本論文は、遠隔診療における米国生殖医学会(ASRM)の見解を示しています。
Fertil Steril 2024; 121: 434(ASRM)doi: 10.1016/j.fertnstert.2023.12.005
要約:遠隔診療における見解
1 電話による遠隔診療はアクセスしやすさがメリットですが、直接の診察ができないため医療の質が低下する可能性があります。
2 テレビ電話による遠隔診療は、回線速度や使用する機器の性能により格差が生じる可能性があります。
3 遠隔診療においても、医師〜患者間の倫理的義務は変わりません。
4 可能な限り、対面での診療に等しい遠隔診療環境を整備すべきです。
5 個人情報や診療内容が外部に漏れないような遠隔診療のインフラや機器を整備すべきです。
解説:新型コロナウイルスの時代になり、テレワークや遠隔診療などが広まってきました。遠隔診療は治療へのアクセスを増やし、治療コストを削減する可能性がありますが、デメリットや改善すべき点も多々あります。例えば、低所得者は、満足のいくインフラや使用機器が準備できないため、医療の質の低下や情報漏洩などのリスクがあり、ひいては遠隔診療に対する意欲の低下が起こり得ます。また、地域ごとに法規制が異なるため、それぞれの専門家に相談する必要があります。