松田まなぶの論点 日本の論点を質す | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

日本の論点を質す 衆院内閣委員会一般質疑・質問内容
2013年5月31日 衆議院議員 松田学

1.明治の日
 すでに内閣委員会で菅官房長官に日本維新の会から遠藤敬、中丸ひろむ両議員が質問。
 菅長官には温かいご答弁をいただき、感謝。
 その際、まずは議員の間で議論の盛り上がりを、と答弁された。
 ⇒さる5月17日「明治の日推進協議会運営委員会・実行委員会」が開催され、超党派の議員連盟を結成しようということに。
 11月3日「文化の日」は明治天皇のお誕生日。かつての「明治節」。
 4月29日は昭和天皇のお誕生日。みどりの日が「昭和の日」になったのは、平成17年の祝日法改正による。
 「明治の日」を制定することで、国を思い、自国の歴史に目を向ける国民意識が涵養。
  
2.沖縄
 歴史といえば日本人、特に若い世代は自国の歴史を知らない。これは世界的にも稀有。
 自国の歴史を誇りをもって語れねば、グローバル社会では生きていけない。
 これから人口減少でグローバル経済を繁栄基盤とするしか生きる道のない日本人にとって必要な「意識改革」は、自国を語れる人間になること。
 その日本の中でも沖縄は特別な歴史。沖縄以外の日本人が沖縄の歴史と独自の住民感情を理解しなければ、基地問題解決の答えはみつからない。
 長い差別の歴史に加え、先の大戦では沖縄戦は住民の犠牲者数でも世界の戦史に残る悲惨なもの。
 日本維新の会の国会議員団には、私が座長を務める「沖縄PT」がある。沖縄が自立した地域として発展していくよう、沖縄の人々とともに沖縄の未来を考える。まずは沖縄を学ばせていただく 
 「アメラジアン」(アジアに派遣された米国の軍人などとアジア人女性との間の子を指す語)という言葉も多くの日本人は知らない。
 一部の兵士の行為により沖縄の女性の人権が傷つけられ日米同盟も傷つけられる事態は、絶対にあってはならない。
 こうした不幸な事態を起こさないよう、政権としてはどのような姿勢で臨んでいくのか。どうも全体として、日本政府も日本国民も、沖縄で起こっている事態に対する理解が不十分なのではないか。

(問1)沖縄の基地問題の背景の一つには、日本政府が沖縄住民の感情を十分に共有していないとの不信感があると指摘されているが、日米同盟を強化していくためには、例えば米軍の一部兵士による暴行の問題に対しても、より住民の立場に立った対応を考える必要があるのではないか。⇒菅・官房長官

3.日本版NSC(国家安全保障会議)
 政府はNSCの概要を決め、「補佐する事務局として内閣官房に国家安全保障局を設置、数十人で構成、関係省庁は資料情報を適時適切に提供しなければならない旨も法定する。」とされているが、内閣官房に各省から人を集めただけではNSCは機能しない。
 私自身も霞が関では何度も内閣官房に出向したが、結局は実働部隊、実行組織を持つ所管省庁がウラで調整し、内閣官房はそれをオーソライズしているだけという事態も多々見られた。
 例えば諜報活動の実働部隊を持つなど、独自の情報源や内外とのパイプを持たないと機能しないのではないか。 

(問2)日本版NSCが実際に機能するためには、省庁横断的な戦略策定機能のほかに、情報収集分析などの実働部隊が不可欠と考えられるが、内閣官房に設置するとされる「国家安全保障局」をどのように組み立てようとしているのか。⇒菅・官房長官

4.公務員改革法案
 強い国家のためには「機能する政府」が必要。NSC一つとってみても人員増が必要。米国ではNSCの職員は200名もいる。
 日本では30年以上前の一般消費税失敗のあとから「増税なき財政再建」。それがこんにちまで続いてきた。日本は、「先進国でいちばんおカネがない政府」であり、「小さな政府」であることをデータが裏付けている。
 量的な行革よりも、限られた人員を効果的に活用するための行革が必要な局面になっている。その面で、公務員制度改革が重要。行革は、政府の質的機能を強化する面から行われなければならないもの。
 福田政権の頃から「公務員制度改革法」は何度もとん挫。麻生政権、鳩山政権、菅政権でも、法案は成立せず。
 政府は、各省庁の幹部人事を一元管理する「内閣人事局」を来春設置すべく秋の臨時国会に法案提出するということだが、他方で忘れてはならないのが各分野でのプロフェッショナル人材の育成(ゼネラリストでもスペシャリストでもない)。
 米国型リボルビングドア、人材流動システムが社会全体でできていない日本では、分野別に省庁縦割りで若いときに人材を確保し、終身雇用を前提に育成するしかなかった。
 内閣での幹部人事一元化は、官僚が専ら時の政権にのみ顔を向け、皆が「俺が俺が」をやる弊害をもたらすことにもなりかねないもの。米国でも、耳に痛い情報が政権中枢に入りにくくなるという、ポリティカルアポインティーシステムのデメリットが指摘されている。
 およそ公務員制度を考えるに当たっては、①終身雇用の職業官僚制か、②官民各界とも共通の尺度で人材を評価できることを前提とした人材流動型システムか、いずれの設計思想を採るかという議論が最初に必要である。もし、②で行くなら、官僚システムだけでなく、日本の雇用システム、社会全体の在り方とも関わる問題になる。

(問3)幹部公務員の人事を一元管理する内閣人事局を含む公務員制度改革の基本的な設計思想如何。その前提として目指している理想は人材がより流動化した社会と、ポリティカルアポインティー型の官僚システムなのか。⇒稲田大臣

5.経済成長と財政
 成熟経済ではGDPだけが経済の「強さ」や幸福を表す指標ではないのは確か。
 ランニングマシンの議論がある。後ろへと引っ張られる力に対抗して前へと走り続けなければ、現在の位置を維持できないのが日本の状態。豊かな国の経済成長はハードルが高い。生活のゆとりや環境への配慮(中国はしなくてよい)、安全性への配慮(日本はとてつもなく高い)、倫理道徳への配慮など。超高齢化の費用も、将来世代への先送りではなく、今の世代で負担しなければならなくなってきた。
 しかし、中期財政計画で2010年に比べて、2010年代半ばにPB(プライマリーバランス)赤字半減、2010年代終わりにはPB黒字とするためには、日本は最低限、相当な経済成長が必要。成長率アップなくしてつじつまは合わない。
 成長を打ち消す力が高まる中で成長率を上げるためには、相当な経済力強化がなければ無理。
 しかし、民間投資を促進して成長率アップすることは、財政との関係では矛盾を内包。
 企業の設備投資の伸び悩み⇒民間部門に余剰資金⇒銀行を通じて国債に⇒低金利⇒財政が回っている…財政審の報告書「奇妙な安定」。
 アベノミクスも狙っている名目GDP成長率の上昇は、確実に金利の上昇をもたらす。金利が上昇すれば、国債の利払い費が増加するが、これに税収増が追いつかず、当面は財政が悪化する。
 10%への税率引き上げに加えて、さらなる消費増税をしてPBバランスを達成したところで、国債発行残高の対GDPの低下は、名目成長率が名目長期金利よりも高い状態のもとでしか起こらない。
 過去30年の推移をみると、この状態が実現できるのは、名目成長率が4%以上の場合である。持続的に4%成長を実現するのは、大変なことである。
 楽観シナリオとして多くの場合に想定されているものでも、名目成長率は3%程度。その内訳は、実質成長率が2%、デフレーター上昇率が1%、消費者物価上昇率は通常、デフレーター上昇率よりも1%程度高いので、これは日銀の物価目標2%とも整合的、といった姿だろう。
 しかし、実質成長率2%というのも、労働力人口の伸び率がマイナス(▲1.0%程度)であり続ける中では、一人当たり労働生産性上昇率について、相当非現実的な想定(3%程度、現状1.5%の倍増)を置かなければ無理。

(問4)財政再建と経済成長が両立する道筋として、労働生産性上昇率、実質経済成長率、名目経済成長率につき、それぞれどの程度の水準を想定し、その実現を担保するロードマップをどのように描いているのか。現状での政府の見方を問う。⇒甘利大臣

(問5)アベノミクスによる公共投資で本年のGDP成長率が高まるが、これを臨時異例の措置とすれば、来年度はそれが成長率低下要因になる。経済運営で重要なのは、これに消費増税も重なる来春以降の経済をどうするかであり、この時期に向けて安倍政権としてどのようなポリシーミックスを描いているのか。→時間不足で質問できず。

 アベノミクスはおカネを積んだだけ。これが民間に行き渡るためには、おカネの行き先を創ることが必要。そのためには、社会の仕組みそのものを変革することが必要。社会システムの再設計が、結果として成長につながる。
 しかし、既得権益や業界団体の票をあてにする政治には無理。
 統治機構の改革も必要になる。
 これから日本維新の会がさまざまな提案をしていくことになる。