母体BMIと生まれたお子さんのBMIおよび知能の関係 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

本論文は、母体BMIと生まれたお子さんのBMIおよび知能の関係を調査した研究です。

 

Fertil Steril 2019; 112: 1094(中国)doi: 10.1016/j.fertnstert.2019.08.054

要約:2002〜2012年に自己卵による採卵・移植を行い、母体BMIと生まれたお子さんの生後3〜6歳までの知能とBMIを追跡調査しました。BMI 24未満の女性と比べBMI 28以上の女性からは、BMI 28以上のお子さんが有意に高率に誕生しました(5.1% vs. 20.0%)。同様に、BMI 24未満の女性と比べBMI 24〜28の女性からは、BMI 24〜28のお子さんも(8.2% vs. 13.6%)BMI 28以上のお子さんも(5.1% vs. 10.1%)有意に高率に誕生しました。母体のBMIはお子さんのIQと有意な負の相関を示しました。BMI 24未満の女性と比べBMI 28以上の女性からは、言語性IQ<80のお子さんも(8.5% vs. 16.9%)、全体のIQ<80のお子さんも(3.9% vs. 10.8%)有意に多く誕生しました。

 

解説:BMIが高くなると妊娠率が低下することが知られていますが、お子さんの状態についての検討はあまりなされていません。本論文は、母体BMIと生まれたお子さんのBMIおよび知能の関係を調査した研究であり、母体BMIが高いと生まれたお子さんのBMIが高くなり、知能が低下することを示しています。

 

なお、中国ではBMIの区分を欧州とは異なる線引きを用いています。

痩せ:  <18.5

正常体重:18.5〜24.0

過体重: 24.0〜28.0

肥満:  28.0=<

日本人も同様な線引きが必要だと思います。

 

下記の記事を参照してください。

2019.12.28「減量後の妊娠成績:2年間追跡調査

2019.9.4「太ると卵子が悪くなる理由

2019.6.10「☆不妊原因と子供の健康について その2:夫婦の体重

2019.3.3「肥満の方の採卵時合併症は?

2018.11.26「☆アジア人の肥満と妊娠までの期間

2018.10.4「☆体外受精を行うなら、肥満女性は痩せる必要はない?

2017.11.26「BMIは凍結融解胚移植の妊娠率に影響するか?

2017.9.13「肥満女性におけるライフスタイル改善の効果 その4:メタアナリシス」メタアナリシス

2017.7.26「肥満女性におけるライフスタイル改善の効果 その3:費用対効果」前方視的検討

2016.12.26「妊娠前のBMIが妊娠率や妊娠予後に及ぼす影響

2016.12.17「肥満女性におけるライフスタイル改善の効果 その2」前方視的検討

2016.12.14「☆肥満女性におけるライフスタイル改善の効果 その1」前方視的検討

2016.10.27「短期集中型の減量作戦の効果

2016.6.9「肥満と子宮内膜機能低下の関係

2016.4.10「太ると妊娠率が低下します

2015.11.20「☆肥満と不妊:米国生殖医学会の公式見解

2015.9.7「両親の肥満が胚へ及ぼす影響

2015.1.25「太った方の卵子は代謝異常で小さい」

2014.12.24「太ると精子が悪くなる

2014.1.3「☆太ると着床率も低下する?
2013.11.21「☆痩せると卵子の質が良くなる!?」

2013.7.9「☆減量手術をするとホルモン値が改善します
2013.6.28「太るとAMHが低下する?」
2013.6.7「ARTの妊娠率に与える男女のBMIの影響」

2013.2.2「BMIが高いと精子の状態が悪くなる」

2013.1.21「代謝が悪いと卵と胚の質が低下する」

2012.12.5「男性のBMIも妊娠に影響」
2012.12.3「BMI 35以上は異常卵が増加」
2012.10.30「BMIと妊娠」

2012.10.25「妊娠と体重の関係」