松田まなぶの論点 地方からの経済維新、主な発言内容 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

 先日、ご報告したように、新年の1月17日に大阪市内で、日本維新の会の国会議員と大阪経済界との議論交流の場を設けました。大阪経済界の皆さまから忌憚のないご意見を活発に賜ることができました。そこでどのような議論が交わされたかについて、以下、ご報告します。なお、この交流の場は、日本維新の会国会議員団において松田学が座長を務める「経済維新・規制改革PT」の活動の一環として開催されたものです。
 日時は2014年1月17日14時~16時、場所は大阪マルビル・ランスロットでした。大阪経済界側からのご出席者、日本維新の会の国会議員出席者など、概要については、こちらをご覧ください。


 
 なお、ご出席の経済界の方々のご発言については、今後とも忌憚のないご意見を賜るため、とりあえず、お名前は伏してご紹介しております。

Ⅰ.挨拶と趣旨説明
○谷畑 孝 代議士会長・関西経済研究会 会長

 維新の会は改革を進めるエンジンをつとめてきた。昨年、関西経済研究会を発足させた。東京オリンピックに20兆円が投入される、その中で、関東だけが良くなるのではなく、大阪、名古屋、九州など全国が良くなっていかなければならない。大阪都構想もその一環としてある。今年、大阪都構想は大きな山場を迎えるので、ご支援をお願いしたい。


○松浪健太 国会議員団総務会長代理
 維新の会は歴史を変えるためにあると考えている。アベノミクスは好調であるが、好調がいつまで続くかわからない。アベノミクスが悪くなった場合、維新からカウンターアベノミクスという対案を考えている。


○松田 学 経済維新・規制改革PT座長
(これまでの経緯、趣旨、経済維新R3報告書「異次元の経済へ、維新のとき」の説明)
 昨年の通常国会において、日本維新の会国会議員団の中にプロジェクト・チームとして、「経済維新R3ミーティング(※)」を立ち上げ、有識者を招いて議論を行い、お手元の報告書としてまとめた。
 昨秋の臨時国会で「経済維新・規制改革PT」に衣替えしたプロジェクト・チームにおいて、具体的に政策提言につなげていく活動をしていこうということになり、その一環として、経済の現場の方々がどのようなことをお考えになっているのか、まずは維新発祥の地大阪からご意見をうかがおうというのが今回の趣旨である。
 今日のお話も参考にして、この通常国会では、既得権益にとらわれない我々維新がどういう役割を果たしていくか、また、地方から国を変えていくという維新の立場、それらを「経済維新」という括りで、改革を進めて参りたいと考えている。
※R3=Research(調査), Reform(改革), Restoration(維新)を指す。


Ⅱ.関西経済界から
A氏

 経済維新報告書は、素晴らしいことが書かれている。問題は実現する実行力があるかどうかである。選挙にも通ってもらわなければならない。理想は分かるが、議員自身がマスコミに対して発信して欲しい。大阪都構想の住民投票に危惧を感じている。大阪都構想は維新の会の改革の土台である。
 自民党、民主党にない維新の会の柱は、地方分権である。自民党のいう地方分権は官僚体制に乗っかっており本気とは思えない。地方分権は維新の会の第4の矢としてしっかり位置づけて欲しい。政府は幼保一体を進めると言っているが、地方により事情が異なるのだから幼保の役割決めは地方に任せるべきであって、そこから地方の産業が芽を吹く。大阪都構想は成功してもらわなければ困る。

B氏
 自由貿易化したら日本の産業は潰れると言われ、トヨタも潰れてしまうと言われたが、実際に潰れたのはGMだった。金融自由化についても同様で、日本は金融立国になっている。シェアハウスの会社を経営しており、賃貸契約に連帯保証人が必要であるが、これが必要なのは日本だけである。これは外国人に部屋を貸さない、締め出すためのルールになっている。外国人の何を怖がっているのか。外国人は、日本人は優秀であると言っている。東京五輪までに、外国人を受け入れることを考え、私も「賃貸維新の会」ならぬ「スマート賃貸」を立ち上げて対応している。



C氏
 私は、ジェネリック薬の会社を経営しており、また、女医や保育士が産後も働けるように、また、子どもが病気をしても親が休まなくても良いように、保育園を支える保育所というコンセプトで、保育事業を行っている(病児保育)。医療特区で、医療と保育の接続をしたい。認可保育園がやってはいけないことなので、今は補助金は出ない。東京オリンピックまでに、外国人にやさしい保育所を作るべきだと考えている。

D氏
 子どもは国の宝であるのに、認可保育園では子供は預けっぱなしになっている。子どもたちに本物の雪を見せてあげたいと考えバスで連れて行ったが、「他の保育園でやっていないことをやってはいけない(他の園に迷惑がかかる)」と区からクレームがついた。また、(子供によって持っている色の本数が違うため)クレヨンや色鉛筆も自由に使えないので絵を描かせることもできず、いろいろ制限が多い(工夫をして特色を出したいのに、やってはいけない)。いろいろな良いことを考えているが、できないことが多い。
 大阪都構想は、大阪の経済に関わるもの。お金はどう回せばよいかを、現場を歩いてよく見て欲しい。



E氏
 高校の校長は2年で交代している。1年目で高校の内情を把握したとして、残り1年では対策も改善もできない。任期が2年では教育は変わらない。校長の公募もよいが、任期を長くした方がよいと思う。
 松田学氏の報告を読んたが、良いことばかりが書かれている。都会への集中と地域振興という、相反することが書かれている。ある人がリニアで、大阪が東京から1時間圏内になると喜んでいたが、そうなれば更に東京に一極集中する。地方はどう生きていくのか。高知県は、何もないし、津波も来るのに備えもできない。地方の衰退について真剣に考えて欲しい。

F氏
 アベノミクスによる株価の上昇ということであるが、大阪では「えっ?」という感じで、実感はない。大阪の職人は暇である。橋梁を塗装すれば傷み具合は良くわかる。職人は、細かいことに気づくし、気づく役目もある。
 今、大阪の職人は大勢関東に行っている。東京は水揚げがあるが、物価も高い。だから、本当は大阪で働きたいが、大阪には仕事がない。バブル期、職人は670万人いたが、今は500万人くらいに減少した。職人は稼げば使うのでお金を回す主体になる。阪神淡路大震災で活躍した職人たちも、今、縦のつながりがなくバラバラになった。横のつながりもなくなりつつある。
 職人たちにも目を向けて欲しい。職人を育て、人間関係を良好にする感性も大事にして、仕事も起こしていって欲しい。必要な公共事業もあるので、ぜひ関西に地方交付税を持ってきて、仕事を作って欲しい。大阪が元気になれば、関東へ行った職人たちも大阪へ戻ってくる。

G氏
 大阪府と市は本当に仲が悪かった。それを直した維新はすごいと思い、それで初めて党員になった。
 今は風向きを変える時である。泉北高速鉄道の民営化の件(県議の離反)は、応援しているものにとっては情けない結果となった。府と市の二重行政は無駄がたくさんあるだけでなく、失敗した事業も多い。「行政こそ商売せよ」という感覚が維新の会にある。維新は一致団結してほしい。また、マスコミをうまく使ったほうがよい。マスコミに仲間を作った方がいい。分かりやすく説明しなければ一般庶民には分からない。大阪都構想以外に、もう一つ大きなキャッチフレーズがあれば良いと思う。



H氏
 危機管理の会社を経営している。融資がダメになる資金繰り倒産も多いが、先鋭的な労働組合の揺さぶりで潰れる企業は今でもあり、企業防衛を仕事としている。倒産すると経営者は個人補償やら担保やらで取られてしまい、身一つになる。そのため再チャレンジすることができない。弁護士は何もしてくれず、裁判所も何もしないので、私たちが再立ち上げできるように支援をする。
 病院経営が傾いた場合、人は逃げ、食い物にしようとする人は近づいてくる。食い物にされる病院から乗っ取り屋を排除するのも仕事である。そのとき、病院のドクターの「バカさ加減」(経営能力のなさ、事態把握力のなさなど)が邪魔になる。医療法人の経営は医師に委ねず、医療現場と経営は分けるべきである。医学部教育の変革も必要である。
 維新の会は維新の名にふさわしい行動をとって頂けるか。維新の名の通り、戦後日本をひっくり返すのなら応援する。無党派層は雇われ人根性、プロ意識を持たず言われたことをやるだけ。そんな無党派層をどう引っ張っていくか。スタープレイヤーに頼らずに、明治維新のように若い世代を中心にして維新を進めて欲しい。



I氏
 大阪維新の会は「One Osaka!」で説明がしやすかった。日本維新の会になって分かりにくくなった。報告書には、水産業が書かれていない。水産業には漁業権など複雑な問題がある。この先の期待としたい。
 主張する政策を実現するには、強くならなければならない。維新の会は大阪における圧倒的な強さが底辺にあった。大阪都構想は今のうちにやらないと、この機を逃しては実現は難しい。

J氏
 日本のコメの関税は778%だが、TPPで関税を撤廃しても日本のコメは負けない。現在、国内のコメ生産が800万トン、国内消費は700万トン。減反政策をやめれば生産は1200万トンになる。アジアには多少高くてもおいしいコメを食べたいという大きい需要がある。海外に販売でき、農業は活性化する。
 堂島米会所は先物取引を世界で最初に始めたことが世界的に知られている。現物取引は東京、先物取引は大阪という役割で整理されている。デリバティブのベースが大阪にある。大阪が元気だった時の方が、日本全体が元気だった。
 相場感覚でいえば、落ち込んだ後、上がる。秋口までに頑張って欲しい。維新が今落ち込んでいる分、倍は上がれ、と思っている。「One Osaka!」で大阪市民が気概を持てるように。



K氏
 歯科医師会は患者のためにあるのではなく、仲間内の利益を守るための組織となっていて、大義がない。権益に対する執着がすごい。医師はお客様のためにあるべきである。
 維新の会も、歯科医師会同様、玉石混交。橋下代表のブレーンは8割方理解していても、一般庶民は1割も理解していない。もっと広報に地道に力を入れるべき。
 橋下代表が、維新の会を進めるにあたり、それまでの茶髪とサングラススタイルを黒髪に変えたけじめは良い。
 農業委員会にも所属した。人が食べる作物を作って初めて農民である。自分が食べるだけの作物を作る人は、家庭菜園と同じであり、農地には宅地並み課税をすべきである。農民から農地を剥がさないといけないと主張したが、受け入れられなかった。農地集約化のための第二の農地改革が必要である。こういうことは票をあてにしている議員は言えない。維新の会はしがらみのない無党派層を対象にしているのであれば、もっとはっきりとした主義主張を行った方がよい。
 移民問題の賛否についても、まず移民の定義が明らかになっていないので、はっきり定義して欲しい。移民を受け入れれば、将来移民は子どもを産んで増えていくことが考慮されていない。日本人の出生率が1のところで、移民が子どもを2~3人産んだら、それで済むわけがない。
 医療人を海外に展開しようとしたが、海外に出ることを相談するための窓口がわからない。また、進んだ日本の医師免許が海外に通用するようにしてほしい。通訳を付ければ日本人医師も海外で医療活動をできるはずである。



○L氏
 規制緩和については、大きい規制緩和は提案され、それなりの対応が取られているが、それに乗らない小さい規制が障害となっているケースは多い。政令省令は細かいところに目が届かないので、ささいな点、ささいな行政指導で問題になる。小さな規制を細かく拾い上げていくことが大切である。
 日本の良い仕組みを諸外国に出していくことが大事である。焼却炉は途上国にはなく、困っている国もあり、それを入れるだけで利便性が大きく改善する。省エネルギー法があるが、エアコンのトップランナー方式というものがあり、ある程度以上の省エネを行うと省エネラベルが張れるようになるという仕組みもある。日本で成果が上がっているしくみは諸外国に出せばよい。仕組みごとタイに出す話もある。こういうことに力を入れるべきだと思う。

Ⅲ.その後の意見交換
松田座長
:都市集中と地方の振興について、本報告書に関してのご指摘をいただいたが、集積を競い合うのが今のグローバル経済では避けられない潮流。だからこそ、一定の広域経済圏を地方に創り、その中心に集積を生んでいく必要。これに取り組んでおかないと、それこそリニアが整備されれば東京だけに一極集中ということになってしまう。中心都市とそれ以外の地との間で発生する格差の問題は、州というメカニズムの中で機能的に解決していく。


足立議員:「One Osaka!」は分かりやすかったが、日本維新の会になって分かりにくくなったということだが、国政政党になり、東京と大阪の二極化では困るので多極になっている。行政の三層構造における権限と責任の整理を主張してきている。こういう主張をうまい言葉で表現できないため分かりにくくなっている。
 医療、介護、保育、福祉についての規制緩和の要望をいただいたが、この分野は厚労省、文科省などに跨り、霞が関の省庁でも混乱している。その中で細かい規制で隘路ができてしまっている。私は国会で質問をしたが、医療には会計基準もない。国会では多数派ではないがしっかり議論を進めていきたい。

松浪議員:維新はパラダイムを転換する。政令省令を変えるのは細かい駆け引きになるので、その方向を前提にしては進まない。道州制を導入して変えるしかない。道州制は単なる地方分権だけではなく、二元外交ができる外交論としても考えるべきと考える。地方分権の立場から憲法を議論する時期に来ている。幼保の役割の違い、建築基準も道州で決める事柄である。道州制でメディアも変わる。今、マスコミの政治部は東京にしかないが、道州になれば、道州の首都にも置かれる。道州制は規制をひっくり返す維新としての枠組みである。経済界の皆さんと大阪都構想をもう一回議論する場を持ちたい。



A氏
 維新の理想はわかるが、今直面している大阪都構想をどうするのかが問題。泉北鉄道問題での離反など報道側の誤解も甚だしいので、議員の方からマスコミに良く説明して欲しい。理想を語るのは誰でもできる。議会で負けてはいけない。大阪都構想で大阪の三層構造を整理する理解である。大阪都構想に失敗すれば、これから先、同様の地方分権を進めることができなくなってしまう。

浦野議員:「One Osaka!」の国民投票は、結局は大阪市内限定のこと。大阪市内でもっと盛り上がってほしい。「One Osaka!」に反対しているのは、国会で多数を持つ自民党で、感情的な反発が強い。今日の皆さんの要望も自民党に言って、働きかけて欲しい。もともと大阪都構想も自民党県連が長く掲げてきた政策であって、先輩たちがやらないなら我々がやろうといって進めた。大阪都構想は実現しなければ私たちは終わりである覚悟で進めている。



阪口議員:我々は野党であり、私は政策調査会の中で野党の立場から何ができるかを考えながら進めてきた。賃貸の連帯保証人の話もあったが、中小企業が金を借りる際の第三者保証をなくす法案をみんなの党とともに議員立法しようとしたが成立しなかった。その反省を元に、外国人の土地所有を規制する土地規制法案は、自民党の賛成派を巻き込んで進めている。野党がやれることとして結果を出していきたい。

木下議員:本日、維新の会の幹部が来なかったのは大阪都構想の法定協議会と重なったためである。大阪都構想は今、山場を迎えている。ご支援をいただきたい。中小企業への資金支援は、出し過ぎると潰れるべき企業も生き残ってしまう。労働流動性の面で適切ではない場合もある。こういうことについて、ご意見をお聞かせください。(個別にでも)



B氏
 大阪都構想は「独立させてくれ!」という勢いで進めればどうか。日本国に「みかじめ料」を納めるくらいの立場で考えてはどうか。

松田座長:今日いただいたご意見、たいへん貴重なご意見がたくさんあった。アベノミクスでは持続的な成長にならないというのが我々の立場。それを本当にやるには地に足の着いた地方の成長戦略が必要。それぞれの地域の特性に根差した成長戦略があるはず。そこのところを考えるのがこれからの成長戦略であり、維新の会の役割であるということで、維新発祥の地の大阪で今回の試みをさせて頂いた。
 できればこれからもこういう機会、次はもう少したくさんの人を呼んでやることも考えているので、引き続きご指導ご協力頂きますよう、よろしくお願い申し上げます。