Q&A1046 妊娠治療後の心配事 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。


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Q 薬剤を使用して不妊治療を行い子供を産むと、子孫の生殖行動に影響を与えると主張する人の発言を目にしました。生殖医療の研究をしている人だそうです。また、ホルモン剤は脂溶性で、体内の細胞内に残り体に悪影響を与えるという記事も読みました。

そこまで考えず、体外受精をして現在妊娠中です。子孫に、どう影響するのかということは、今後分かることなのでしょうが、もし影響がないと言い切れないのであれば、体外受精に踏み切ることを躊躇っていたかも知れないです。このようなことは実際に心配されていることなのでしょうか。

A どの領域にも、賛成する方と反対する方がおられます。その両者の証拠の出し合いにより、最終的な結論が導かれます。

体外受精が初めて行なわれたのは1978年、すでに38年が経過しています。この間に様々な議論がなされ、現代の体外受精が行なわれています。体外受精により誕生した子供の世代が次の世代のお子さんを何ら問題なく多数出産しています。したがって、第1の疑問点は否定されました。第2の疑問点は、単にホルモン剤が脂溶性という事実があるだけで、悪影響を与えるというくだりについては全く証明されていません。

そもそも反対派の意見の根本は動物実験です。しかし、動物実験のデータはヒトには当てはまらないことは、多くの事例で実証されており、ヒトでのでのデータの蓄積が必要です。そのデータが出るまでは、推測に過ぎず、結論は言えません。体外受精は人工的な手段のように一瞬思いますが、実際は受精後から発生の段階はあるがままに任せているだけで、私たち医療者が関与できる部分は最初のとっかかりの部分だけであり、極めて少ないものと実感しています。つまり、体外受精といえどもあまり人工的な手段とは言えないと私は考えています。生命の神秘は今でも生命の神秘のままで、神の領域に達することは永遠にないのでしょう

根拠の乏しい不安で悩むより、体外受精の恩恵を受けることができる時代に生きていてよかったと前向きに考えてはいかがでしょうか。

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