最近読んでよかった本 その80 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

最近読んでよかった3冊を簡単に紹介します。

なお、紹介の順番は五十音順にしています。

 

 

「どちらかが彼女を殺した」東野圭吾

OLである和泉園子は、ある日路上で絵を売っていた佃潤一と恋に落ちる。しかし親友である弓場佳代子に潤一を紹介して数ヶ月が経ったある晩、潤一から別れを切り出される。潤一が佳代子に心変わりしたのが原因と知り、園子は深く絶望する。それから数日後、園子の兄康正は遺体となった妹を発見する。巧妙に自殺を偽装されていたものの、肉親としての直感から他殺であると見抜いた康正は、あえて証拠を隠滅し、自らの手で犯人に裁きを下すことを決意する。様々な証拠から潤一と佳代子に辿り着いた康正は確信する「どちらかが彼女を殺した」​​​​​​と。一方、刑事の加賀恭一郎は、わずかな手がかりから園子は他殺であると考え、捜査を開始する。果たして真犯人はどちらなのか。真犯人は小説の最後まで明らかにされず、袋とじの解説で謎解きがあるのだが、、、果たして真相はいかに!

 

 

「僕は沈没ホテルで殺される」七尾与史

タイ・バンコクのバックパッカーの聖地・カオサン通りにある「ミカドホテル」。日本社会をドロップアウトした「沈没組」が集うこの最底辺ホテルで、殺人事件が発生する。宿泊者の「一橋」は犯人捜しを始めるが、ドラッグ漬けの「斎藤」、スナイパー気取りの「ゴルゴ」、ゲテモノ食いの「チワワ」らキャラの濃い仲間たちが不思議な味を出しています。手に汗握る犯人との勝負の末に、真相が明らかになります。七尾与史さんらしい作品です。

 

 

「ラッシュライフ」伊坂幸太郎

「オーデュポンの祈り」に続く伊坂幸太郎第2作の本作は、ハリウッド映画のような小説ではなく「普通の街の物語」を書きたいと宣言してできたもの。泥棒で生計を立てる「黒澤」、新興宗教の教祖を信じる「河原崎」、精神科医の「京子」、リストラされた「豊田」、画商の「戸田」、全く関係のない5人が仙台で送るそれぞれの日常が、順番に描かれる前半部分。物語が進むと、それぞれの話がリンクしていることがわかり、ジグソーパズルのピースが一つ一つ埋まって行きます。神、バラバラ死体、白人女性のプラカード、ピストル、宝くじ、野良犬、展望台、エッシャーの絵をキーワードに、最後には全ての物語が繋がります。気持ちのよい読後感。群像劇のお手本のような小説です。今年読んだ本のベスト3に入る秀作です。