PFI法案に対する反対討論(抄) 2013年5月17日 衆議院内閣委員会にて
日本維新の会、松田学です。
私は、日本維新の会を代表して、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案」に対して、反対の立場から討論を行うものであります。
我々、日本維新の会は、民間活力を最大限活かす方向で真の意味でのPFI事業を構築する環境を整えることは、党是にも即した政策であると考えます。その意味で、本法律案は、PFI事業の形態を独立採算型のPFI事業に移行させるものであることから、その方向性は、我が党としても、同じくするところであります。
しかしながら、本法律案の問題点は、その手段にあります。すなわち、本法律案は、その方策として、政府が、直接的な財政負担として今年度予算だけでも100億円の出資をすることによって、株式会社民間資金等活用事業推進機構という官民ファンドを創設し、それを「呼び水」として独立採算型事業に対して出融資を行う民間インフラファンドの創設を促すことを目的としておりますが、これは、民間インフラファンドの創設を促す方策として果たして適切なものかどうか、あえて官の負担によってこうした組織を設立しなければ、所期の政策目的を達成することができないものなのか、おおいに疑問とするものであります。むしろ、PFIに名を借りて、民間の自立を阻害するものではないでしょうか。
このような趣旨から、我が党が今国会に提案した今年度予算の修正案においても、本機構に対する出資100億円は削除する形で提案したところであります。
独立採算事業によってPFIを推進するうえで、本機構のような組織の設立によらずとも、やるべきことは多々あるものと考えます。
例えば、PFIを活用している諸外国の一部では、インフラ事業専門の投資会社に対する法人課税の免除、PFI事業者に対する収入補てん、個人投資家に対するファンドからの配当についての課税免除といったインセンティブの付与を行っており、こうした国を挙げた民間インフラファンドの創設・育成施策により、民間インフラファンドの成長を実現しております。
また、本法律案は、PFI事業者等への資金的支援を中心とするものでありますが、独立採算型事業が拡大しない要因は、そもそも民間事業者にとって魅力ある案件がないからではないでしょうか。
公共的事業に対して民間が投資できるような財務情報の開示が十分かどうか、すでに平成23年に法的には可能となっているコンセッション方式について民にとって使い勝手のよいガイドラインが整備されているかどうか、また、PPP(官民連携パートナーシップ)の推進など、検討を進めるべき施策は多々あるものと考えます。
いずれにしても、民間施設も含めた公共施設等の整備など、民間事業者にとって、自由度のある、魅力的かつ採算性がある仕組みを整備することが何よりも重要だと考えます。
なお、本法案の成立を待っているとされる空港などのいくつかの重要事業についていえば、我が党も推進する立場ではありますが、そのために本機構の設立が本当に不可欠かどうか疑問があります。
以上、繰り返しになりますが、我が党として真のPFIを推進していくことには賛成の立場ではありますが、独立採算型事業が拡大しない根本的な要因に十分な対策を講じず、単に官民ファンドを創設する本法律案には反対であることを述べて、日本維新の会を代表しての討論といたします。