田防衛庁長官代読)です。この場合に基地を叩くことは自衛の範囲であるとの国会答弁です。

 しかし、現実には、日本が実際に攻撃を受けて被害が発生しなければ武力行使はできないというのが、主流の考え方でした。ただ、昨今の北朝鮮の動向に鑑みれば、それでは日本国民の生命を守り切れないとすれば、敵基地攻撃論と憲法との関係を今一度、整理する必要がありそうです。

 実は、サイバーセキュリティも「攻撃は最大の防御」の世界です。ミサイル防衛も然り、これが本当の安全保障だとすれば、安全保障の概念変化に応じて変えられる憲法にするということも、いまの私たちが後世に対する責務、残すべきレガシーなのかもしれません。

そのことの是非はともかくとして、以下、現在提案されている憲法改正について論じてみたいと思います。

 

●集団的自衛権と戦争法案?

 憲法については、平和安全法制の制定によって日本が限定的に行使できるようになったのが集団的自衛権ですが、立憲主義に反するという意見が数多く出され、メディアなどは同法制を「戦争法案」などと批判しました。

 しかし、これは国連がどの加盟国に対しても国家固有の権利としているものであり、日本がそうだったのと同様、これを認めていないスイスの場合、徴兵制による自国防衛が徹底しています。

 そもそも集団的自衛権とは、他国の軍事力の支援を得ることで各国がより小さな軍事力で自国を防衛できるよう、人類が生み出した知恵です。

 日本の場合はこれを行使できるようになっても、自国の「存立危機事態」にのみ限定されているのですから、事実上は個別的自衛権のようなものです。国際標準の集団的自衛権とは程遠いものです。

 武力については「矛と盾」の議論があり、日本は「盾」に徹し、「矛」は米国に依存するということであれば、日本を防衛する米軍が攻撃された際に、たとえ日本が攻撃されていなくても米軍を守るために武力を行使することは、国際社会におけるマナーというものでしょう。そうでない国を、どの国が自国民に血を流させても守ろうとするでしょうか。

 平和安全法制を戦争法案と言うのも、post-truthだったと思います。日本のメディアには何でも戦前回帰イメージで、「戦争法案」化してしまう傾向が強いようです。

 

●憲法9条の芦田修正論

 さて、日本に積極的自衛戦略を採れなくしている現行憲法の第9条は、一見、たとえ自衛のためであっても、一切の武力行使を禁止しているようにみえます。一見というのは、よくみると、その第2項の最初に「前項の目的を達するため」とあるからです。

 これは、もしこの文言がなければ自衛のための武力行使もできなくなることを懸念した憲法制定当時の芦田均首相が入れた文言とされ、「芦田修正」と言われています。

 第9条の第1項は、1928年の「パリ不戦条約」と同様の表現、すなわち「国際紛争解決のため戦争に訴えることを非とし、…国家の政策の手段としての戦争を放棄する」と大変似ています。この表現は侵略戦争の放棄であるというのが国際的な定説だとされており、芦田修正は、侵略戦争を放棄した「前項の目的を達するため」に、戦力の不保持と交戦権の否認を謳ったものだという考え方です。

 およそ戦争には、侵略戦争、制裁戦争、自衛のための武力行使という3つの類型があり、芦田修正によって、憲法9条は、侵略戦争を禁じたものであって、それ以外の武力行使を禁止したものではない、というのが「芦田修正論」です。

 この説に立てば、現行憲法のもとでも、日本は侵略戦争以外なら、自衛のためだけでなく、制裁戦争、すなわち、国際標準での集団的自衛権を行使することや、国際社会が結束して世界平和のために「ならず者国家」に軍事力を行使することも可能だということになります。この関係を示したのが下図です。

●自衛隊を合憲とする政府解釈

 しかし、従来の日本政府の憲法解釈も安倍政権のスタンスも、この芦田修正論の立場を採っていません。では、どうして自衛隊が合憲なのかと言えば、その根拠は、憲法前文に「平和的生存権」が定められ、第13条に国民の「幸福追求権」が規定されていることにあるというのが政府解釈です。

 第9条そのものは全面的に武力行使を禁じている、しかし、これらの権利を守るためには必要最低限の自衛力がなければならない、そこで、①国家や国民の存立危機事態、②他に手段がない、③必要最低限、との3要件のもとに初めて、自衛のための(集団的自衛権の行使を含む)武力行使が認められているというわけです。

 では、「前項の目的を達するため」との文言は何を意味するかといえば、第1項は、その主文は、文章の最初のほうにある「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求」するなのであって、「前項の目的」とは、この部分を指すものである、第1項の後半にある戦争放棄の規定は、この前半の部分を実現する手段なのだ、という解釈になります。

 そもそも芦田修正が意図したところや、第1項の文章を素直に解すれば、この政府解釈も必ずしも自然ではないようにもみえます。「前項の目的」とは「戦争放棄」であると読むのが素直な読み方ですし、その「戦争」が意味するものは国際社会では侵略戦争だというのが通説だとすれば、芦田修正が入れられた意味も明確化するからです。

 現状は、政治的配慮から、少し無理な論理立てによって初めて、自衛隊が合憲化されている。芦田修正論を否定すれば、そうなってしまうような気がしないでもありません。

 

●安倍政権の立場と改憲論議

 ただ、安倍政権は明確に芦田修正論を否定しています。

 2014年春に安保法制懇が芦田修正論に立脚した報告書を出した際に、総理自らそう明言し、日本がイラク戦争に参加するようなことは未来永劫にないと、明確に述べています。

 タカ派、右寄りとみられてきた安倍総理が本当にそれでいいのか、私も当時、衆議院議員として内閣委員会で菅官房長官に質しましたが、上述のような答弁に接し、意外と安倍政権はハト派だという印象を強く持ったことを記憶しています。

 今般、安倍総理は、改憲の提案の中で、9条については、同条に第3項を設けるか、9条の2を新たに設けるかは別として、「自衛隊を置く」という規定を新設することを提案しています。そして、都議選後の支持率低下などの逆風の中にあっても、安倍政権は改憲を目指すとの姿勢を変えていません。

 改憲に反対する野党の中には、改憲そのものよりも、安倍政権のもとでの改憲には反対するという声が強く聞こえてきますが、上記のような、国際標準からみれば中道左派?にもみえる安倍総理のスタンスのもとで、単に「自衛隊を置く」という改憲であれば、危険でも何でもないでしょう。

 自衛隊を合憲とする現状の政府解釈の論理を変更せずに「自衛隊を置く」ということは、事実上の現状追認です。一部に、「自衛隊違憲論があるからこそ、自衛隊の拡大が防がれてきた」という議論もありますが、それもいびつな議論だと思います。

 現状追認なら、あえて改憲などする必要はないという議論もありますが、現状では、芦田修正論による解釈の余地もあれば、政府解釈そのものも論理的に曖昧です。やはり、憲法解釈によってのみ合憲化されている現状から脱して、憲法そのものによって自衛隊の合憲性を明確にする必要があるというのは、かねてからの課題だったと思います。

 曖昧だからこそ自衛隊の拡大が防がれてきたというのも、おかしな議論です。

 条文そのものでは自衛隊は違憲になりかねないですが、自衛隊が日本に存在する現状が違憲であり、おかしいという意見は、もはや国民の間でも極めて少数だと思います。自衛隊の存在自体についてはすでに国民的コンセンサスができており、これに反対する人はほとんどいないでしょう。

 ですから、軍事上は従来の専守防衛には何ら変更なく、現状を確定させる効果のみの「自衛隊を置く」規定を危険視するのは、相当、ゆがんだ議論だと思います。

 あえてこうした新規定を置くのは、現状追認ということにとどまらず、いまの局面で考えれば、実体面でも、対外的には少なくとも次の二つの効果はありそうです。

 一つは、日本が今後もある程度、「矛」を米国に頼るなら、自国第一主義に傾きがちな米国に対し、「矛」として機能してもらうために自分たちは「盾」としてしっかりとがんばるとのメッセージになります。

 もう一つは、北朝鮮に対し、日本は自国防衛に明確な意思があることを表明することになります。

 憲法学者の大半が自衛隊は違憲だと言っているような国であっては、ゆるぎない防衛姿勢を示す上でも支障があるでしょう。

 

●政局とメディア報道

 ただ、支持率が低下した安倍政権では改憲は困難になったとの見方も増えています。改憲よりも、新党設立も含め野党の準備が整わないうちに早期に衆院解散を打つべきだという意見もあるようです。

 しかし、それでは、そもそも自民党の結党目的とは何だったのかということにならないでしょうか。保守合同以来60年を経て、その目的を達せられる国会情勢がようやく実現できている状況において、両院の3分の2の合意を形成して改憲の発議をするということもしない自民党であっては、党としての自己否定にもなりかねないと思います。

 それでは、自民党はアイデンティティを失い、政局優先、政権維持のためのポピュリスト政党に堕してしまうのではないでしょうか。

 「憲法は変えられるもの」。そうなることが、真の国家の自立だと思います。改憲については、これが何よりも必要なことです。そのような意識の醸成は、経済成長戦略にも問われることだと思います。国民の自立思考でのチャレンジにつながると思うからです。経済で大事なのも、結局はこのことです。

 かつての不毛なイデオロギー対立で、右翼vsリベラルのもとでしか改憲論を捉えらなかった政治状況、改憲をタブー視する戦時トラウマ、自国のレジームを担う国民を育成できなかった戦後体制、これらからの脱却を果たし、真の主権者と真の主権国家を実現する。

 これは政党を超えた政治全体に問われている課題だと思います。

 今の両院3分の2以上は、神が与えてくれたチャンスだと思います。日本にとって大事なとき、近年の日本の政局のほとんどを演出し、動かしてきたメディアは、改憲を「戦争」などといたずらに煽らず、国民の冷静な判断ができる環境づくりに徹してほしいと思います。

 

松田まなぶのビデオレター、第67回は「政治の最優先課題に、憲法改正と危機管理の問題」

チャンネル桜8月8日放映。

 

 

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