松田まなぶの論点 間違いだらけの消費増税反対論③ | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

<その3> 人気取り政治から「真実を語る政治」へ

3.人気取り政治から「真実を語る政治」へ

 私は日本維新の会が巻き起こした改革の本質の一つは、これまでの「選挙の票が最優先」の人気取り政治から、国民とともに真摯に課題に向き合う新しいスタイルの政治へと、日本の政治のあり方を大変革しようとするところにあると思っています。
 今回の参院選では、橋下代表の発言で維新に「逆風」が吹いたと言われています。しかし、それはメディアのつまみ食い報道による誤解が招いた部分が大きく、たとえ表現の仕方やタイミングなどに問題があったとしても、言わんとしていること自体は正しいとおっしゃる方々が増えているのも事実です。特に、沖縄の女性の人権を守ることが趣旨の一つだったのにも関わらず、女性の人権を踏みにじる発言だと逆に受け止められたのは不幸なことでした。
 この発言内容の是非はともかくとして、結果として何が起こったかというと、多くの国民が、これまでタブーとして意識していなかった、日本あるいは世界の多くの国が共通して抱える問題や課題の所在に思いを馳せたということです。
 問題から逃げない、課題に正面から向き合う、日本の政治は長年、選挙で票を失うことを恐れ、党利党略を優先して、このことを怠ってきました。その象徴が、長年にわたる消費増税の先送りでした。
 つい数年前まで、消費増税は選挙の上でタブーでした。私は3年前の参院選でも立候補しましたが、当時、神奈川選挙区で消費増税に明確に賛成と言っていた候補者は私だけでした。その後、2年半を経て、先の総選挙で橋下代表が応援演説でいちばん長い時間をかけて訴えていたのは、もう20年も前からわかっていたこんにちの事態に対して政治が何もしてこなかった、苦しいかもしれないが、皆で課題に向き合って乗り越えようというメッセージでした。それに真剣に耳を傾けている有権者の姿がそこにはありました。
 1975年に赤字国債の本格発行に踏み切った時の大蔵大臣の故・大平正芳元総理は、そのことを大変悔み、せめて、今の世代で償還しようと考えていたそうです。しかし、前回述べたように、赤字国債もいつの間にか、建設国債と同じ60年償還ルールに組み入れられ、将来世代への飛ばしが常態化しました。年々の償還負担は極めて少なくなりますから、赤字国債の痛みが少ないまま、社会の高齢化に伴って発行残高はどんどん増えてきました。
 これから2年あまりの短い間に5%の引上げをしなければならないのも、そのツケの一部が回ったものです。消費増税をもっと早いタイミングで国民に説得しなかったかつての自民党政権にも責任があります。そして、ムダの削減で「ばらまき4K」を賄えると公約した民主党政権が、事業仕訳の失態を演じ、ムダの削減は答にならないことを国民に示し、消費増税を決定したことで、国民は「政治のウソには、もう騙されない」という意識になったことが、日本維新の会が総選挙で躍進したことの一つの背景にあったように思います。
 「決められる政治」とは、「たとえ耳に痛いことでも批判を恐れずに真実を国民に語り、課題を国民と共有し、答をともに出していく政治」であり、ときには波乱を起こしても、メッセージを出しながら国民的議論を喚起していく新しいスタイルの政治を始めようとしているのが日本維新の会だと思います。
 この点が、一見、耳ざわりの良い、わかりやすくかっこいいメッセージで人気を博そうとする他党との決定的な違いだと思います。
 これだけ「課題に向き合えない政治」が続いてきた中で、今回、消費増税を国民の理解のもとに実現できたら、日本の民主主義は新しいステージに入ることになると思います。日本の国民は賢い選択をするはずです。このように国民を決して愚民視せずに信頼する政治こそが、真に国民の立場に立った政治なのだと思います。

(続く)