松田まなぶの論点 インフラ整備の基本的考え方の部分 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

2013年11月1日・国土交通委員会・対太田大臣一般質疑

◎公共投資は景気対策の手段にしてはならない。
 アベノミクスで日銀が国債を大量購入しているが、それは「ブタ積み」とも呼ばれる。大事なのは、日銀のバランスシートが拡大することではなく、日銀に積んだおカネが経済に回ること。そのための仕組みの構築が最重要。それは既得権益と衝突。
 しかし、現実をみると、地方経済は厳しい。公共事業減は90年代のピーク時の半分にまでなっており、減らし過ぎなのは事実。
 また、仕組みの改革による成長戦略は速効的ではない。それまでの間は、政府が需要不足を補完して需給ギャップが再び拡大しない政策が必要。
 そこで、アベノミクスは政府による最終需要の拡大が一つの要素となっている。
 しかし、それは麻薬のようなもの。公共投資を前年比で増大させ続けないと、経済成長にマイナスの寄与をしてしまう。第2の矢は、民需拡大へのバトンタッチまでの時限的政策ゆえに正当化されるもの。
 もし、政府投資を持続可能な政策ツールにするなら、総需要対策というよりも、真に必要なインフラニーズに応えるべく、段階的、計画的に増やし、しかも中身を将来の日本の生産性増大に寄与すべく戦略的なものにする必要。
 生産性の高い資産をバランスシートに形成していってこそ、次世代と負担を分かち合う建設公債がそのファイナンスとして正当化される。日本維新の会は、そのような戦略的な政府投資を可能にするためにこそ、公会計改革を提唱していると私自身は理解。
 そのためには、政府投資で形成される資産が将来世代にわたって生産性の高いものになるよう、どのような戦略的視点で国土形成をしようとしているのか、大臣の基本的な考え方を確認する必要がある。

◎21世紀における日本の国土形成の設計思想を問う。
・潮流1:右肩上がりとナショナルミニマム達成のフェーズでは多極分散型国土形成→ナショナルミニマム達成後は受益と負担の関係での地方の選択。デコボコが生じるのはやむを得ない。

・潮流2:人口が右肩下がりに転換した人口減少・超高齢化社会では、都市の外延的拡大を反転させなければ持続可能性は確保されず。外延部の人口一人当たりのソーシャルコストは負担しきれなくなる。戦略的撤退と都市中心部への集中。所与の人口分布を前提にしたインフラ整備ではなく、モビリティー(移動性)を高めるインセンティブの構築が必要。

・潮流3:グローバリゼーションのもとで、世界経済は経済活動を呼び込む集積を中心とした発展の時代に。広域経済圏の中核都市に集積を生み出し、都市を成長の核とした成長パターンを追求する時代。それを制度で表したものが道州制。

(問) 日本のインフラ整備を取り巻く中長期的な潮流として、人口減少・高齢化(→都市への戦略的撤退と集中が必要)、グローバル競争(→集積を中心とした経済成長)などが挙げられるが、それらを踏まえ、国土形成の基本的設計思想をどのように描いているか、大臣の所見を問う。

(問) 交通政策基本法案が策定されているが、将来の道州制を想定するかどうかによって国土形成の基本設計は大きく異なってくるのではないか。交通政策の基本理念の中に道州制は反映されることになるのか。

◎民間資金の活用
 そもそも純粋公共財に民間資金を入れるのは困難。PFIは主として準公共財の世界と考えられる。
 公共財のうち、収益性のある部分を切り出して民間資金を導入するだけでなく、収益性のある部分をより多く切り出し、他との合わせ技でそれらを組み合わせることで収益性を全体として高めることが重要。近年ではコンセッション方式(経営権の譲渡)が注目され、仙台の空港整備などで期待されている。
 先般、内閣委員会でPFI法案が成立。
 その際の、松田学による反対討論では、次を申し上げた。(反対討論の詳細については、こちら↓をご覧ください。)
http://ameblo.jp/matsuda-manabu/entry-11537575941.html
「我々、日本維新の会は、民間活力を最大限活かす方向で真の意味でのPFI事業を構築する環境を整えることは、党是にも即した政策であると考えます。その意味で、本法律案は、PFI事業の形態を独立採算型のPFI事業に移行させるものであることから、その方向性は、我が党としても、同じくするところであります。
 公共的事業のうち、民間が独立採算で請け負うことができてこそ、「官に依存しない民」の活動領域が広がるのであり、それを促進しようとすること自体は、日本維新の会も大賛成なのですが、問題は、今年度だけでも国が100億円の直接的な財政負担をして「官民ファンド」を設立してまで、あえて「機構」という組織を設ける必要があるのかという点にあります。」

 独立採算型のPFIが進まない理由は、ほかにたくさんある。ファンドによる資金支援の前に、まずは、その対策をきちんと講じるべきだと考え、維新の会は本法案に反対した。その際の反対討論で指摘したのは次の点だった。

①官の事業の財務情報が民の投資判断が十分にできるまでにきちんと開示されているか、
②すでに制度としては可能となっているコンセッション方式(施設の運営権を民間に譲渡)を民間企業が使い勝手の良いものにするためのガイドラインの作成などが進んでいるのか、
③事業の企画段階から官と民がパートナーシップを組んで役割分担をしながら協働するPPP(官民連携:public private partnershipパブリック・プライベート・パートナーシップ)をもっと進めるべきではないのか、

(問) 独立採算型のPFIを促進する上で、今般の官民ファンドの設立による資金支援の前に、①官の事業の財務情報の開示、②コンセッション方式についての使い勝手との良いガイドラインの整備、③PPPの推進こそが重要ではないか。大臣の所見如何。

 例えば、仙台空港などについても、民間事業者が投資判断できるようなスキームを構築する上で、官と民がすり合わせるプロセスが必要とされるが、国の側にはそれに応じる十分な体制がなく、まさに新設された「株式会社民間資金等活用事業推進機構」こそがそのような役割を担うべきだが、それだけの人員体制はないと、同機構の某委員から聞いた。むしろ、おカネを出すことに主眼を置いた組織になっているという指摘である。

(問) 新設された民間資金等活用事業推進機構は、官(国土交通省)と民間事業者との間に立って民の投資判断ができるスキームを組み立てる役割を担うべきだと考えるが、そのための体制は十分に整備されていると考えているか。